南四日市~加佐登 11.9km 真夏の帳尻合わせと小古曽の風情
はじめに:鈴鹿峠への準備として、少しでも前へ
2024年8月18日、日曜日。前回のリベンジ…というか、次回に予定している鈴鹿峠を越えるための帳尻合わせに出かけました。
本来なら、前回のゴール地点である南四日市駅から関宿まで、約30kmの道のりを一気に歩きたかったんです。でも、この真夏の殺人的な暑さを考えると、それは自殺行為に等しい。
「でも、少しでも前に進んでおきたい」
そんな思いから、猛暑覚悟で歩くことにしました。目標は控えめに、「30kmの半分くらい歩ければいいかな」と。結果的には、その半分にも届かない11.9kmでギブアップすることになるんですけどね…
早朝スタートでも厳しい暑さとの戦い
南四日市駅から東海道へ

朝7時24分、南四日市駅からスタート。駅には意外と多くの人が降りていました。
「学校が近くにあるみたいだし、部活動かな?」
夏休み中でも頑張る学生たちの姿を見ながら、自分も頑張ろうと気合いを入れます。でも、まだ朝なのに既に暑い。今日はどこまで行けるか、正直不安でした。
日永の追分:伊勢への分かれ道

7時48分、日永の追分に到着。ここは東海道と伊勢参宮道の分岐点です。
「左に行けば伊勢参宮道、右に進むと東海道(京大坂道)」
江戸時代、多くの旅人がここで進路を決めたんでしょうね。伊勢神宮への参拝か、京都・大坂への旅か。今の私は迷わず右へ、東海道を進みます。
ちなみに、この近くにある「四日市あすなろう鉄道内部線」の追分駅。なんとも可愛らしい名前の鉄道ですが、実は日本に3つしかないナローゲージ(特殊狭軌)の鉄道の一つなんです。鉄道ファンには有名な路線らしいですよ。
小古曽地区:観光地化されていない素朴な町並み
歴史を感じる風情ある街道

追分から杖衝坂にかけての小古曽(おごそ)地区は、今回の行程で最も印象的な場所でした。
古くからの民家が軒を連ね、観光地化されていない素朴な風景が広がっています。派手な看板もなく、土産物屋もない。ただ、地元の人々の日常がそこにあるだけ。
「こういう発見が、東海道を歩く最大の魅力だよなぁ」
有名な宿場町や観光地もいいけれど、こうした何気ない町並みにこそ、本当の東海道の姿があるような気がします。軒先に洗濯物が干してあったり、猫が日陰で昼寝していたり。そんな日常の風景が、なぜか心を和ませてくれるんです。
杖衝坂と三重県の由来

8時24分、杖衝坂(つえつきざか)に到着。久しぶりの坂道に、足が重く感じます。
ここには「三重」という地名の由来が記された案内板がありました。古事記によると、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰路、この地で「吾が足三重の勾りなして、いと疲れたり」(私の足は三重に折れ曲がるほど疲れた)と言ったことから、「三重」の地名が生まれたとか。
「なるほど、日本武尊も疲れたのか…」
暑さでヘトヘトになっている私には、とても共感できる話でした。
石薬師宿への道:国道1号線の試練
影のない道での戦い
杖衝坂を越えると、国道1号線と合流します。ここからが本当の地獄でした。
まったく影がない。どこまでも続くアスファルトの道。照りつける太陽。気温は既に35度を超えているでしょう。日焼け止めをしっかり塗っていても、肌がヒリヒリと痛くなるほどの日差しです。

「Otsu Tsu」
青看板のローマ字表記を見て、ついスマホのベンチマークソフト「AnTuTu」を思い浮かべるなど、暑さで思考が迷走し始めていました。
石薬師宿到着とその先

9時15分、なんとか石薬師宿に到着。小澤本陣跡の案内板を見ながら、しばし休憩。
石薬師寺にも立ち寄りましたが、この頃には完全に暑さでやられていました。瑠璃光橋からは、はるか遠くに亀山の町が見えます。
「あそこまで行くにはまだまだ歩かないと…」
でも、もう無理でした。
ギブアップの決断:加佐登駅へ
たった2時間半で限界
9時48分、東海道から離れて加佐登駅へ向かうことを決断。当初の目標の半分どころか、3分の1程度しか進めていません。

9時54分、加佐登駅に到着。たった2時間半、11.9kmの道のり。普段なら物足りないくらいの距離ですが、この暑さでは限界でした。
「情けない…でも、命あっての物種だ」
駅の待合室で涼みながら、次回への作戦を練ります。
真夏の東海道歩き:得られた教訓
暑さ対策の限界を知る
今回の経験から、真夏の東海道歩きについて重要な教訓を得ました。
- 早朝スタートでも限界がある
- 7時台スタートでは遅すぎる
- 5時前、できれば4時台のスタートが必須
- 距離より時間で計画を立てる
- 真夏は10時までが限界
- 15km程度を上限に設定すべき
- 影のない区間は避ける
- 国道沿いは特に危険
- 旧道や山道を選ぶ
- 無理は絶対にしない
- プライドは捨てる
- 次があることを忘れない
小さな前進も大切
結果的に11.9kmしか進めませんでしたが、これも立派な前進です。東海道五十三次の旅は、スピードを競うものではありません。
次回は関宿まで歩き、その次にいよいよ鈴鹿峠に挑戦します。東海道最後の難所と言われる峠越え。涼しくなってから、万全の体調で臨みたいと思います。
まとめ:帳尻合わせも旅の一部
南四日市から加佐登まで、わずか11.9kmの道のり。「帳尻合わせ」と自嘲気味にタイトルをつけましたが、これも大切な旅の一部です。
小古曽地区の素朴な町並み、杖衝坂での日本武尊への共感、そして真夏の暑さとの戦い。短い距離でも、多くの発見と経験がありました。
東海道五十三次も終盤戦。ゴールの京都三条大橋まで、あと少しです。焦らず、無理せず、でも着実に。一歩ずつ前へ進んでいきます。
南四日市~加佐登の歩行記録
- 日程:2024年8月18日(日)
- 天候:快晴
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
02:30 | 11.9km | 68m | 48m |
地図・標高グラフ
コースタイム
南四日市駅から【石薬師宿】まで
南四日市駅 7:24 → 7:35 東海道との分岐 7:47 → 7:48 日永の追分 8:11 → 8:12 内部橋 8:23 → 8:24 杖衝坂 → 9:15 【石薬師宿】
- 7:24
- 7:35
- 7:48
- 8:12
- 8:24
- 9:15
【石薬師宿】から加佐登駅まで
【石薬師宿】 9:15 → 9:16 石薬師宿 9:23 → 9:24 瑠璃光橋 9:29 → 9:30 石薬師の一里塚跡 → 9:48 東海道との分岐 → 9:54 加佐登駅
- 9:15
- 9:16石薬師宿
- 9:24
- 9:30
- 9:48
- 9:54