知立宿~宮宿 22.1km 父と歩いた有松の町並みと七里の渡し
はじめに:3日連続の東海道歩きと父との特別な一日
2024年3月22日、金曜日。一昨日、昨日に続いて、今日も東海道を歩くことになりました。3日連続で東海道を歩くのは初めての経験だ。
本当は今日は休んで、明日の土曜日に歩くつもりでした。でも天気予報を見て、急遽予定を前倒しすることに。土日とも雨予報だったんです。東海道歩きをしていると、天気に振り回されることも多いですが、これも旅の醍醐味かもしれませんね。
そして今日は特別な日。数年前に約束した通り、父親と一緒に東海道を歩くのです。
父と歩く東海道:知立から鳴海宿まで
地元・知立の新発見

朝8時26分、母に車で送ってもらい、知立古城址からスタート。父と一緒の東海道歩きが始まりました。
歩くペースは父に合わせて、自分はガイド役に徹することに。知立から宮までは名鉄名古屋本線が並走していて、いつでも電車でエスケープできるので、歩き慣れていない人にもおすすめの区間なんです。
「知立古城址なんて初めて聞いたな」
実家は知立の隣町・刈谷なので、知立はよく知っているつもりでしたが、こんな史跡があるとは知りませんでした。地元でも気づかないスポットって、まだまだあるんですね。
あんまき発祥の店と鉄砲店の意外な組み合わせ

知立の町を歩いていると、「小松屋本家」の看板が目に入りました。ここは「あんまき」発祥の店として有名です。そして驚いたのが、その上に鉄砲店があること!
「和菓子屋の上に鉄砲店って、なんだこの組み合わせは」
思わず笑ってしまいました。こういう意外な発見があるから、街道歩きは面白いんですよね。
刈谷市を通過:地元への複雑な思い
国道1号線沿いを歩いていると、刈谷市に入りました。実は刈谷市内にある唯一の一里塚跡「一ツ木一里塚」をスルーしてしまったんです。
旧東海道を正確に辿るなら対岸に渡る必要があったけど、父をこの虚無な歩き(見どころがあるわけでもなく旧道をトレースするだけ)に付き合わせるのは気が引けました。一人の時なら絶対に寄っていたんですけどね。

でも、刈谷の旧東海道沿いには、連子格子の古い家が並ぶ素敵な街並みがありました。「塚本」さんという苗字の家が多く、この地域の旧家なのかもしれません。
境川を越えて尾張国へ

9時36分、境川に到着。ここで三河国から尾張国へと入ります。
「おお、ついに尾張に入ったか」
父も感慨深そうでした。川一つで国が変わるというのは、現代では実感しにくいですが、江戸時代の旅人にとっては大きな節目だったんでしょうね。
有松の衝撃:今まで歩いた中で最高の町並み
想像を超えた美しさ
中京競馬場前駅を過ぎて有松に入ると、景色が一変しました。
「すごい…これは本当に名古屋?」

正直なところ、今まで歩いた東海道沿いの町並みの中で、群を抜いて素敵でした。伝統的な建物が連なるこのエリアは、まさに江戸時代そのままの雰囲気。有松絞りの暖簾が風に揺れ、豪壮な屋敷構えや古い蔵が絵になる風景を作り出しています。
静かな佇まいの今のうちに

意外なことに、これほど美しい町並みなのに、海外からの観光客がまだあまり訪れていないようです。平日ということもあって人通りは少なく、ゆっくりと町並みを楽しむことができました。
「インバウンド観光客に知られる前に来られてよかったな」
父もしきりに感心していました。東京、大阪・京都は外国人観光客の定番コースですが、名古屋はまだそれほどでもない。でも有松は、日本を訪れる人の琴線に触れる町並みだと思います。いずれ多くの外国人観光客が訪れるようになるでしょうから、静かな今のうちに訪れる価値は大いにあります。
有松の見どころ
有松で特に印象的だった建物をいくつか紹介しておきます。
- 服部家住宅:重厚な造りの商家建築
- 井桁屋:有松絞りの老舗
- 中濱家住宅:連子格子が美しい町家
- 小塚家住宅:卯建(うだつ)が上がった立派な商家
郵便局の軒先にはカラフルな雛人形が飾られていて、町全体で季節を楽しむ工夫も素敵でした。
父との別れ

12時、鳴海宿に入ったところで父とはお別れです。ここまで約12km、よく歩いてくれました。
「久しぶりにこんなに歩いたな。でも楽しかった」
一緒にお昼を食べた後、父を鳴海駅まで見送りました。親子で東海道を歩くという貴重な体験ができて、本当によかったです。
一人で宮宿へ:愛知県最後の道のり
笠寺観音と熱田神宮への道
父と別れてからは、再び一人旅。ペースを上げて宮宿を目指します。

天白川を越え、笠寺一里塚を通過。地名の由来となった笠覆寺(笠寺観音)にも立ち寄りました。ここから先は、熱田神宮に向かって歩いていきます。
七里の渡しに到着

14時15分、ついに宮の渡し公園に到着。七里の渡し跡の石碑が、かつての船着場の場所を示しています。
「ここから桑名まで船か…」
江戸時代、東海道で唯一の海上路だった七里の渡し。宮(熱田)から桑名まで、海上七里(約28km)を船で渡ったそうです。当時の旅人たちは、どんな思いでこの船に乗り込んだのでしょうか。
愛知県踏破の達成感
これで愛知県の東海道をすべて歩き終えました。長かった静岡県に比べると、あっという間だった気がします。
3日間で約93km。静岡県では由比から新居まで、何日もかけて歩いたことを思うと、愛知県の短さ(?)を実感します。でも、その分濃密な3日間でした。
東海道歩きのコツ:親子で歩く時の注意点
同行者のペースに合わせる
今回、父と一緒に歩いて学んだことがいくつかあります。
- 事前の体力確認
- 普段の運動習慣を聞いておく
- 無理のない距離設定(今回は約12km)
- エスケープルートの確認
- 見どころの取捨選択
- マニアックなポイントは省略
- 休憩場所を多めに設定
- 会話を楽しむ余裕を持つ
- 装備のアドバイス
- 歩きやすい靴の重要性
- 水分補給の大切さ
- 日焼け対策
有松を楽しむためのポイント
有松は本当に素晴らしい町並みなので、ぜひ多くの人に訪れてほしいです。
- アクセス:名鉄名古屋本線「有松駅」下車すぐ
- 所要時間:じっくり見るなら2時間程度
- おすすめ時期:春秋の気候の良い時期
- 注意点:車の通行があるので歩行注意
今後の予定:マイペースに京都を目指して
当初は日曜日に桑名からのルートを歩こうと考えていましたが、雨予報のため断念。計画では夏頃には京都に到達するつもりでしたが、今年いっぱいかけてゴールするのも悪くないかなと思えてきました。
3日連続の徒歩旅で足に疲れが溜まっていますが、達成感はその分大きいです。特に父と一緒に歩けたことは、かけがえのない思い出になりました。
次回は七里の渡しを船で渡った先、桑名宿からの再開です。三重県、滋賀県と、京都のゴールに向けて、マイペースに進んでいこうと思います。
まとめ:家族との絆と新たな発見
知立宿から宮宿まで、22.1kmの道のり。3日連続の東海道歩きの締めくくりは、父との特別な時間と、有松という素晴らしい町並みとの出会いでした。
東海道五十三次の旅は、単に歩くだけではなく、家族との絆を深め、知らなかった日本の美しさを発見する旅でもあります。これからも、そんな出会いと発見を大切にしながら、京都を目指して歩き続けたいと思います。
知立~宮の歩行記録
- 日程:2024年3月22日(金)
- 天候:晴れ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
05:45 | 22.1km | 21m | 8m |
地図・標高グラフ
コースタイム
知立城址から【鳴海宿】まで
知立城址 8:26 → 8:38 逢妻川 8:38 → 9:36 旧東海道 三河国・尾張国 国境 9:36 → 9:45 豊明駅 9:45 → 10:06 阿野一里塚 10:06 → 10:44 中京競馬場前駅 10:44 → 12:00 旧東海道第40宿鳴海宿 12:38 → 12:38 【鳴海宿】
- 8:26知立城址
知立古城址 母に車で送ってもらい、知立古城址から。
今日は父親と一緒にスタート。歩くペースは父親に合わせ、自分はガイド役に徹することに。
知立から宮までは名鉄名古屋本線が並走していて、いつでも電車に乗ってエスケープ可能。歩き慣れていない人にもおすすめの区間だ。知立古城址 実家は知立の隣町・刈谷なので、知立はよく知っているつもりだったが、知立古城址の存在は初耳だった。地元でも気づかないスポットがまだまだあるんだなと実感。
小松屋本家 あんまき発祥の店、小松屋本家。
和菓子の老舗「小松屋本家」は、あんまき発祥の店とされている。
さらに、その上には鉄砲店が!この意外な組み合わせが面白い。総持寺 於万の方(長勝院)生誕地の碑 総持寺の入口には「於万の方(長勝院)生誕地」の碑が立っている。「長勝院」というのは寺名かと思っていたけど、於万の方のことで、ちょっと勘違いしていた。
- 8:38逢妻川
国道1号線 大動脈国道1号線をしばらく歩く。
刈谷市内にある唯一の一里塚跡「一ツ木一里塚」をスルーしてしまった。
旧東海道を正確に辿るなら対岸に渡る必要があったけど、父親をこの虚無な歩き(見どころがあるわけでもなく旧道をトレースするだけ)に付き合わせるのは気が引けた。刈谷の旧東海道 刈谷市内で旧東海道の趣きを感じられる街並み。
津島社 いもかわうどん発祥の地である津島社。
「芋川」→「いもかわ」→「ひもかわ」→「きしめん」や「ひもかわうどん」へ。連子格子の古い家 旧東海道の趣を残す町並みを歩いていると、立派な連子格子の家が並んでいた。
この辺りでは「塚本」さんという苗字が多い。乗蓮寺 乗蓮寺のシイ 国道1号線の下 国道1号線の下をくぐる。
- 9:36
- 9:45
- 10:06
- 10:44中京競馬場前駅
有松 有松に入ると、一気に観光地らしい雰囲気に。どの店舗にも有松絞りの暖簾が掲げられていて、活気が感じられる。
有松の町並み 古い蔵や曲がりくねった道は絵になる風景そのもの。平日で人通りが少なかったけど、外国人観光客にももっと知られていい場所だと思う。
お世辞抜きで今までの旧東海道沿いでは一番素敵な場所だ。有松郵便局 郵便局の軒先にはカラフルな雛人形が飾られていて、町全体で季節を楽しむ工夫が見られた。
有松の町並み 有松はインバウンド観光客少ないのかな。東京、大阪・京都は旅程にいれるけど、好き好んで名古屋に来る外国人はいなそうだしな……
有松は日本に来る人の琴線に触れる街並みだと思うので、もったいない。服部家住宅 服部家住宅 井桁屋 有松の町並み 中濱家住宅 唐子車山車庫 小塚家住宅 有松の町並み 平部町常夜灯 千代倉歴史館と蔵 鳴海の町並み - 12:00
- 12:38【鳴海宿】
【鳴海宿】から【宮宿】まで
【鳴海宿】 12:38 → 12:48 秋葉常夜燈 12:48 → 13:09 笠寺一里塚 13:09 → 13:15 笠寺観音 13:15 → 14:15 宮宿 14:15 → 14:19 【宮宿】
- 12:38
- 12:48
- 13:09
- 13:15
- 14:15
- 14:19
【宮宿】から熱田駅まで
【宮宿】 14:19 → 14:19 七里の渡し跡 14:20 → 14:45 熱田駅
- 14:19【宮宿】
- 14:19
- 14:45