日本百名山全山踏破 51座目 羅臼岳 | ヒグマ生息地・知床半島最高峰の激闘

羅臼岳山頂 日本百名山
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羅臼岳に向かうまで

携帯圏外の車中泊

前日の斜里岳下山後、羅臼岳登山口である知床半島の奥地まで移動し、携帯電話の電波が一切届かない山奥で車中泊を決行した。

2018年9月2日 ホテル地の涯からの早朝出発

ホテル地の涯リニューアルオープン記念の日帰り入浴案内
地の涯ホテルの日帰り入浴

翌朝、ホテル地の涯の日帰り入浴案内を発見。リニューアルオープン記念で大人800円・小人400円という料金設定だった。下山後に利用を検討したが、開館時刻の11時より遥かに早い時間に下山完了する予定のため、実質利用不可能だろう。

実際に登ってみた

日程: 2018年9月2日(日) [日帰り] 天候: 曇り

アクセス

岩尾別温泉・ホテル地の涯前の駐車場を利用。登山者専用駐車場は未舗装エリアの約6台分。満車の場合は途中の車道路肩への駐車となる。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
05:0214.1km1,459m1,458m

コースタイム

ルート: ホテル地の涯-羅臼平-羅臼岳-羅臼平-ホテル地の涯

山行タイムライン
  • 04:52
    ホテル地の涯
  • 04:56
    木下小屋
    木下小屋
    木下小屋

    木下小屋。手前にトイレ設備が完備されている。ここから本格的な登山道へと足を向ける。

    羅臼岳登山口
    羅臼岳登山口
    登山道入口付近に咲くクサフジ
    クサフジ
    羅臼岳登山道序盤の花
    登山道で発見した作業用手袋

    工事関係者のものと思われる手袋が落ちていた。道路に散らばる軍手のコレクション的な感覚で、ついつい撮影してしまう。

  • 05:52
    弥三吉水 天場
    工事作業員のテント場
    工事作業員のテント場

    工事作業員のテント場。ヒグマが頻繁に出没するこのような場所で宿泊するとは、職業上の責任とはいえ過酷な環境だ……

    弥三吉水天場付近の登山道
  • 05:59
    極楽平
    極楽平
    極楽平

    しばらく続いていた急登もここで一旦平坦になり、脚への負担が軽減される。

  • 06:31
    銀冷水 天場
    銀冷水の水場
    銀冷水

    銀冷水(要煮沸)。小川からの水ということだろうか?

  • 06:43
    大沢
    森林限界突破と強風の洗礼開始

    森林帯を抜けて風を遮る物がなくなった途端、体に直接的な追い風が吹きまくる。勝手に前方へ押し出されるほどの強烈な風だ。

    水分を含んだガスの中へ

    いつの間にか風が水分を帯び始め、下から巻き上がって全身を濡らしていく。

    岩場に咲くイワギキョウ
    イワギキョウ
  • 07:03
    羅臼平
    羅臼平の広大な平坦地
    羅臼平

    ヒグマ出没にドキドキしていた心境も、これほどの暴風ではヒグマすら姿を現さないだろうと心境が一変した。

    羅臼平の花
    羅臼平のフードロッカー
    羅臼平のフードロッカー

    登山道にフードロッカーが設置されているのは日本でここだけ(前日の知床世界遺産センターで学習済み)。

    本来なら山頂が望める羅臼平からの展望

    晴天であれば、山頂の姿が見えているはずの地点だ。

  • 07:13
    岩清水
    岩清水
    岩清水
    山頂直下岩場帯
    山頂直下

    山頂直下は岩場帯に変化。こまめに設置された赤いペイント矢印のおかげでルートファインディングに迷うことはない。

    羅臼岳山頂直下の花
    羅臼岳山頂直下の花
    羅臼岳山頂直下のイワオトギリ?
    イワオトギリ?
  • 07:28
    羅臼岳直下の岩場
    水分を含んだガスによる体温低下

    水を含んだガスで次第に体が冷却されてきた(この時点でもレインウェア未着用という重大な判断ミス)。

    羅臼岳山頂直下の花
    羅臼岳山頂直下の花
    羅臼岳山頂手前の最終アプローチ
    山頂手前

    少し上方で風が通過する音がゴォーゴォーと響き渡っており、これからそこへ登っていくという恐怖感が込み上げる。

  • 07:37
    羅臼岳
    羅臼岳山頂(1661m)
    羅臼岳山頂

    この写真撮影だけ、登頂証明を残すためだけの山頂滞在。尋常ではない台風並みの暴風が吹き付け、体を低くして三点支持で移動しなければ飛ばされそうな状況だった。生命の危険を感じた瞬間だった。

  • 07:52
    羅臼岳直下の岩場
  • 08:08
    岩清水
  • 08:15
    羅臼平
  • 08:29
    大沢

  • 08:39
    銀冷水 天場

  • 09:03
    極楽平
  • 09:08
    弥三吉水 天場
    下山途中で初めて見えた下界の青空

    下山途中、前方が開けた地点で初めて広がる景色を目撃。下界は晴れているようだ。

  • 09:51
    木下小屋
  • 09:53
    ホテル地の涯
    ホテル地の涯
    ホテル地の涯

    無事生還。ここも携帯電話圏外のため、知床五湖まで移動してコンパスの下山届を提出した。

カムイワッカ湯の滝での念願の体験

早朝登山だったため、下山も予定より2時間以上前倒しとなった。

大学生時代の北海道自転車ツーリング中、様々なライダーハウス(ツーリング旅行者向けの安価な宿泊施設)で「カムイワッカ湯の滝」の噂を何度も耳にし、その時から訪問を切望していた。数十年の時を経て、ようやく実現の機会を得た。

キタキツネ
キタキツネ
お魚くわえたキタキツネ
お魚くわえたキタキツネ

カムイワッカ湯の滝への道中で遭遇したキタキツネ。よく観察するとお魚咥えていた。

カムイワッカ湯の滝で水遊び

カムイワッカ湯の滝
カムイワッカ湯の滝

滝自体が温泉となっているカムイワッカ湯の滝。流れる川も水も温かく、自然の恵みを肌で感じることができる。

カムイワッカ湯の滝の温かい川
カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝
  • カムイワッカ湯の滝

知床五湖の高架木道を散策

知床五湖
知床五湖

戻って知床五湖へ。一昨年に訪問経験があり、その際はレクチャーを受講して地上遊歩道を散策した。今回は、レクチャー不要で気軽に散策できる高架木道を選択。

  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
  • 知床五湖
知床五湖一湖からの知床連山のパノラマ
知床五湖のパノラマ

羅臼岳に掛かっている雲が消失していないことから、午後まで山頂に滞在していても展望期待は薄かっただろう。

阿寒湖方面への移動と野生動物観察

道路横断するエゾシカ
エゾシカ

キタキツネ以外にもエゾシカが道路を横断するため、車両運転時は野生動物への細心の注意が必要だ。

遠望する斜里岳
斜里岳
道の駅 パパスランドさっつる
道の駅 パパスランドさっつる

途中立ち寄りの道の駅パパスランドさっつる。「ここで野菜の皮むきやめて!」というトイレの注意書きが印象的だった。

ロコソラーレ顔出しパネル
ロコソラーレ

ロコ・ソラーレの顔出しパネル。翌日は北見駅へ戻る予定のため、時間に余裕があれば同じ北見市の常呂町へ聖地巡礼を検討したが、往復2時間要するため断念した。

雌阿寒岳
雌阿寒岳
阿寒横断道路で遭遇したキタキツネ
キタキツネ

阿寒横断道路の途中で多数のキタキツネに遭遇。

キタキツネ
キタキツネ
キタキツネ
キタキツネ
キタキツネ
キタキツネ

阿寒湖アイヌコタンに立ち寄って、その後雌阿寒温泉へ

阿寒湖アイヌコタン
阿寒湖アイヌコタン
阿寒湖アイヌシアターイコㇿ
阿寒湖アイヌシアターイコㇿ

北海道各地を巡る必要があり、極めて高い難易度で話題となったゴールデンカムイスタンプラリー(2018年)のスポットの一つ。

アイヌ文化伝承創造館
アイヌ文化伝承創造館

阿寒湖湖畔にはコンビニも存在するため、水や食料を補給し、更に先の雌阿寒温泉へ向かった。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

随所に泥濘が発生していた。山頂直下の岩場を除く登山道は、崩れやすい箇所が土嚢で階段化されたり、足の上げ幅の大きい段差が解消されたりと、よく整備されており登りやすかった。

風を遮る樹木が少なくなる大沢付近から山頂にかけて、徐々に水分を含んだガスの中(雲の中)へ突入。下から巻き上げられる風のため、登山用レインウェアは必須装備だ。山頂は台風のような暴風で、三点支持で飛ばされないよう必死に耐えるのがやっとだった。

幸いヒグマは目撃しなかったが、下山中にすれ違った登山者によると岩峰で発見したとのこと。

羅臼岳での過酷な登山体験

北海道遠征2座目の羅臼岳。天気予報で晴れの予報に期待していたが、この荒天ぶりは何だったのか。景色どころではなく、飛ばされないよう必死に耐えるのが精一杯だった。

さらに、登山途中で体が濡れてきたにも関わらずレインウェアを着用しないという重大な判断ミスで、全身ずぶ濡れ、登山靴内部もビチャビチャの惨状。下山中にすれ違った登山者たちには、贖罪の気持ちを込めて「レインウェアを早めに着用した方が良いですよ」と伝えて回った。

下界に降りた後は、カムイワッカ湯の滝で温泉入浴を装いつつ、登山パンツの泥汚れを洗い流した。知床五湖から知床連山を望むと、見事に山頂部分だけが雲に覆われていた。

明日は雌阿寒岳に登頂し、道東3座のフィナーレを迎える。

かかった費用と装備

費用は、今回の遠征の中で最初の日本百名山 斜里岳の記事でまとめています。

今になって思うこと

羅臼岳の登山口では携帯電話が圏外のため、登山届(コンパス)は前日までに提出しておき、下山後の知床五湖で下山届を提出した。

また、ヤマレコへの山行記録提出も北海道遠征中に実施していた。大量の写真があるため、僻地の細い携帯電話回線では到底アップロード不可能で、セブンイレブン立ち寄り時に駐車場からセブンスポット(フリーWi-Fi)を活用していた。

しかし、そのセブンスポットは2021年3月にサービス終了。他のコンビニや駅等のフリーWi-Fiサービスも縮小傾向にあり、中々厳しい時代になったと感じる今日この頃だ。


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