阿寒岳に向かうまで
前日に羅臼岳を踏破した後、知床半島の山奥から阿寒岳への大移動を敢行。携帯電波の届かない地の涯ホテル駐車場から雌阿寒温泉の駐車場まで、北海道の広大な道のりを車中泊で乗り切った。
雌阿寒温泉周辺は温泉宿が点在するものの、コンビニエンスストアのような商業施設は皆無。事前に阿寒湖湖畔のセイコーマートで食料を調達しておいた判断は正解だった。
2018年9月3日 雌阿寒温泉の駐車場から雌阿寒温泉コースで登山
雌阿寒温泉の駐車場で迎えた北海道遠征3日目の朝。観光バスが何台も駐車できる広大な駐車場から阿寒岳に登る。
実際に登ってみた
日程: 2018年9月3日(月) [日帰り] 天候: 晴れ
アクセス
雌阿寒温泉には観光バスが何台も駐車できる大規模な駐車場が整備されている。登山基地として申し分ない環境だ。
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
03:37 | 10.6km | 919m | 915m |
コースタイム
ルート: 雌阿寒温泉-(雌阿寒温泉コース)-雌阿寒岳-(オンネトーコース)-オンネトー湖-雌阿寒温泉
- 05:31雌阿寒温泉コース登山口
雌阿寒温泉の駐車場 雌阿寒温泉の駐車場は観光バスが何台も駐車できる広大なスペースを確保しており、登山者にとって理想的な拠点となっている。
雌阿寒温泉のトイレ 雌阿寒温泉と駐車場の間に設置されたトイレ施設。登山前の最終準備に重宝する。
雌阿寒温泉 雌阿寒温泉の建物群。手前に見えるのが野中温泉の施設だ。
小川 温泉成分を含んだ白濁した水が流れる小川。
雌阿寒温泉登山口 阿寒湖方面へ道路を少し下った地点にある雌阿寒温泉登山口。雌阿寒岳は噴火警戒レベル1の活火山のため、事前の火山情報確認が必須だ。
エゾマツ林 登山道はエゾマツ林の斜面を着実に上昇していく。北海道らしい針葉樹林が迎えてくれる。
旧登山道への案内 1合目 雌阿寒温泉コース1合目の標識。いよいよ本格的な登山行程が始まる。
森林限界が近づき、周囲の視界が開けてくる。雌阿寒岳の威容が徐々に明らかになってくる。
雌阿寒岳火口から1km以内 ハイマツ帯に入り視界が開けた地点で、雌阿寒岳火口から1km以内への立入を注意する看板が設置されている。活火山らしい緊張感が漂う。
ガレた道 火山特有のガレた道をジグザグに登っていく。9合目まで続く単調な登りが始まる。
雲海 眼下に広がる美しい雲海。上空にも雲が浮かぶものの、前日の斜里岳・羅臼岳の悪天候と比べれば格段に良好なコンディションだ。
6合目 雌阿寒温泉コース6合目の標識。着実に高度を上げていく。
6合目を過ぎると、阿寒カルデラの壮大な景観が眼前に広がってくる。
雄阿寒岳 雄阿寒岳が眼下に姿を現す。実際は同程度の標高だが、雌阿寒岳から見下ろすような角度で見えるのが興味深い。阿寒湖は雲海の下に隠れている。
8合目 火口湖の赤沼 火口壁からシューっという音とともに白い噴煙が立ち上がる。火口湖の赤沼も美しい赤色を湛えている。活火山の迫力を間近に感じる。
火口湖の赤沼 火口の外縁部 火口外縁部を慎重に周回。足元に注意しながら火口の全貌を把握していく。
雲海に浮かぶ雄阿寒岳 雲海に浮かぶ雄阿寒岳の神秘的な姿。まるで雲の海に浮かぶ島のように美しい。
阿寒富士 火口を周回していくと、阿寒富士の美しい円錐形が姿を現す。端正な山容が印象的だ。
地層 火口壁に刻まれた地層のグラデーション。火山活動の歴史が層状に記録されている。
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- 09:05雌阿寒温泉コース登山口
この日は札幌まで鉄道での長距離移動が控えており、その後レンタカーで羊蹄山麓まで向かう必要があるため、時間的余裕が限られている。行こうか迷っていた旧常呂町へのカーリング聖地巡礼は断念し、北見市街地に直行することにした。
赤いサイロを求めて清月の一番街本店へ

ロコ・ソラーレのもぐもぐタイムで一躍有名になった「赤いサイロ」。入手困難になるほど人気を博したこの銘菓を会社へのお土産として購入すべく、製造元の菓子店「清月」一番街本店を訪れた。
平昌オリンピックでの銅メダル獲得から半年が経過したこの時期でも、ロコ・ソラーレ旋風は継続中。本店でも単品購入は可能だが、個数制限のため全員分のお土産としては不十分な数量しか入手できない状況だった。

店舗のショーウィンドウには、ロコ・ソラーレの特別展示が設けられており、地元チームへの誇りと愛情が伝わってくる。
その後、清月の屯田支店にも立ち寄ったが、赤いサイロの販売はなし。諦めてレンタカーを返却し、北見駅へ向かった。

旧常呂町を擁する北見市は、ロコ・ソラーレの聖地として町全体で選手たちを応援している。


北見駅の売店で幸運にも赤いサイロの入荷に遭遇。購入制限上限の箱入り2箱を無事に入手できた。

13時25分、北見駅を出発。特急大雪で旭川まで、そこから特急ライラックで札幌に向かう約4時間半の鉄道旅が始まる。
その後、ニコニコレンタカーJR新札幌駅店でフィットをレンタルし、約2時間半をかけて羊蹄山比羅夫登山口のある半月湖野営場に到着した。
下山後の感想
コース状況・危険箇所等
雌阿寒温泉からの登山道は、最初はエゾマツ林の斜面を登り、ハイマツ帯に入るとガレた道をジグザグに刻んで進む。オンネトーへの下山道は多少ザレているものの下りやすく、トラバース気味に下っていき、森林帯に入ると歩きやすい一般的な登山道に変わる。オンネトー湖畔から雌阿寒温泉への帰路は緩やかな登りだが、ヤブ蚊などの小さな虫が執拗に付きまとうため、虫除けスプレーの携行を強く推奨する。
感想・記録
北海道遠征3座目の雌阿寒岳。前日の斜里岳・羅臼岳では天候に恵まれず、山頂からの景色をほとんど望めなかったため、今回こそは少しでも良い展望を期待していた。
9合目から響き渡る轟音と共に白い噴煙が立ち上がる様子を目の当たりにした瞬間、すでに大きな満足感を得られた。お鉢周りでは火口湖や火口壁の変化に富んだ景観を存分に楽しめたのも印象深い。
山頂では、北海道をロードバイクで時計回りに周遊している青年との出会いがあった。素晴らしい旅路の話を聞かせてもらい、無事に旅を続けられることを心から願った。
自分は北見に戻って札幌まで鉄路でスキップ。明日は羊蹄山にアタックして、今年の北海道遠征を後悔なく締めくくりたい。
かかった費用と装備
費用は、今回の遠征の中で最初の日本百名山 斜里岳の記事でまとめています。
今になって思うこと
山頂で出会った北海道ロードバイクツーリング中の青年との会話は、今でも鮮明に覚えている。自分も大学生時代に小樽から札幌、そして道南の函館まで自転車でツーリングした経験があるが、道東の人里離れた地域は別次元の困難があるはず。
ツーリング中での人との出会いは、時が経っても忘れられない特別な思い出になる。函館でのツーリング最終日に、競走馬の獣医をされている方に夕食をご馳走になり、一緒に函館山に登って見た夜景は、今でも脳裏に鮮明に焼き付いている。
自分が受けた親切を今度は若い世代に返していきたいと常々思っているが、そのような機会はなかなか訪れないもの。それでも、いつかそのチャンスが巡ってくることを信じて、心の準備は整えておきたい。