日本百名山全山踏破 70座目 白馬岳 | 大雪渓を攻略する北アルプス屈指の人気ルート

白馬岳頂上 日本百名山
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白馬岳に向かうまで

秋が深まりを見せる季節になってきた。これまでの登山で防寒対策の必要性を実感していたため、モンベル恵比寿店で新たな装備を調達することにした。購入したのはスペリオダウンパンツと、長袖のジップシャツ。さらに「O.D.メンテナンス ダウンクリーナー」と「O.D.メンテナンス S.R.リキッドスプレー」も一緒に。撥水スプレーは梅雨の時期にも購入していたが、そろそろ在庫が心許なくなってきたタイミングでもあった。

実際のところ、ダウンパンツはダウンジャケットほど出番が多くない。ジャケットなら気軽に羽織れるが、パンツとなると一度靴を脱ぐ必要があったりして、なかなか面倒くさい。購入には踏み切ったものの、本当に必要だったのかと少し疑問に思ったりもした。

これまでのレイヤリングはソフトシェル、フリース、Tシャツの3層構成だったが、今回フリースの代わりにこの長袖ジップシャツをミドルレイヤーとして採用することにした。これで汗をかいても体温調節がしやすくなり、行動中の快適性が格段に向上するはずだ。

2019年9月28日 夜行バスで長野入り

今回の遠征は、2ヶ月前の頸城山塊攻略の続編とも言える内容だった。前回積み残していた火打山と妙高山、それに加えて白馬岳を含めた3座を一気に攻略する計画を立てた。

アクセス方法は前回と全く同じパターン。ウィラーの夜行バスで長野に向かい、おなじみのレンタカー屋で同じフィットを借りた。慣れ親しんだルートではあるが、今回の目的地は白馬の奥深くにある猿倉登山口。これまでとは違う雰囲気の山行になりそうだった。

実際に登ってみた

日程: 2019年9月28日(土) [日帰り] 天候: 曇り時々雨

アクセス

朝9時の時点で猿倉登山口駐車場の埋まり具合は7割ほど。決して空いているとは言えないが、なんとか駐車スペースを確保できた。帰りの16時頃には3割程度まで空いていたので、日帰り登山者が多いルートということが伺える。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
06:1613.3km1,756m1,768m

コースタイム

ルート: 猿倉-白馬尻-白馬岳-白馬尻-猿倉

山行タイムライン
  • 09:34
    猿倉荘
    猿倉荘
    猿倉荘

    登山口の起点となる猿倉荘。手前には清潔なトイレも設置されており、登山前の準備を整えるには十分な環境が整っている。

    白馬岳稜線の曇天に覆われた朝の風景

    上空を見上げてみると、稜線はすっかりガスに覆われてしまっている。今日の眺望はあまり期待しない方が良さそうだ。

    猿倉周辺に群生するトリカブト
    トリカブト
    猿倉から白馬岳方面へ
    ここから登山道
    ここから登山道

    猿倉荘からしばらくは林道が続く。ここまでは歩きやすい道のりで、ここから先が本格的な登山道となる。

    猿倉登山道沿いに咲くエゾアジサイ
    エゾアジサイ
    猿倉から白馬尻荘への登山道
  • 10:12
    白馬尻荘
    白馬尻荘
    白馬尻荘

    猿倉荘から約40分で白馬尻荘に到着。ここが大雪渓へのアプローチ拠点となるポイント。

    白馬尻荘周辺の登山道
    白馬岳登山道沿いに咲くミソガワソウ
    ミソガワソウ
    白馬尻荘から大雪渓方面への登山道
    白馬岳登山道で見つけたミヤマキンポウゲ
    ミヤマキンポウゲ
    白馬岳大雪渓の下部から見上げた雪渓全体
    大雪渓

    ついに白馬岳名物の大雪渓が姿を現した。ここを約100メートルほど歩いて渡ることになる。雪は固く凍っているが、アイゼンを装着しなくても歩けるコンディションだった。

    大雪渓を渡り終えた
    大雪渓上部の登山道で見つけたミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ
    大雪渓上部から白馬岳頂上方面へ
  • 11:36
    岩室跡
  • 11:53
    避難小屋
    白馬岳避難小屋
    避難小屋

    高が上がり、いよいよ高山帯の様相を呈してきた。雨が降ってきたので、避難小屋では少し休憩を取った。

    避難小屋から白馬岳頂上宿舎への稜線歩き
  • 12:41
    白馬岳頂上宿舎
    白馬岳頂上宿舎
    白馬岳頂上宿舎

    白馬岳頂上宿舎に到着したが、あいにくガスが非常に濃い状態。前方の視界がほとんど利かない状況だった。

    白馬岳頂上宿舎から白馬山荘へ
    白馬岳稜線のガスに包まれた幻想的な登山道

    ガスの濃さは想像以上で、数メートル先も見えない状況。これでは眺望は全く期待できそうにない。

  • 12:57
    白馬山荘
    白馬山荘
    白馬山荘
  • 13:14
    白馬岳
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上

    小雨が降りしきる中、ついに白馬岳の山頂に到達。残念ながら何も見えない状況での登頂となった。

    白馬岳山頂の三角点
    三角点
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上
    白馬岳頂上

    天候には恵まれなかったが、日本百名山70座目となる白馬岳の登頂を果たすことができた。

  • 13:23
    白馬山荘
    白馬山荘から下山

    下山に入ると、目の前には美しい紅葉が広がっていた。上りでは気づかなかった景色を楽しみながら下っていく。

    白馬岳下山路で見つけた鮮やかな秋の紅葉風景
    白馬岳下山中に遭遇したライチョウ
    ライチョウ

    下山途中で特別なお客さんに遭遇した。ライチョウの家族だ。小さなライチョウが5羽ほど、まるで道案内をしてくれるかのように先を歩いてくれた。これは今日一番の収穫だったかもしれない。

  • 13:57
    避難小屋
  • 14:08
    岩室跡
    白馬岳大雪渓を下山時に見下ろした
    大雪渓

    再び大雪渓に戻ってきた。下山時の方が雪渓の全貌をしっかりと観察することができる。

    大雪渓下部での下山路
    大雪渓
    大雪渓下山中の蛍光ピンクマーカーと雪上歩行
    大雪渓

    雪渓の上ではガスによって方向感覚が分からなくなりがちだ。そんな時は蛍光ピンクの目印を頼りに慎重に下っていく。ホワイトアウトの恐ろしさを実感する場面でもあった。

  • 15:10
    白馬尻小屋
  • 15:44
    猿倉荘
  • 15:50
    猿倉登山口駐車場

下山後:猿倉登山口から日本海周りで笹ヶ峰野営場へ

明日登る予定の火打山と妙高山。その登山口である笹ヶ峰野営場は、白馬の西側から直接アクセスすることができない。そのため野尻湖のある妙高高原方面へ一度大きく回り込む必要がある。

通常であれば戸隠を経由するのが最短ルートだが、前回高妻山登山の際に通った道でもあるため、今回はあえて日本海を経由する遠回りのルートを選択した。

途中、3年前の糸魚川市大規模火災で被災された酒蔵でお酒を購入しようと糸魚川市街に立ち寄ったが、残念ながら閉店時間を過ぎており、訪問は叶わなかった。

道の駅マリンドリーム能生と久比岐自転車道のPRキャラクター
道の駅 マリンドリーム能生

途中で立ち寄った道の駅マリンドリーム能生。久比岐自転車道のPRキャラクター「久比岐凛」のポスターが貼られていた。この久比岐自転車道は以前サイクリングで利用したことがあるが、旧国鉄北陸本線のレトロなトンネルが連続する、走りがいのあるコースでおすすめだ。

大幅に遠回りしたこともあり、笹ヶ峰野営場に到着したのは21時少し前。かなり遅い時間になってしまった。

下山後の感想

長野市内では金木犀の香りが漂い、すっかり秋の気配を感じながら白馬の猿倉へ向かった。あいにくの天気と前夜の夜行バス移動による寝不足が重なり、登り始めは正直憂鬱な気分だった。しかし大雪渓の変化に富んだ景色に励まされ、厳しい登りをなんとか攻略することができた。

やはり予想していた通り、山頂では何も見えずに終わってしまった。白馬岳と言えば後立山連峰の美しい稜線が自慢の山だけに、これは本当に残念だった。いつかリベンジしたいところだ。

下山後は、糸魚川・直江津経由の大きな遠回りドライブを敢行し、明日登る火打山・妙高山の登山口へ向かった。明日は天気が回復してくれることを祈りたい。

コース状況について振り返ると、猿倉から白馬岳頂上宿舎までの区間、特に白馬尻小屋からの大雪渓付近は要注意だ。大雪渓をエスケープする夏道は登りはそれほど問題ないが、下りでは落石しやすく結構ハードな箇所がある。トラバースする部分では道が細く、崩れやすい崖になっている場面もあった。一方で稜線に入ると比較的なだらかになり、歩きやすい。ただし白馬岳の山頂東側は崖になっているため、ガスの中での行動時は特に注意が必要だ。

かかった費用と装備

遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。

交通費用

  • 高速バス: 新宿→長野 往復 5,500円
  • 電車: 市内移動 308円
  • レンタカー: 35時間利用 6,325円
  • ガソリン代: 2,281円

交通費合計: 14,414円

装備費用

  • モンベル スペリオダウンパンツ: 13,824円
  • モンベル ウイックロン ZEOサーマル ロングスリーブジップシャツ: 6,156円
  • O.D.メンテナンス ダウンクリーナー: 756円
  • O.D.メンテナンス S.R.リキッドスプレー: 1,080円

装備費合計: 21,816円

食費・その他

  • 食費: 朝昼晩 2日分 4,000円
  • 行動食: 2日分 600円

食費合計: 4,600円

総費用

合計: 40,830円

今になって思うこと

今回通った白馬大雪渓だが、事前の情報収集は絶対に欠かせない重要ポイントだ。9月以降は大雪渓が溶けてクレバスがあちこちに発生したり、雪のアーチが崩壊するなどして、最悪の場合通行止めになってしまう恐れもある。加えて雪渓では常に落石の危険性があることも覚悟しておく必要がある。

下山時に実際に体験したが、雪原の上でガスが立ち込めると、いわゆるホワイトアウトによって一瞬で方向感覚を失ってしまう。自然の恐ろしさを目の当たりにした山行となった。白馬岳は人気の山だからといって決して侮ってはいけない、北アルプスらしい厳しさを持った山だということを改めて感じた。


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