2025年の元日、足を引きずりながら歩く東海道 〜痛みと共に迎えた新年の旅路〜
2日前の鈴鹿峠越えで痛めた足が、まだ十分に回復しないまま、続きの三雲駅へ。
よりによって今日は2025年の元日。まさかこんな日に、徒歩旅で新年を迎えることになるとは思わなかった。
普通なら初詣に行ったり、家でのんびりおせちを食べたりする日なのに、私は何をやっているんだろう。でも、これもまた人生の思い出になるはず。そう自分に言い聞かせながら、暗い駅前に立っていました。
日の出前の静寂 誰もいない東海道を歩く

朝6時31分、まだ真っ暗な三雲駅をスタート。元日の早朝だから当然かもしれないけど、本当に誰もいない。街灯の明かりだけが頼りで、足元も覚束ない。
でも、この静けさがいいんです。普段は車がびゅんびゅん走る道も、今日はシーンと静まり返っている。自分の足音だけが響く中を歩いていると、なんだか江戸時代の旅人になった気分。「元日から東海道を歩く物好きは、江戸時代にもいたのかな」なんて考えながら。
天井川の不思議な体験
今回のルートは滋賀県の西から東へ、琵琶湖に向かってなだらかに下っていく道。大きなアップダウンもなく、基本的には淡々と進むだけ。正直、景色的には単調で、写真映えするようなスポットも少ない。

でも、途中にあった天井川の隧道にはちょっと気分が高まりました。大沙川隧道、別名「吉永のマンポ」。「まんぽ」とはトンネルを意味するこの地方の言葉らしい。
くぐるとき、「この上を川が流れてるんだな」と思うと不思議な気持ちに。普通、川は地面より低いところを流れるものなのに、ここでは逆転している。まるで自然の法則に逆らっているみたい。
ちなみに、全国にある天井川の3分の1は滋賀県に集中しているらしいです。琵琶湖に向かって流れる川が、長年の土砂の堆積で川底が上がっていった結果なんだとか。地理の教科書で習ったことが、実際に目の前にあると感慨深い。
足の痛みとの戦い
歩き始めて1時間で限界が
正直に告白すると、歩き始めて1時間もしないうちに「これはヤバい」と思いました。2日前の鈴鹿峠越えで痛めた足裏が、もう悲鳴を上げている。
最初は「まあ、歩いているうちに慣れるだろう」と楽観的に考えていたんです。でも、石部宿手前になって、もう一歩一歩が激痛。足を地面につけるたびに、針で刺されるような痛みが走る。
「なんで無理して歩いているんだろう」と自問自答しながらも、せっかくここまで来たんだから、もう少し頑張ろうと自分を奮い立たせる。でも、体は正直です。歩き方もだんだんおかしくなってきて、完全に足を引きずっている状態。
飛び出し坊やに励まされる

そんな中、ちょっと心が和んだのが「飛び出し坊や」との出会い。さすが飛び出し坊やの聖地・滋賀県。バリエーション豊富で、見つけるたびに楽しい。
普通の飛び出し坊やもいれば、ちょっと変わったポーズのものも。中には手作り感満載のものもあって、地域の人たちの愛情を感じます。痛みで下を向きがちだった私も、飛び出し坊やを探しながら歩くことで、少しは気が紛れました。
宿場町の面影を探して
石部宿の静かな佇まい

石部宿は東海道五十三次の51番目の宿場町。でも、正直なところ、宿場町としての面影はあまり残っていません。本陣跡の石碑がぽつんと立っているくらい。
それでも、道幅の狭さや微妙に曲がりくねった道筋に、かつての宿場町の名残を感じることができます。こういう細かいところに気づけるのも、徒歩旅の醍醐味かもしれません。
草津宿で見た初詣の風景

草津宿に着いた頃、ようやく街に活気が出てきました。立木神社には初詣客がちらほら。みんな晴れ着を着て、幸せそうな顔をしている。
一方の私は、汗だくで足を引きずりながら歩く姿。完全に場違いな感じです。でも、神社の前を通りかかったとき、思わず手を合わせました。「今年も無事に東海道を歩き終えられますように」って。
限界を迎えた南草津駅
大津まで行きたかったけど…
本当は、琵琶湖のほとりにある大津くらいまでは歩きたかったんです。東海道五十三次も、いよいよ終盤。京都まであと少しというところまで来ているのに。

でも、南草津駅に着いた時点で、もう限界でした。足は棒どころか、もはや感覚がない。電車の席に座った瞬間、「ああ、もう一歩も歩けない」と実感。
今回は最初から本当に辛かった。おそらく、2日前に蓄積された痛みが残っているんでしょうね。一歩進むのも苦痛で、「なんでこんなことしているんだろう」と何度も思いました。でも、ここでやめたら、また続きを歩きに来なければならない。その葛藤の中で、なんとか南草津駅まで辿り着いたという感じです。
新年早々の敗北感と達成感
結局、予定の半分も歩けずにリタイア。新年早々、痛みに耐えながらの徒歩旅。正直、「さっさと家に帰りたい」というのが本音でした。
でも、電車に乗って帰る道中、不思議と充実感もありました。元日から20km歩いたという事実。痛みに耐えながらも、自分の足で前に進んだという達成感。これはこれで、忘れられない新年の思い出になりました。
東海道歩きから学んだこと
無理は禁物、でも諦めない心も大切
今回の経験から学んだのは、「無理は禁物」ということ。特に連続して歩く場合は、体の回復時間をしっかり取ることが大切です。
でも同時に、「諦めない心」の大切さも感じました。痛みがあっても、なんとか20km歩き切った。これは自信になります。人生も同じで、辛いときでも一歩ずつ前に進めば、いつかゴールに辿り着ける。
東海道歩きを計画している人へ
これから東海道を歩こうと思っている人に、いくつかアドバイスを:
- 連続して歩く場合は休息日を設ける:特に山越えの後は最低1日は完全に休む日を作る
- 靴とインソールは妥協しない:足の痛みは全ての楽しみを奪います
- 無理な計画は立てない:1日20km程度が無理のない距離
- 季節を選ぶ:真夏と真冬は避けた方が無難
- 小さな発見を楽しむ:飛び出し坊やや道標など、細かいところに目を向ける
次回への期待
次回はいよいよ、2022年11月に日本橋をスタートした東海道五十三次の徒歩旅のゴール。京都・三条大橋を目指します。
ただ、次に歩くのは春か夏くらいになりそうな予感。足の痛みが完全に治るのを待って、万全の状態で臨みたいと思います。
というわけで、これまでブログには過去の記録をまとめてきたけど、この続きを書くのはしばらく先になりそうです。でも、必ず完歩して、その感動をお伝えしたいと思います。
2025年の元日、痛みと共に歩いた20km。辛かったけど、これもまた東海道五十三次の思い出の1ページ。次回、いよいよフィナーレです!
三雲~南草津の歩行記録
- 日程:2025年1月1日(水)
- 天候:晴れ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
05:06 | 20.0km | 3m | 54m |
地図・標高グラフ
コースタイム
三雲駅から【石部宿】まで
三雲駅 6:31 → 6:55 大沙川隧道 → 7:11 夏見会館 → 7:15 由良谷川隧道 → 7:20 はり休憩所 → 8:04 石部宿 田楽茶屋 → 8:14 【石部宿】
- 6:31
- 6:55
- 7:11夏見会館
- 7:15
- 7:20
- 8:04
- 8:14【石部宿】
【石部宿】から【草津宿】まで
【石部宿】 8:14 → 8:54 法界寺 地蔵院 8:55 → 10:24 ほっこり庵 10:34 → 11:00 【草津宿】
- 8:14
- 8:54
- 10:24
- 11:00【草津宿】
【草津宿】から南草津駅まで
【草津宿】 11:00 → 11:11 矢倉橋 11:12 → 11:27 上北池公園 11:28 → 11:28 野路の一里塚跡 → 11:38 南草津駅
- 11:00
- 11:11
- 11:27上北池公園
- 11:28
- 11:38