日本百名山全山踏破 47座目 甲斐駒ヶ岳 | 白き花崗岩の名峰・実家帰省ついでの南アルプス

甲斐駒ヶ岳の稜線 日本百名山
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甲斐駒ヶ岳に向かうまで

装備の準備と帰省ルートの発案

前年の夏、父親から譲り受けた大型ザック。9月に計画している北アルプス縦走のために、モンベルのオンラインショップでアウトレットのザックカバーを購入。1,663円の出費だ。

さらに、0.5Lのナルゲンボトルをアマゾンで購入。1,254円。ハイドレーション用のTPU袋は必須アミノ酸のスポーツドリンクに使用するため、純粋な水用として別途必要だった。ナルゲンボトルは広口なので、プロテインのシェーカーとしても活用できそうだ。まあ、ペットボトルでも困ったことはないのだが。

一筆書きの帰省ルートという冒険

実家への帰省も、毎回同じルートでは面白味に欠ける。山登りを組み込みながら東京から実家(愛知県)へ帰れるルートを模索した結果、南アルプスの山々が候補に浮上した。

そこで立案したのが、荻窪駅→甲府駅→広河原→北沢峠へと電車とバスでアプローチし、甲斐駒ヶ岳登頂後は北沢峠→仙流荘→伊那市駅→刈谷駅という一筆書きの帰省ルート。おそらく誰もやったことのない斬新な帰省方法だろう。

前回の五竜岳でも使用した青春18きっぷを活用し、始発の荻窪駅4:31発で甲府駅を目指す。

南アルプス登山バスのチケット
南アルプス登山バスのチケット

広河原への始発便は甲府前泊が必要なので、7時5分発の広河原行きバスを利用。電車で甲府駅に20分前到着したが、すでに長蛇の列ができており、その場で料金徴収が行われていた。

バスが到着して乗り込むと、自分の後ろあたりで座席が満席となり、立ち客ですし詰め状態。甲府駅からは増便なく1台で出発したが、竜王駅で後続バスが到着し、立ち客はそちらに移動して全員着席できた様子だった。

北沢峠へのバス
北沢峠へのバス

広河原までのバスが遅延し、北沢峠への接続が不安になったが、連絡を取って待機してもらえることになった。北沢峠行きのマイクロバスでは、膝上にザックを載せての出発となる。

バス車窓から見る仙丈ヶ岳
バス車窓から見る仙丈ヶ岳

北岳や仙丈ヶ岳、滝などの見どころでは、運転手がスピードを緩めて案内してくれる心遣いがありがたい。

北沢峠
北沢峠

予定より10分遅れで北沢峠に到着。南アルプスの玄関口としての風格を感じさせる。

実際に登ってみた

日程: 2018年8月4日(土) [日帰り] 天候: 晴れ

アクセス

往路

  • 南アルプス登山バス:甲府駅 7:05 → 9:05 広河原(2,050円、利用者協力金100円含む)
  • 南アルプス市営バス:広河原 9:10 → 9:35 北沢峠(1,000円)

復路

  • 南アルプス林道バス:北沢峠 16:00 → 16:45 仙流荘(1,340円、手回り品料金210円含む)
  • パノラマライナー:仙流荘 16:50 → 17:30 伊那市駅(800円)

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
05:4910.2km1,270m1,256m

コースタイム

ルート: 北沢峠-長衛小屋-仙水峠-駒津峰-甲斐駒ヶ岳-摩利支天-駒津峰-双児山-北沢峠

山行タイムライン
  • 09:46
    北沢峠
    北沢峠
    北沢峠

    道を挟んで甲斐駒ヶ岳への登山道と仙丈ヶ岳への登山道が分かれており、立派なトイレも完備されている。

  • 09:51
    仙丈ヶ岳二合目登山口
    長衛小屋への分岐
    長衛小屋への分岐

    仙水峠経由で登るため、バスで来た道を途中まで戻り、長衛小屋へ少々下る。

    長衛小屋のテント場に並ぶカラフルなテント群
    長衛小屋のテン場

    長衛小屋のテント場には、カラフルなテントが美しく整列している。

  • 09:56
    長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)
    長衛小屋の立派な山小屋建築
    長衛小屋

    堂々とした佇まいの長衛小屋。

    清流に架かる橋

    橋を渡り、しばらく小川に沿って歩く道。直射日光が当たらない限り、実に涼しげだ。

    登山道に突然現れるロープ

    これまで遊歩道のような道だったが、突然ロープが現れる。ただし、ロープを使わなくても通過は可能だ。

  • 10:17
    仙水小屋
    仙水小屋
    仙水小屋
    シラビソ、コメツガの森
    シラビソ、コメツガの森

    シラビソ、コメツガの森に包まれて歩く爽快感。森林浴の極致といえる環境だ。

    森とゴーロの境目
    森とゴーロの境目
    ゴーロ帯の岩石群
    ゴーロ

    ゴーロ帯は目印が少なめなので、ガスに包まれた場合は相当困難を極めそうだ。

  • 10:38
    仙水峠
    仙水峠から見上げる甲斐駒ヶ岳
    仙水峠

    甲斐駒ヶ岳の山頂は雲に覆われている。これは景色に期待できそうにない。

    ミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ
    仙水峠から振り返る栗沢山
    栗沢山

    仙水峠からは本格的な急登が始まる。振り返ると栗沢山が見える。

  • 11:32
    駒津峰
    駒津峰
    駒津峰

    駒津峰は2つの登山ルートが合流して広場となっているため、休憩中の登山者が多い。ここでようやく甲斐駒ヶ岳の山頂部が雲間から姿を現した。

    駒津峰から甲斐駒ヶ岳への白い稜線
    甲斐駒ヶ岳の稜線

    一旦下って登り返すルートとなるが、岩場の混じる道で狭い箇所もあるため、登山者と下山者でしばしば渋滞が発生する。

  • 12:02
    六方石
    六方石周辺の花崗岩の巨岩群
    六方石

    六方石を回り込む渋滞を抜けて振り返った地点。汗で体が冷えたのか、時々腹痛に襲われる。

    直登ルートと巻道ルートの分岐
    直登ルートと巻道ルートの分岐

    山頂への直登ルートと巻道ルートの分岐点。せっかくの機会なので、登りは直登コースを選択した。

    直登ルートの岩場
    直登ルートの岩場
    白い砂のザレた道
    白い砂のザレた道

    直登ルートの山頂直前では白い砂のザレた道となり、踏み込んでも沈み込むため歩行が困難だ。甲斐駒ヶ岳特有の花崗岩の砂だろう。

  • 12:47
    甲斐駒ヶ岳
    甲斐駒ヶ岳山頂(2967m)
    甲斐駒ヶ岳の頂上

    ついに甲斐駒ヶ岳の山頂に到達。しかし、ガスに覆われて何も見渡せない状況は実に残念だ。

    甲斐駒ヶ岳三角点
    甲斐駒ヶ岳三角点
    ガスに包まれた甲斐駒ヶ岳山頂
    頂上はガス

    絶景を望むなら、ガスが湧き上がる前に登頂するべきだろう。ただし、日帰りでは時間的に無理がある。

    甲斐駒ヶ岳頂上
    甲斐駒ヶ岳頂上
    山頂から巻道ルートへの下山開始
    巻道ルートへ

    下山は巻道ルートを選択。

  • 13:16
    駒ヶ岳神社本宮
    分岐から摩利支天へ
    分岐から摩利支天へ

    巻道ルートの途中から摩利支天へ向かう。ザックは分岐点にデポした。

  • 13:33
    摩利支天
    摩利支天の岩峰
    摩利支天

    トラバース気味のルートを経て、最後は登って摩利支天に到達。正直なところ、あまりわざわざ来る価値は感じなかった。ガスが晴れていれば、また違った印象だったかもしれないが。

  • 14:02
    六方石
  • 14:19
    駒津峰
    双児山を経由して下りる
    双児山を経由して下りる

    下山は双児山経由のルートを選択。リズムに乗って下りやすい自分好みの下山道だが、腹痛が激しくなったためペースを落としてゆっくりと歩く。

  • 14:46
    双児山
    双児山
    双児山

    双児山への登り返しもなかなか辛いが、ここを越えれば後は下るのみだ。

  • 14:52
    双児山南峰
  • 15:34
    北沢峠 こもれび山荘
  • 15:35
    北沢峠

    北沢峠に到着するなり、急いでトイレに駆け込む。何とかセーフ…

仙流荘バス停
仙流荘バス停

仙流荘でパノラマライナーに乗り換え。北沢峠からのバスは増便されて何台も運行されていたが、パノラマライナーとの接続のため、早めのバスに乗車できるよう優遇してもらえた。

「ぼくくうかん鳥」の空き缶回収機
ぼくくうかん鳥

昔、様々な場所で目にした「ぼくくうかん鳥」という空き缶回収機。非常に懐かしい。

伊那市駅
伊那市駅

伊那市駅に到着し、予定通りバスの乗り継ぎを完了。その後、飯田線で岡谷駅に戻り(飯田線で豊橋へ向かうとその日のうちに帰宅できない)、中央西線で名古屋へと向かった。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

分岐が合流する駒津峰からの登りは、狭い岩場の登りとなり混雑による渋滞が頻発する。山頂への直登コースは、初めは手でよじ登るような岩場だが、その後は比較的楽になる。最後は白い砂のザレ道が特徴的だ。

感想・記録

東京から実家の愛知へ帰省する途中に登れそうな山を探索した結果、甲斐駒ヶ岳がルート上に浮上し、今回の計画となった。甲府駅、広河原、北沢峠、仙流荘、伊那市駅とバスを乗り継いで南アルプス林道を走破できるのも興味深い体験だった。

甲斐駒ヶ岳は、中央線の車窓から眺める白い山頂がいつも気になっていた山だ。白く見える花崗岩の山肌を実際に歩いていると思うと、深い感慨を覚えた。ただし、ガスに覆われた景色だけは残念だったので、機会があれば次回はテント泊で挑戦したい。

かかった費用と装備

交通費

  • 電車(青春18きっぷ1枚分): 2,370円
  • バス: (2,050円+1,000円+1,340円+800円)5,190円

交通費合計: 7,560円

食費

  • 昼食: 500円
  • 行動食: 300円

食費合計: 800円

装備費

  • ザックカバー: 1,663円
  • ナルゲン0.5Lボトル: 1,254円

装備費合計: 2,917円

総費用

合計: 11,277円

今になって思うこと

実家帰省の機会を活用するのは、日本百名山攻略において非常に重要な戦略である。

2019年の伊吹山(帰り)、天城山(行き)、2020年の甲斐駒ヶ岳(行き)、2019年の槍ヶ岳・穂高岳(行き)、大台ヶ原・大峰山(帰省中)、2020年の大山(行き)、2021年の光岳・聖岳(帰省中)など、帰省の行きか帰りの途中に立ち寄ったり、帰省中に登りに行った百名山は数多い。

大型連休が確保できることと、帰省交通費を削減できることが最大のメリットだ。しかし、帰省する姿が薄汚れた登山靴とザックということになり、ろくな土産も持参できないため、家族には顰蹙を買うかもしれない…


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