東海道五十三次 富士川から静岡まで、約1年ぶりに薩埵峠の絶景と歴史の街を歩く
薩埵峠の通行止めに待たされた1年間、ついに再開の時
約1年ぶりの東海道歩き。前回の富士川駅でストップしてから、ずっと気になっていた薩埵峠の状況。展望台へ向かうハイキングコースが崩落で通行止めになっていて、復旧を待つ形で一旦お預けにしていた。
でも、いつまで経っても復旧の知らせがない。静岡市のホームページを何度チェックしても状況は変わらず。「これ以上待っても仕方ないか」と、ついに諦めることにした。

12月17日、快晴。風は強いものの、絶好の街道歩き日和だ。富士川駅から歩き始めて、すぐに前回も撮影した歩道橋へ。そこから見える富士山は相変わらず美しい。「よし、今日も頑張るぞ」と気合を入れ直す。
蒲原宿で出会った、江戸時代の面影
なまこ壁と塗り家造りの美しい街並み

蒲原宿に入ると、まるでタイムスリップしたかのような風景が広がっていた。なまこ壁の家、塗り家造りの商家。これらの建物は単なる古い家じゃない。江戸時代から続く、生きた歴史なのだ。

特に印象的だったのは、旧五十嵐歯科医院。洋風建築と和風建築が融合した、明治・大正期の雰囲気を色濃く残している。こういう建物を見ると、当時の人々の暮らしぶりが目に浮かぶようだ。
歩きながら気づいたのは、これらの建物の多くが今も現役で使われているということ。歴史的建造物として保存されているだけじゃなく、地域の人々の生活の一部として息づいている。これこそが、本当の意味での文化の継承なんだろうな。
由比宿での発見と名物たまご餅

由比宿では、珍しく観光施設に立ち寄ることにした。普段はあまり寄り道しない派なんだけど、東海道由比宿交流館で休憩がてら見学。奥には由比宿の街並み模型が展示されていて、江戸時代の宿場町の構造がよくわかる。
そして次に向かったのが、静岡市東海道広重美術館。ここでは「江戸LIFE」という企画展をやっていた。浮世絵についてのわかりやすい展示もあって、子どもでも楽しめそうな内容だった。

美術館を出て、由比宿名物の「たまご餅」を購入。これ、実は東海道中膝栗毛に登場する「さとう餅」を現代風にアレンジしたものらしい。これから薩埵峠へ向かうので、カロリー補給にはもってこいだ。甘くて美味しくて、歩き疲れた体に染み渡る。
薩埵峠、展望台には行けなくても十分な絶景
1年待った甲斐はあったのか
いよいよ薩埵峠へ。駐車場に着くと、やはり展望台への道は通行止めのまま。1年前から開通を待っていたのに、結局復旧されなかった。正直、がっかりした。

でも、駐車場からの眺めだけでも十分すぎるほどの絶景だった。富士山、駿河湾、そして眼下を走る東名高速道路と東海道本線。この構図こそ、歌川広重が描いた「東海道五十三次・由比」の現代版だ。
せっかくなので、通行止めの迂回路を通って反対側へ。「クマ出没注意」の看板にちょっとビビりながらも、通行止めのギリギリまで行ってみた。こちら側からの富士山の眺めも素晴らしい。むしろ、広重の版画により近い構図かもしれない。
薩埵峠を歩く人へのアドバイス
薩埵峠を訪れる人へ、いくつかアドバイスを。
- 展望台への道は通行止めでも、駐車場からの眺めは十分価値がある
- 風が強い日が多いので、防寒対策をしっかりと
- 早朝か夕方の時間帯がおすすめ(光の加減で富士山がより美しく見える)
- 迂回路を使う場合は、クマ対策も忘れずに
興津での寄り道、坐漁荘の魅力
西園寺公望の別荘で味わう昭和の贅沢

興津宿では、またまた珍しく観光施設へ。興津坐漁荘記念館だ。ここは西園寺公望の別荘を復元したもので、昭和の時代の趣がそのまま残されている。
ふらっと寄ってみたら、ガイドさんが丁寧にツアーしてくれた。建物自体は復元だけど、各所に見られる仕掛けや造作が本当に面白い。例えば、窓が全面ガラスになっていて眺めが良い2階とか、随所に見られる職人技とか。
ガイドさんの説明を聞きながら、当時の政治家たちがここでどんな密談をしていたのか想像してみる。歴史の舞台裏を垣間見るようで、ワクワクした。
清水から静岡へ、寂れた商店街と現代の街
江尻宿の今昔

江尻宿(現在の清水)に入ると、清水銀座という商店街を通る。道路は綺麗に整備されているのに、商店街はめちゃくちゃ寂れていた。シャッターが閉まった店が多く、人通りもまばら。
昔はこの通りも華やかだったんだろうな。東海道の宿場町として栄えていた頃の面影を探しながら歩く。でも、こういう寂れた商店街も、これはこれで旅情があるものだ。
静岡鉄道と並走する道
草薙から静岡市街地にかけては、静岡鉄道静岡清水線と並走する区間が続く。県総合運動場駅、長沼駅、柚木駅と、私鉄の小さな駅を横目に見ながら歩く。

この辺りでは、旧東海道がJR東海道線によって分断された箇所に記念碑が建てられていた。近代化の波に飲まれながらも、旧街道の記憶を留めようとする地域の人々の思いが伝わってくる。
今回の旅を振り返って
富士川から静岡まで、約35キロ。7時間16分の旅だった。1年ぶりの再開だったけど、待った甲斐はあった。薩埵峠の絶景、蒲原宿の歴史ある街並み、そして珍しく立ち寄った美術館や記念館での発見。
普段は観光施設にあまり立ち寄らない私だけど、今回は寄り道して正解だった。ただ歩くだけじゃなく、その土地の歴史や文化に触れることで、東海道歩きがより深いものになった気がする。
次回はさらに西へ。静岡から金谷まで、また新たな発見が待っているはずだ。東海道五十三次の旅は、まだまだ続く。
東海道歩きのコツ
最後に、これから東海道を歩く人へのアドバイスを。
- 通行止め情報は事前にチェックしても、現地で変わることがある
- たまには観光施設に立ち寄ってみると、新しい発見がある
- 地元の名物は積極的に試してみよう(歩くエネルギーにもなる)
- 風の強い日は体感温度が下がるので、防寒対策をしっかりと
- 写真を撮るポイントは事前にマークしておくと効率的
富士川~静岡の歩行記録
- 日程:2023年12月17日(日)
- 天候:快晴
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
07:16 | 34.7km | 242m | 267m |
地図・標高グラフ
コースタイム
旧東海道との分岐から【蒲原宿】まで
富士川駅 08:01 → 08:07 旧東海道との分岐(前回の続き) → 08:41 【蒲原宿】
- 08:01
- 08:07
- 08:41
【蒲原宿】から【由比宿】まで
08:41 【蒲原宿】 → 08:45 東海道15宿蒲原宿 → 09:11 蒲原駅 09:12 → 09:31 【由比宿】
- 08:41
- 08:45
- 09:11
- 09:31
【由比宿】から【興津宿】まで
09:31 【由比宿】 → 09:31 東海道第16宿由比宿 10:10 → 10:33 由比駅 → 10:54 くらさわや → 11:11 薩埵峠 11:15 → 11:32 さった峠登山口 11:33 → 12:10 【興津宿】
- 09:31【由比宿】
- 09:31
- 10:33
- 10:54
- 11:11
- 11:32
- 12:10
【興津宿】から【江尻宿】まで
12:10 【興津宿】 → 12:10 かつ平 → 12:15 東海道第17宿興津宿 → 13:48 【江尻宿】
- 12:10【興津宿】
- 12:10かつ平
- 12:15
- 13:48【江尻宿】
【江尻宿】から【府中宿】まで
13:48 【江尻宿】 → 14:01 東海道第18宿江尻宿 → 15:28 県総合運動場駅 → 16:02 柚木駅 → 16:29 東海道第19宿府中宿 → 16:33 【府中宿】
- 13:48
- 14:01
- 15:28
- 16:02
- 16:29東海道第19宿府中宿
- 16:33【府中宿】
【府中宿】から江川町交差点まで
16:33 【府中宿】 → 16:33 江川町交差点 → 16:39 静岡駅