大山に向かうまで
憧れのサンライズ出雲で挑む山陰の名峰
昨年末の帰省で備中松山城と併せて大山登山を計画したことがあったが、山頂工事のため断念。それから約1年が経過し、ようやく念願の大山登山が実現する運びとなった。
交通手段として選んだのは、かねてから乗車を熱望していたサンライズ出雲。現在では定期運行される唯一の寝台特急として知られるこの夜行列車で、東京から米子駅へのアクセスを図る計画だ。
9月中旬、旅行代理店でサンライズ出雲の乗車券を手配したが、予約開始1ヶ月の時点で寝台席は既に満席。やむなく個室ではないノビノビ座席での手配となった。まぁ、初回利用としてはこれも体験のうちだろう。
サンライズ出雲(東京→米子):乗車券11,880円+特急券3,300円+指定席530円
復路には「秋の乗り放題パス」を選択。青春18きっぷに類似した周遊券(7,850円)で、実家経由で東京へ普通列車での帰路を辿る。秋の乗り放題パスは3日連続使用が条件だが、18きっぷと異なり特定列車の混雑がないため、ゆったりとした鉄道旅が期待できる。
普段の車中泊スタイルから一転、今回はホテルも予約した。Go To トラベルキャンペーンの恩恵で驚くほど格安となったからだ。 東横インのヘビーユーザーとして、東横イン米子駅前をオンライン予約。シングル5,130円の通常会員価格に、さらにGoToトラベルが適用され3,458円(差額はフロント返金)。加えて1,000円の買い物クーポンまで付与されるという、まさに破格の待遇。
2020年10月16日 サンライズ出雲で山陰への夜行旅

東京駅22時発のサンライズ出雲へ乗車。憧れの寝台特急への初搭乗は、期待に胸が躍る瞬間だった。


フェリーの2等席を彷彿とさせるノビノビ座席。各席が仕切られており、枕のある窓側は壁に隣接しているため、想像していたより快適だ。
翌朝6時頃のアナウンスで事態が判明。「未明からの遅延が拡大し、米子駅到着は約1時間遅れとなる見込み」との報告。大山登山後に予定していた他の山行は時間的に困難になったかもしれない。少々落胆したが、まずは大山登山に集中しよう。
2020年10月17日 夏山コースで伯耆大山にピストン登山
結果的に米子駅到着は予定の9:03から1時間遅れの10時過ぎ。レンタカーを借り受け、大山夏山登山口の南光河原駐車場へ向かった。
実際に登ってみた
日程: 2020年10月17日(土) 日帰り 天候: 曇り
アクセス
大山寺橋・南光河原駐車場に駐車。
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
02:11 | 6.0km | 958m | 958m |
コースタイム
ルート: 夏山道登山口-大山-石室-夏山登山口
- 10:50
- 11:12
- 11:23五合目
- 11:25行者谷分かれ
- 11:32
- 11:49
- 11:54
- 12:01大山頂上避難小屋
- 12:06
- 12:15
- 12:23八合目
- 12:33六合目避難小屋
- 12:37行者谷分かれ
- 12:44三合目
- 12:58
三徳山三佛寺の投入堂への挑戦

場所を変えて、投入堂への登拝を目指し三徳山三佛寺へ。全国の懸造りを特集した書籍で知り、ぜひ訪れたかった場所だ。
投入堂への参拝は険しい山道を登る必要があるため、単独での登拝は禁止されており、グループでの参拝が必須。入り口で一緒に登る方を募り、即席グループを組んでの参拝を期待して来訪した。
しかし、従来は当然のように行われていた即席グループ結成による参拝が、新型コロナ対策として県からの要請により禁止となったとのこと。まさかの事態。
ここまで来たが、やむを得ず断念する判断となった。


心残りを少しでも解消すべく、駐車場近くの投入堂遥拝所から投入堂を眺める。断崖絶壁に建つ建築の美しさは遠望でも十分感じられたが、やはり間近で見たかった…。
三朝温泉で宇崎ちゃんは遊びたい!の聖地巡礼
三徳山三佛寺から米子への帰路途中にある三朝温泉。ここは「宇崎ちゃんは遊びたい!」(TVアニメ1期)の鳥取旅行エピソードで登場した場所だ。
その後米子へ戻り、レンタカーを返却してホテルへ宿泊。
帰りは乗り鉄旅に切り替え、JRおおさか東線を完乗

翌日、米子駅から新大阪駅まで普通列車を乗り継ぐ旅程。

新大阪駅から久宝寺駅までのおおさか東線は、2019年3月に全線開業した新しい路線。 こちらを完乗することで、”JR全路線完乗”のタイトルを1年半ぶりに奪還した。
下山後の感想
感想・記録
寝台特急サンライズ出雲の利用は期待通りの体験だったが、遅延で米子駅に1時間遅れでの到着。午後に予定していた三徳山三佛寺投入堂への参拝も困難かと思われたが、まずは大山登山から開始。
夏山登山道は終始階段状の整備路で、丹沢塔ノ岳のようにひたすら登るだけの明快なルート。ペースも掴みやすく、山頂まで特段の見どころもなかったため、サンライズ出雲の1時間遅れを取り戻すことができた。
山頂からは米子市街から続く弓ヶ浜半島の海岸線が美しく、独立峰ならではの展望を堪能。
急いで下山後、三徳山三佛寺へ向かった。登拝受付の3時前には間に合ったものの、受付で「新型コロナ対策の県からの要請で、生活を共にしていないグループでの登拝はできなくなった」と告げられ撃沈。従来は当然のように行われていた即席グループ結成による参拝が不可能になったということだ。東京から楽しみに来たのだが…と嘆きながら、投入堂遥拝所から投入堂を眺めて溜飲を下げた。
かかった費用と装備
交通費用
- 電車: サンライズ出雲 乗車券11,880円+特急券3,300円+指定席530円
- 秋の乗り放題パス: 5,233円(3連続日券の本来7,850円を、米子→実家、実家→自宅の2日分利用として3分の2で計算)
- レンタカー: 12時間 2,635円
- ガソリン: 1,103円
交通費合計: 24,681円
宿泊費用
- 東横イン米子駅前: 3,458円(GoToトラベル適用後価格、さらに1,000円クーポン付与)
宿泊費合計: 3,458円
食費・その他
- 食費: 1日分 2,000円
- 行動食: 1日分 300円
食費合計: 2,300円
総費用
合計: 30,439円
今になって思うこと
大山登山にサンライズ出雲を利用するプランは非常に有効だった。往復で利用すれば宿泊費も不要となり、東京から大山への日帰り登山も十分可能。
現在の時刻表では、【往路】東京 21:50→米子 09:03、【復路】米子 19:56→東京 07:08 という形で組み立てられる。
想定していなかったコロナ禍の2020年は、この大山登山で通算12座に到達し、残る日本百名山は12座となった。2020年後半の巻き返しにより、2021年の残り12座完登も現実的な目標として見えてきた。
大山は中国地方最高峰でありながら、非常にアクセスしやすく整備された百名山だ。独立峰ならではの展望も素晴らしく、山陰地方の代表的な山として多くの登山者に愛されるのも納得できる。