東海道五十三次を歩く 11日目 御油~知立

池鯉鮒宿の松並木 巡礼
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御油宿~知立宿 36km 地元への道のりと岡崎二十七曲り

はじめに:2日連続35km超えの挑戦と父との約束

2024年3月21日、春分の日の翌日。昨日の雨風との戦いから一転、今日は穏やかな晴天に恵まれました。

でも、正直なところ体は悲鳴を上げています。昨日35.1kmを歩いた疲労が足に残り、水ぶくれも気になる状態。それでも、今日は絶対に知立まで歩き切らなければならない理由がありました。

「明日は父親と一緒に歩く」

そう、明日は知立から父と二人で東海道を歩く約束をしているんです。自分一人なら「今日はここまででいいか」と妥協することもできますが、今回ばかりはそうはいきません。親子で東海道を歩く機会なんて、人生でそう何度もあるものじゃないですから。

御油宿から赤坂宿へ:御油の松並木を歩く

2日連続の東海道歩きは初めての経験

御油駅
御油駅

朝8時59分、御油駅からスタート。実は東海道五十三次を歩き始めてから、2日連続で歩くのは今回が初めてです。いつもは週末や休日を利用して、単発で歩いていました。

駅から御油郵便局まで歩き、昨日のゴール地点から再開。音羽川沿いの道は、桜の季節にはさぞかし美しいだろうなと思いながら歩きます。今年は桜の開花が遅れているようで、まだつぼみも固い状態でした。

御油の松並木:600mの緑のトンネル

御油の松並木
御油の松並木

御油宿から赤坂宿までは、わずか1.7km。東海道五十三次の中でも最も宿場間の距離が短い区間です。その間を結ぶのが、有名な「御油の松並木」。

約600mにわたって続く松並木は、まるで緑のトンネルのよう。江戸時代には旅人に木陰を提供し、今も昔と変わらぬ姿で街道を見守っています。車もほとんど通らない静かな道を歩いていると、タイムスリップしたような気分になりますね。

「こんなに宿場が近いなんて、昔の旅人はどちらの宿にするか迷っただろうな」

赤坂宿本陣跡
赤坂宿本陣跡

なんて思いながら歩いていたら、あっという間に赤坂宿に到着。尾崎屋や大橋屋といった古い建物が残る宿場町の風情を楽しみながら通過しました。

長い国道歩きから岡崎二十七曲りへ:変化に富んだ行程

再び国道1号線との付き合い

国道1号線と再び合流
国道1号線と再び合流

赤坂宿を過ぎると、また国道1号線との長い付き合いが始まります。長沢一里塚跡を過ぎたあたりから、ひたすら国道沿いを歩く単調な区間。

「今日も昨日と同じような、退屈な国道歩きが続くのか…」

そう思っていたんですが、実際はそうでもありませんでした。

地元・西三河への帰還

国道を歩いていると、「岡崎市」の看板が見えてきました。

「ああ、西三河に帰ってきた」

実家が西三河エリアにあるせいか、この辺りに入ると不思議とほっとします。見慣れた風景、そして車の三河ナンバー。地元が近づいてくる実感が、疲れた足を前へと押し出してくれました。

本宿での発見:冨田勲さんの実家

本宿陣屋代官屋敷
本宿陣屋代官屋敷

本宿では、ちょっと寄り道して「本宿陣屋代官屋敷」跡を見学。現在は冨田病院になっているこの場所、なんと作曲家・冨田勲さんの実家だったそうです。

シンセサイザー音楽の先駆者として知られる冨田さんが、こんな歴史ある場所で生まれ育ったなんて。東海道を歩いていると、こういう意外な発見があるから面白いんですよね。

岡崎二十七曲り:複雑怪奇な城下町の防御システム

予想外に楽しい二十七曲り

二十七曲りの角にある標柱
二十七曲りの角にある標柱

藤川宿を過ぎ、岡崎市街に入ると、いよいよ「東海道岡崎城下二十七曲り」の始まりです。

正直なところ、地図で見た時は「めんどくさそうだな」と思っていました。でも実際に歩いてみると、これが意外と楽しい。各曲がり角には「いろは」順に標柱が立てられていて、まるで宝探しゲームのよう。

「い」から始まって「ろ」「は」「に」…と順番に辿っていくんですが、時々見つからない標柱もあって。「り」はどこだ?と探しながら歩くのも、また一興でした。

歴史的建造物との出会い

旧岡崎銀行本店
旧岡崎銀行本店

二十七曲りの途中で出会った「旧岡崎銀行本店」は圧巻でした。赤煉瓦と御影石を組み合わせたルネッサンス様式の建物は、明治時代の面影を今に伝えています。現在は「岡崎信用金庫資料館」として保存・活用されているそうです。

岡崎には何度も来たことがありますが、東海道を歩いて通過することで、街の歴史的なエリア同士の繋がりが初めて理解できました。点と点だった知識が、一本の道で結ばれて線になる。これも街道歩きの醍醐味ですね。

八丁味噌の里を通過

まるや八丁味噌
まるや八丁味噌

二十七曲りを抜けて矢作川へ向かう途中、八丁味噌で有名な八丁地区を通過。「カクキュー」と「まるや八丁味噌」の2つの老舗が向かい合って建っています。

八丁味噌の名前の由来は、岡崎城から西へ八丁(約870m)の距離にあることから。江戸時代から続く伝統の味が、今も変わらずこの地で作られているんです。工場見学もできるそうなので、今度ゆっくり訪れてみたいですね。

知立への道:地元が近づく喜び

猿渡川を越えて知立市へ

猿渡川
猿渡川

矢作川を渡り、しばらく歩くと猿渡川に到着。この川を越えると、ついに知立市です。

「この川を下っていけば実家に着くんじゃないか」

なんて思いながら橋を渡ります。生まれ育った土地が近づいてくると、不思議と足取りも軽くなるものですね。2日間の疲労が溜まっているはずなのに、なぜか元気が湧いてきました。

来迎寺一里塚:立派に残る史跡

来迎寺一里塚
来迎寺一里塚

知立市に入って最初の見どころが、来迎寺一里塚。多くの一里塚が失われている中、ここは立派に原形を留めています。こんもりと盛り上がった塚の上には、大きな木が茂っていて、往時の姿を偲ばせます。

知立松並木のプロムナード

池鯉鮒宿の松並木
池鯉鮒宿の松並木

知立宿の手前には、見事な松並木が続いています。そして驚いたのが、松並木沿いに整備されたプロムナード。

「知立のわりに、よく整備されてるな」

地元では知立市の財政が厳しいという話をよく聞くので、正直意外でした。でも、こうして歴史的な街道を大切に保存・整備している姿勢は素晴らしいと思います。

ゴール知立駅:無事に約束を果たす

池鯉鮒宿での最後の力走

池鯉鮒宿本陣跡
池鯉鮒宿本陣跡

16時35分、池鯉鮒(ちりゅう)宿に到着。知立の古い呼び名である「池鯉鮒」の名を冠した、東海道五十三次の39番目の宿場です。

本陣跡を確認し、最後の力を振り絞って知立駅へ。16時44分、ついに目的地に到着しました。

「やった、間に合った!」

36.0km、7時間46分の道のり。2日連続で35km以上を歩くのは、正直きつかった。でも、明日の父との約束を果たすことができて、本当にほっとしました。

東海道歩きのコツ:連続歩行の注意点

2日連続で長距離を歩く時の対策

今回の経験から学んだ、連続歩行のポイントをまとめておきます。

  1. 前日の疲労回復が最重要
    • しっかりとした睡眠(最低7時間)
    • 入浴でしっかり体を温める
    • ストレッチとマッサージを念入りに
  2. 水ぶくれ対策
    • 絆創膏やテーピングを多めに持参
    • 靴下は厚手のものを2枚重ね
    • 休憩時に靴を脱いで足を休める
  3. モチベーション管理
    • 明確な目的を持つ(今回は父との約束)
    • 地元が近づく喜びなど、精神的な支えを見つける
    • 景色の変化を楽しむ余裕を持つ

岡崎二十七曲りを楽しむコツ

複雑な二十七曲りも、以下の点に注意すれば楽しく歩けます。

  • 事前に地図で大まかなルートを把握
  • 標柱を探しながら、ゲーム感覚で歩く
  • 歴史的建造物に注目して、寄り道を楽しむ
  • 迷ったら地元の人に聞く(親切に教えてくれます)

まとめ:地元への道のりがくれた新たな発見

御油宿から知立宿まで、36kmの道のり。単調な国道歩きになるかと思いきや、岡崎二十七曲りや八丁味噌の里、そして地元・西三河への帰還という、変化に富んだ行程でした。

何より、「明日は父と歩く」という明確な目的があったことで、2日連続の長距離歩行を乗り切ることができました。東海道五十三次の旅は、単なる歩き旅ではなく、家族との絆を深める機会にもなるんですね。

次回はいよいよ父との二人旅。親子で歩く東海道は、きっと特別な思い出になることでしょう。

御油~知立の歩行記録

  • 日程:2024年3月21日(木)
  • 天候:晴れ
⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
07:4636.0km96m111m

地図・標高グラフ

コースタイム

御油駅から【御油宿】まで

御油駅 8:59 → 9:04 御油郵便局(前回の続き) 9:04 → 9:06 【御油宿】

歩行タイムライン
  • 8:59
    御油駅
    御油駅
    御油駅
    御油駅
    御油駅

    昨日に引き続いて、今日は御油駅からのスタート。
    この東海道五十三次を歩く中で、2日連続の行程は初めてです。
    疲労の蓄積と足の水ぶくれが気になるが、知立まで歩き切るしかない。

    音羽川
    音羽川

    今年の桜がもっと早ければ、この音羽川沿いの景色は見事な桜並木で楽しめたはず。

  • 9:04
    御油郵便局(前回の続き)
    御油郵便局
    御油郵便局

    御油郵便局で旧東海道と合流。

  • 9:06
    【御油宿】
    御油宿本陣跡
    御油宿本陣跡

【御油宿】から【赤坂宿】まで

【御油宿】 9:06 → 9:07 旧東海道第35宿御油宿 9:07 → 9:24 【赤坂宿】

歩行タイムライン
  • 9:06
    【御油宿】
  • 9:07
    旧東海道第35宿御油宿
    御油宿
    御油宿
    御油の松並木
    御油の松並木
    御油の松並木
    御油の松並木
  • 9:24
    【赤坂宿】
    赤坂宿本陣跡
    赤坂宿本陣跡

【赤坂宿】から【藤川宿】まで

【赤坂宿】 9:24 → 9:25 旧東海道第36宿赤坂宿 9:26 → 9:48 長沢一里塚跡 9:48 → 11:37 旧東海道第37宿藤川宿 11:38 → 11:38 【藤川宿】

歩行タイムライン
  • 9:24
    【赤坂宿】

  • 9:25
    旧東海道第36宿赤坂宿
    尾崎屋
    尾崎屋
    大橋屋
    大橋屋
    梅

    桜はまだだが、梅は今がシーズン。

  • 9:48
    長沢一里塚跡
    長沢の一里塚跡
    長沢の一里塚跡
    国道1号線と再び合流
    国道1号線と再び合流

    国道1号線と再び合流。
    車の往来が激しい中、歩道を歩く人の姿はほとんどなし。歩道を一歩一歩進むのは、なんだか孤独感も漂います。

    岡崎市
    岡崎市

    岡崎市に入った。
    実家が西三河エリアにあるからか、この辺りに入るとほっとした気持ちになります。

    本宿の道標
    本宿の道標
    法蔵寺
    法蔵寺
    本宿陣屋代官屋敷
    本宿陣屋代官屋敷

    旧東海道からちょっと外れたとこにある「本宿陣屋代官屋敷」。
    跡地には冨田病院があり、作曲家・冨田勲さんの実家とのこと。

    本宿の町並み
    本宿の町並み

    国道1号線の左右脇に旧東海道の道筋があるので、厳密に旧東海道の跡を歩こうとすると国道1号線を都度渡る必要がある。

    藤川宿入口
    藤川宿入口

    藤川宿入口に味わい深い店舗。

    東棒鼻跡
    東棒鼻跡
  • 11:37
    旧東海道第37宿藤川宿
    藤川宿本陣跡
    藤川宿本陣跡
  • 11:38
    【藤川宿】

【藤川宿】から【岡崎宿】まで

【藤川宿】 11:38 → 12:33 大平一里塚 12:33 → 13:14 旧東海道第38宿岡崎宿 13:14 → 13:14 【岡崎宿】

歩行タイムライン
  • 11:38
    【藤川宿】
    藤川の一里塚跡
    藤川の一里塚跡
    名鉄名古屋本線の踏切
    名鉄名古屋本線の踏切
    藤川の松並木
    藤川の松並木
    乙川
    乙川

    乙川を渡る。

  • 12:33
    大平一里塚
    大平一里塚
    大平一里塚

    大平一里塚は南塚のみ現存。

    国道1号線と東名高速のIC部分
    国道1号線と東名高速のIC部分

    国道1号線と東名高速のIC部分はガードを3回くぐる。

    岡崎二十七曲り碑
    岡崎二十七曲り碑

    岡崎の二十七曲り碑があるここから、岡崎の二十七曲りが始まる。

    二十七曲りの角にある標柱
    二十七曲りの角にある標柱

    二十七曲りの各角(角じゃない所にもあったりするが)には標柱が立てられ、いろは順に番号が振られていてわかりやすい。

    ろ
    は
    に
    和菓子の老舗「備前屋」
    和菓子の老舗「備前屋」
  • 13:14
    旧東海道第38宿岡崎宿
  • 13:14
    【岡崎宿】
    ほ

【岡崎宿】から【知立宿】まで

【岡崎宿】 13:14 → 13:20 籠田公園 13:21 → 14:01 出合之像 (蜂須賀小六と日吉丸の像) 14:01 → 14:56 尾崎一里塚跡 14:57 → 15:48 来迎寺公園 15:48 → 15:54 来迎寺一里塚 15:54 → 16:13 知立松並木 16:13 → 16:35 【知立宿】

歩行タイムライン
  • 13:14
    【岡崎宿】
    へ
    旧岡崎銀行本店
    旧岡崎銀行本店
    旧岡崎銀行本店
    旧岡崎銀行本店

    旧岡崎銀行本店は、赤煉瓦と御影石を組み合わせた重厚感あふれる建物で、ルネッサンス様式が取り入れられています。
    現在は「岡崎信用金庫資料館」として利用されており、その美しい外観と歴史的な価値が訪れる人々を魅了しています。

    標柱は見つからなかったが、ここで右に曲がる。

  • 13:20
    籠田公園
    岡崎城下二十七曲「篭田町より連尺町角」
    岡崎城下二十七曲「篭田町より連尺町角」
    と
    ち

    旧東海道のルートを参考にした本ではこちらで曲がると書いてあったので曲がるが、
    材木町一丁目交差点まで進むのが、一般的なルートなのかもしれない。

    細かく曲がる。

    こちらで一般的なルート(?)に合流。

    ぬ

    「り」が抜けた。材木町一丁目交差点が「り」だったのかな。

    る
    を

    車道を越えられないので歩道橋方面へ曲がる。

    歩道橋
    歩道橋

    国道1号線を渡るために歩道橋へ。

    曲がる。

    八丁方面へ曲がる。

    八丁味噌のカクキュー
    八丁味噌のカクキュー
    まるや八丁味噌
    まるや八丁味噌

    八丁味噌は、愛知県岡崎市の八丁地区発祥の豆味噌で、名前の由来は、岡崎城から西に八丁(約870メートル)の距離にあることからきている。

    八丁味噌を代表する2つの名店「八丁味噌のカクキュー」と「まるや八丁味噌」の店先を通過。

    矢作川
    矢作川

    矢作川を渡る。

  • 14:01
    出合之像 (蜂須賀小六と日吉丸の像)

    この辺に矢作一里塚跡があるはずだが、よくわからなかった。

    国道1号線と並走
    国道1号線と並走

    しばらく国道1号線と並走し安城市。
    ここから1号線とはお別れ。

  • 14:56
    尾崎一里塚跡
    猿渡川
    猿渡川

    猿渡川を越えて、ついて知立市に入る。
    この川を下っていけば実家に辿り着くような気がする。

  • 15:48
    来迎寺公園
  • 15:54
    来迎寺一里塚
    来迎寺一里塚
    来迎寺一里塚

    立派に姿を残す来迎寺一里塚。

    来迎寺一里塚
    来迎寺一里塚
    新田北交差点の歩道橋
    新田北交差点の歩道橋
    池鯉鮒宿の松並木
    池鯉鮒宿の松並木

    歩道橋から見下ろす池鯉鮒宿の松並木。

  • 16:13
    知立松並木
    松並木沿いのプロムナード
    松並木沿いのプロムナード

    知立のわり(西三河地方の中でも比較的財政が厳しいとされる知立市を揶揄する言い回し)に、松並木沿いのプロムナードはよく整備されてる。

    松並木を南に少しそれ、国道1号線を越えるために歩道橋を渡った。
    おそらく、松並木をそのまま行っても国道1号線の下を歩ける地下道があるんだと思う。

    名鉄三河線の踏切
    名鉄三河線の踏切

    名鉄三河線の踏切。
    最近、三河知立駅の位置が変わったばかりらしい。
    (この踏切を挟んで800mほど北東に移転)

    五差路の中町交差点
    五差路の中町交差点
  • 16:35
    【知立宿】
    池鯉鮒宿
    池鯉鮒宿

【知立宿】から知立駅まで

【知立宿】 16:35 → 16:37 旧東海道第39宿池鯉鮒宿 16:38 → 16:44 知立駅

歩行タイムライン
  • 16:35
    【知立宿】

    こちらで旧東海道から離れて、知立駅方面へ。

  • 16:37
    旧東海道第39宿池鯉鮒宿
    池鯉鮒宿本陣跡
    池鯉鮒宿本陣跡
  • 16:44
    知立駅
    知立駅
    知立駅

    予定していた知立駅に到達。
    2日連続の35kmは正直辛かったけれど、無事にゴールできてホッと一息。

動画

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