東海道五十三次を歩く 17日目 三雲~南草津

飛び出し坊や 巡礼
スポンサーリンク

2025年の元日、足を引きずりながら歩く東海道 〜痛みと共に迎えた新年の旅路〜

2日前の鈴鹿峠越えで痛めた足が、まだ十分に回復しないまま、続きの三雲駅へ。
よりによって今日は2025年の元日。まさかこんな日に、徒歩旅で新年を迎えることになるとは思わなかった。

普通なら初詣に行ったり、家でのんびりおせちを食べたりする日なのに、私は何をやっているんだろう。でも、これもまた人生の思い出になるはず。そう自分に言い聞かせながら、暗い駅前に立っていました。

日の出前の静寂 誰もいない東海道を歩く

三雲駅前(前回の続き)
三雲駅前(前回の続き)

朝6時31分、まだ真っ暗な三雲駅をスタート。元日の早朝だから当然かもしれないけど、本当に誰もいない。街灯の明かりだけが頼りで、足元も覚束ない。

でも、この静けさがいいんです。普段は車がびゅんびゅん走る道も、今日はシーンと静まり返っている。自分の足音だけが響く中を歩いていると、なんだか江戸時代の旅人になった気分。「元日から東海道を歩く物好きは、江戸時代にもいたのかな」なんて考えながら。

天井川の不思議な体験

今回のルートは滋賀県の西から東へ、琵琶湖に向かってなだらかに下っていく道。大きなアップダウンもなく、基本的には淡々と進むだけ。正直、景色的には単調で、写真映えするようなスポットも少ない。

大沙川隧道
大沙川隧道

でも、途中にあった天井川の隧道にはちょっと気分が高まりました。大沙川隧道、別名「吉永のマンポ」。「まんぽ」とはトンネルを意味するこの地方の言葉らしい。

くぐるとき、「この上を川が流れてるんだな」と思うと不思議な気持ちに。普通、川は地面より低いところを流れるものなのに、ここでは逆転している。まるで自然の法則に逆らっているみたい。

ちなみに、全国にある天井川の3分の1は滋賀県に集中しているらしいです。琵琶湖に向かって流れる川が、長年の土砂の堆積で川底が上がっていった結果なんだとか。地理の教科書で習ったことが、実際に目の前にあると感慨深い。

足の痛みとの戦い

歩き始めて1時間で限界が

正直に告白すると、歩き始めて1時間もしないうちに「これはヤバい」と思いました。2日前の鈴鹿峠越えで痛めた足裏が、もう悲鳴を上げている。

最初は「まあ、歩いているうちに慣れるだろう」と楽観的に考えていたんです。でも、石部宿手前になって、もう一歩一歩が激痛。足を地面につけるたびに、針で刺されるような痛みが走る。

「なんで無理して歩いているんだろう」と自問自答しながらも、せっかくここまで来たんだから、もう少し頑張ろうと自分を奮い立たせる。でも、体は正直です。歩き方もだんだんおかしくなってきて、完全に足を引きずっている状態。

飛び出し坊やに励まされる

飛び出し坊や
飛び出し坊や

そんな中、ちょっと心が和んだのが「飛び出し坊や」との出会い。さすが飛び出し坊やの聖地・滋賀県。バリエーション豊富で、見つけるたびに楽しい。

普通の飛び出し坊やもいれば、ちょっと変わったポーズのものも。中には手作り感満載のものもあって、地域の人たちの愛情を感じます。痛みで下を向きがちだった私も、飛び出し坊やを探しながら歩くことで、少しは気が紛れました。

宿場町の面影を探して

石部宿の静かな佇まい

石部宿
石部宿

石部宿は東海道五十三次の51番目の宿場町。でも、正直なところ、宿場町としての面影はあまり残っていません。本陣跡の石碑がぽつんと立っているくらい。

それでも、道幅の狭さや微妙に曲がりくねった道筋に、かつての宿場町の名残を感じることができます。こういう細かいところに気づけるのも、徒歩旅の醍醐味かもしれません。

草津宿で見た初詣の風景

立木神社
立木神社

草津宿に着いた頃、ようやく街に活気が出てきました。立木神社には初詣客がちらほら。みんな晴れ着を着て、幸せそうな顔をしている。

一方の私は、汗だくで足を引きずりながら歩く姿。完全に場違いな感じです。でも、神社の前を通りかかったとき、思わず手を合わせました。「今年も無事に東海道を歩き終えられますように」って。

限界を迎えた南草津駅

大津まで行きたかったけど…

本当は、琵琶湖のほとりにある大津くらいまでは歩きたかったんです。東海道五十三次も、いよいよ終盤。京都まであと少しというところまで来ているのに。

南草津駅
南草津駅

でも、南草津駅に着いた時点で、もう限界でした。足は棒どころか、もはや感覚がない。電車の席に座った瞬間、「ああ、もう一歩も歩けない」と実感。

今回は最初から本当に辛かった。おそらく、2日前に蓄積された痛みが残っているんでしょうね。一歩進むのも苦痛で、「なんでこんなことしているんだろう」と何度も思いました。でも、ここでやめたら、また続きを歩きに来なければならない。その葛藤の中で、なんとか南草津駅まで辿り着いたという感じです。

新年早々の敗北感と達成感

結局、予定の半分も歩けずにリタイア。新年早々、痛みに耐えながらの徒歩旅。正直、「さっさと家に帰りたい」というのが本音でした。

でも、電車に乗って帰る道中、不思議と充実感もありました。元日から20km歩いたという事実。痛みに耐えながらも、自分の足で前に進んだという達成感。これはこれで、忘れられない新年の思い出になりました。

東海道歩きから学んだこと

無理は禁物、でも諦めない心も大切

今回の経験から学んだのは、「無理は禁物」ということ。特に連続して歩く場合は、体の回復時間をしっかり取ることが大切です。

でも同時に、「諦めない心」の大切さも感じました。痛みがあっても、なんとか20km歩き切った。これは自信になります。人生も同じで、辛いときでも一歩ずつ前に進めば、いつかゴールに辿り着ける。

東海道歩きを計画している人へ

これから東海道を歩こうと思っている人に、いくつかアドバイスを:

  • 連続して歩く場合は休息日を設ける:特に山越えの後は最低1日は完全に休む日を作る
  • 靴とインソールは妥協しない:足の痛みは全ての楽しみを奪います
  • 無理な計画は立てない:1日20km程度が無理のない距離
  • 季節を選ぶ:真夏と真冬は避けた方が無難
  • 小さな発見を楽しむ:飛び出し坊やや道標など、細かいところに目を向ける

次回への期待

次回はいよいよ、2022年11月に日本橋をスタートした東海道五十三次の徒歩旅のゴール。京都・三条大橋を目指します。

ただ、次に歩くのは春か夏くらいになりそうな予感。足の痛みが完全に治るのを待って、万全の状態で臨みたいと思います。

というわけで、これまでブログには過去の記録をまとめてきたけど、この続きを書くのはしばらく先になりそうです。でも、必ず完歩して、その感動をお伝えしたいと思います。

2025年の元日、痛みと共に歩いた20km。辛かったけど、これもまた東海道五十三次の思い出の1ページ。次回、いよいよフィナーレです!

三雲~南草津の歩行記録

  • 日程:2025年1月1日(水)
  • 天候:晴れ
⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
05:0620.0km3m54m

地図・標高グラフ

コースタイム

三雲駅から【石部宿】まで

三雲駅 6:31 → 6:55 大沙川隧道 → 7:11 夏見会館 → 7:15 由良谷川隧道 → 7:20 はり休憩所 → 8:04 石部宿 田楽茶屋 → 8:14 【石部宿】

歩行タイムライン
  • 6:31
    三雲駅
    三雲駅
    三雲駅

    日の出前の三雲駅からスタート。
    まだ暗い三雲駅前。新年早々の徒歩旅、果たして足はもつのか……?

    三雲駅前(前回の続き)
    三雲駅前(前回の続き)

    駅前すぐの通りが旧東海道。

    旧東海道は直線でなく緩やかに曲がる道で少し蛇行してる。川の影響があったのかな?

    大沙川隧道
    大沙川隧道

    川の下をくぐる不思議な隧道。こういう場所を歩くと、ちょっとワクワクする。

  • 6:55
    大沙川隧道
    大沙川隧道
    大沙川隧道

    別名「吉永のマンポ」 上を川が流れている。
    「まんぽ」とはトンネルを意味するこの地方に伝わる言葉らしい。

    夏見の一里塚跡
    夏見の一里塚跡
  • 7:11
    夏見会館
  • 7:15
    由良谷川隧道
    由良谷川隧道
    由良谷川隧道

    こちらも天井川の下を抜ける隧道。
    全国にある天井川の3分の1が滋賀県にあるそうだ。

  • 7:20
    はり休憩所

    2日前の歩きで足裏を痛めたのがまだ癒やされず、早くも足の痛さが限界に近い。
    歩き始めたばかりなのに激痛。これは最後まで歩けるのか?

    飛び出し坊や
    飛び出し坊や

    本場の飛び出し坊や 色んなパターンがあって飽きない。
    さすが飛び出し坊やの聖地・滋賀県。バリエーション豊富で、見つけるたびに楽しい。

    石部宿 小島本陣跡
    石部宿 小島本陣跡
  • 8:04
    石部宿 田楽茶屋
    田楽茶屋
    田楽茶屋
  • 8:14
    【石部宿】

【石部宿】から【草津宿】まで

【石部宿】 8:14 → 8:54 法界寺 地蔵院 8:55 → 10:24 ほっこり庵 10:34 → 11:00 【草津宿】

歩行タイムライン
  • 8:14
    【石部宿】
    石部宿
    石部宿

    東海道五十三次の51番目の宿場町。

  • 8:54
    法界寺 地蔵院
    和中散本舗
    和中散本舗

    江戸時代に製造・販売されていた胃薬「和中散」の老舗。

    六地蔵の一里塚跡
    六地蔵の一里塚跡
    肩かえの松
    肩かえの松
    里内呉服店
    里内呉服店
    手原駅
    手原駅
    すずめ茶屋跡
    すずめ茶屋跡
    目川の一里塚跡
    目川の一里塚跡
    田楽発祥の地碑
    田楽発祥の地碑

    田楽発祥の地とされるここ目川。
    豆腐に味噌を塗って香ばしく焼き上げた「目川田楽」は、当時の旅人たちにも評判だったという。

  • 10:24
    ほっこり庵
    火袋付追分道標
    火袋付追分道標
  • 11:00
    【草津宿】

【草津宿】から南草津駅まで

【草津宿】 11:00 → 11:11 矢倉橋 11:12 → 11:27 上北池公園 11:28 → 11:28 野路の一里塚跡 → 11:38 南草津駅

歩行タイムライン
  • 11:00
    【草津宿】
    草津宿
    草津宿
    田中七左衛門本陣
    田中七左衛門本陣
    立木神社
    立木神社
    立木神社
    立木神社

    初詣客で賑わう立木神社。

  • 11:11
    矢倉橋
    瓢泉堂
    瓢泉堂
  • 11:27
    上北池公園
  • 11:28
    野路の一里塚跡
    野路の一里塚跡
    野路の一里塚跡
  • 11:38
    南草津駅
    南草津駅
    南草津駅

    もう足の痛みが限界。ここでリタイア。次回はここから。

動画

タイトルとURLをコピーしました