愛媛県の石鎚山は、西日本最高峰の標高1,982m。日本七霊山の一つで、修験道の聖地。楓と小春が挑む、四国の名峰。垂直に近い鎖場の連続と、瀬戸内海まで見渡せる大展望。二人の絆が深まる、冒険心あふれるエピソードです。
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 山名 | 石鎚山(いしづちさん・いしづちやま) |
| 標高 | 天狗岳1,982m / 弥山1,974m |
| 所在地 | 愛媛県西条市・久万高原町 |
| 難易度 | ★★★★☆(鎖場は上級者向け) |
| 推奨シーズン | 5月~11月(冬季は積雪・凍結) |
| コースタイム | ロープウェイ利用で往復4-5時間 |
| 登山スタイル | 日帰り・修験道体験登山 |
ヤマノススメでの描写
原作での登場シーン
【百二十八~百三十六合目】石鎚山
- メンバー: 楓、小春
- アクセス: 高松空港-〈高速バス〉-高松駅-〈特急しおかぜ〉-多度津駅(予讃線が被災で運休していたため)-〈代行バス〉-観音寺駅-〈鈍行列車〉-伊予西条駅-〈バス〉-石鎚ロープウェイ前→山麓下谷駅-〈石鎚登山ロープウェイ〉-山頂成就駅
- コース: 山頂成就駅→玉屋旅館(宿泊)→石鎚神社中宮成就社→八丁→試しの鎖→夜明峠→第一の鎖→第二の鎖→弥山→第三の鎖→石鎚山天狗岳(1,982m)
あらすじ
【百二十八合目 たまには単独行でも…】飯能市立図書館で次に登る山を探す楓。すると突然後ろから「私も連れてってよ」と抱きしめる小春。
【百二十九合目 乗るべきか… 乗らないべきか…】高松駅で予讃線が不通になっていることを知る。代行バスを待つことに。
【百三十合目 若さと勢いがあるわ!】伊予西条駅から予定していたバスの時間に間に合わず。駅のコンビニでご飯(サンドイッチとポンジュース)を調達し。西条市観光交流センターへ立ち寄る。
【百三十一合目 立場が関係ない登山】石鎚ロープウェイ行き最終のバスに乗車。石鎚ロープウェイに乗って宿を目指す。
【百三十二合目 風呂があるなんてありがたい】玉屋旅館に着き、夕食(ハンバーグ、アマゴの甘露煮、筑前煮、焼きナスなど)を食べる。一緒に風呂に入って就寝。
【百三十三合目 穴あき下着と伝線タイツ】まずは試しの鎖。楓はクライミンググローブを着用して鎖場に挑む。
【百三十四合目 やっと言えた! ありがとう!!】第一、第二の鎖を経て山頂に到達する。しかし、第三の鎖を見逃していたことに気づく。
【百三十五合目 ラスボスの貫禄】不完全燃焼のため第三の鎖を登り直すことに。頂上から見える、石鎚山最高峰の天狗岳に挑戦することにする。
【百三十六合目 落ちたら死ぬ~♪】ハードな登山道を小春は変な歌を歌いながら進んでいく。そして、天狗岳の頂上に到達した。
【18巻のおまけ】下山後の帰りに丸亀駅で下車し、丸亀うちわの港ミュージアムへ。
ヤマノススメ単行本17巻と単行本18巻に収録されています
ルート地図
聖地巡礼のポイント
- 石鎚登山ロープウェイ: 標高差800mを8分で
- 玉屋旅館: 楓と小春が宿泊
- 試しの鎖: 48mと長くて19mの下りもある。「一番怖い」としろさんの感想
- 第一・二・三の鎖: 修験道の行場
- 弥山: 石鎚神社山頂社
- 天狗岳: 西日本最高点
アクセス・登山情報
アクセス方法
四国の山だが、本州からもアクセス可能です。
電車・バスでのアクセス JR伊予西条駅からせとうちバス「西之川」行きで石鎚ロープウェイ前下車(約1時間、1日4本)。またはJR伊予西条駅からタクシー(約40分、8,000円程度)。
マイカーでのアクセス 松山道西条ICから約30分。石鎚登山ロープウェイのロープウェイ乗り場から最も近い駐車場は、民営の有料駐車場(500円〜700円程度)。土小屋ルートなら、松山道松山ICから約1時間30分。
石鎚登山ロープウェイ
- 山麓下谷駅→山頂成就駅
- 標高455m→1,300m
- 所要時間:約8分
- 料金:大人2,200円(片道1,200円)
おすすめコース
石鎚山は複数のルートがあります。
成就社コース(原作ルート) ロープウェイ山頂駅→成就社→八丁→前社ヶ森小屋→夜明峠→二の鎖→弥山→天狗岳 休憩→下山開始→ロープウェイ山頂駅
土小屋コース 土小屋→東稜分岐→弥山→天狗岳 最短ルート、鎖場を避けられる。約2時間。
面河コース 面河渓谷から登る静かなルート。健脚向け、約5時間。
装備と準備
鎖場があるため、しっかりした装備が必要です。
必須装備
- 登山靴(グリップ重要)
- ヘルメット(推奨)
- 手袋(鎖場用・滑り止め付き)
- ザック(25-30L)
- 雨具
- 防寒着
- 飲み物(2L)
- 行動食
鎖場対策
- 三点支持の徹底
- 腕力だけに頼らない
- 迂回路もあるので無理しない
- 雨天時は避ける
石鎚山の魅力
神の棲む岩壁、垂直の鎖に挑む
石鎚山の最大の魅力は、日本屈指のスケールを誇る「四つの鎖」にあります。修験者の登拝道として1300年の歴史を持つこの鎖場は、ほぼ垂直に近い岩壁を、太く力強い鉄の鎖を頼りに登り詰める、まさに自己と向き合う試練の道。あおいが恐怖を乗り越え、自分の足で一歩ずつ垂直の世界を征したように、鎖の感触と岩の温もりを感じながら最高峰を目指す体験は、他の山では決して味わえない「精神の躍動」を与えてくれます。
弥山から天狗岳へ、天を突く稜線歩き
石鎚神社の頂上社がある「弥山(みせん)」に辿り着いた先には、西日本最高地点「天狗岳」へと続く、鋭く切り立った岩の稜線が待っています。左右が数百メートルも切れ落ちたナイフリッジを慎重に渡り、最高地点に立った瞬間の達成感は格別です。北には穏やかな瀬戸内海、南には重なり合う四国山地の深い緑。天を突くような鋭い岩峰に立つその姿は、まさに空を飛ぶ天狗になったかのような開放感に包まれます。
聖地を彩る「おもてなし」と信仰の風景
ロープウェイを降りて最初に向かう「成就社(じょうじゅしゃ)」周辺には、宿坊や売店が並び、登山の無事を祈る厳かな空気が流れています。原作であおいたちが宿泊したような宿坊でのひとときは、単なるレジャーではない「登拝(とはい)」としての山の奥行きを感じさせてくれます。四季折々の美しさ、特に「石鎚ブルー」と呼ばれる澄み渡った秋空や、山肌を赤く染める紅葉は、訪れるすべてのハイカーの心を癒やす「神の山の贈り物」です。
実際の巡礼記録
日程: 2017年10月9日[日帰り]
コースタイム: 土小屋登山口 09:51→10:29 東稜分岐→10:48 二の鎖下 11:00→11:05 二ノ森・面河渓方面分岐 11:07→11:08 三ノ鎖(下) 11:12→11:14 石鎚山・弥山 11:23→11:34 石鎚山 12:04→12:12 南尖峰 12:31→13:11 東稜分岐 13:12→13:42 土小屋登山口
ルート地図
巡礼レポート
『ヤマノススメ』原作では成就社からの修験道ルートが描かれていますが、今回は時間を短縮でき、車でのアクセスも良好な「土小屋コース」を選択しました。

登山口までは、通称「UFOライン」こと瓶ヶ森林道(かめがもりりんどう)を走ります。カローラスポーツのCMでも話題になったこの道は、車にいながらにして稜線歩きをしているような絶景を楽しめる、実に気持ちの良いルートです。
土小屋から登山開始

三連休最終日ということもあり、土小屋の駐車場はどこも満車に近い賑わいを見せていました。

国民宿舎石鎚の奥にある登山口から入山。



しばらくはブナの原生林に囲まれた、ゆったりとした登りが続きます。
途中で剣山でも見かけたリンドウの花に癒やされつつ進むと、ようやく前方に石鎚山の雄姿が姿を現しました。


紅葉シーズンと連休が重なり、登山道は時折渋滞するほどの混雑ぶり。





二ノ鎖手前の小屋にある「石鎚山最後の公衆トイレ」を過ぎ、いよいよ巻道と鎖場の分岐点に到着しました。

二ノ鎖

迷わず鎖場を選択。
最初は鎖に頼らずクライミングを試みましたが、ホールド(手の掛かり場)が見つけられず断念。結局、鎖をフルに活用して登ることになりました。


混雑で待機している間も握力を使い、足場の確保に苦労する場面もあり、自分の未熟さを痛感しつつも、高度感あふれるアスレチックのようなスリルを堪能しました。

三ノ鎖


三ノ鎖を登りきると、石鎚神社の鳥居が迎えてくれ、活気あふれる「弥山(みせん)」の頂上へ。
弥山の山頂に到着

振り返れば、天を突く岩稜の矛先「天狗岳」が目の前にそびえ立っています。


弥山から天狗岳への道は、北側がすっぱりと切れ落ちた岩場歩き。


高度感にビクビクしながらも、西日本最高地点に到達。
天狗岳山頂

あまりの狭さに写真を撮って早々に通過しましたが、そこからのパノラマは言葉にできないほど見事なものでした。








天狗岳のさらに先、南尖峰から東稜基部へ下るルートへ足を進めましたが、ここで少しルートを見失い、一歩間違えれば危険な岩場へ降りてしまうという冷や汗をかく場面も。
なんとか踏み跡に合流できましたが、バリエーションルートに近い厳しさを身をもって実感しました。



笹藪に全身を覆われ、時折現れる赤テープを頼りに進む不安な道。


ようやく辿り着いた東稜基部には「通行禁止」の看板があり、あの険しさを思えば納得の警告でした。


国民宿舎方面に下りて下山完了。下の駐車場へダイレクトに下りる道もありました。
二ノ鎖手前までは非常によく整備された歩きやすい道ですが、そこから先は一変して岩と鎖の本格的な世界が待っています。弥山から天狗岳の岩場は、強風時や雨天時は非常に危険だと感じました。
また、東稜コースは不明瞭でリスクも高いため、安易な立ち入りは禁物です。西日本最高峰の名に恥じぬ、厳しくも達成感に満ちた素晴らしい山行となりました。
周辺情報・関連記事
四国の屋根を歩く「石鎚山系」の山々
石鎚山を訪れたなら、ぜひ周辺の山々にも目を向けてみてください。
UFOラインのすぐ側に位置する瓶ヶ森(かめがもり)は、広大な笹原が広がり、石鎚山の全貌を眺める絶好の展望台です。
また、四国第二の高峰である剣山(つるぎさん)や、そこから続く美しい稜線を持つ三嶺(みうね)など、四国の山々は深田久弥が「これほど奥深い自然が残っているとは」と驚嘆したほどの豊かな表情を持っています。
修験の歴史と、心洗われる水の風景
石鎚山は、富士山や立山と並び「日本七霊山(富士山・立山・白山・比叡山・大峰山・釈迦ヶ岳・石鎚山)」の一つに数えられる、古くからの信仰の地です。
麓に広がる面河渓(おもごけい)は、四国最大級の渓谷美を誇り、エメラルドグリーンの清流が登山後の心を癒やしてくれます。
さらに足を伸ばせば、日本最古級の歴史を誇る道後温泉が。あおいたちが愛媛遠征の最後に立ち寄ったように、歴史ある湯船に浸かり、鯛めしなどの郷土料理を味わうことで、四国登山の旅は最高の完成を迎えます。
よくある質問
Q: 鎖場は必須ですか?
A: すべての鎖場(試しの鎖、一・二・三の鎖)には、しっかりとした階段状の迂回路が整備されています。鎖場は非常に握力を使い、渋滞することもあります。少しでも不安を感じたり、天候が怪しい場合は、無理せず迂回路を選びましょう。迂回路からでも、石鎚山の険峻な山容は十分に堪能できます。
Q: 初心者でも登れますか?
A: 土小屋コースなら初心者でも可能です。ロープウェイ利用の成就社コースも、鎖場を避ければ中級者向けです。ただし、天狗岳への最後の岩場はあおいたちも慎重に足を進めていたように、「三点支持」を意識し、高度感に圧倒されそうな時は無理をせず弥山で引き返す勇気も大切です。
Q: ベストシーズンは?
A: 5月の新緑、7月の山開き、10月の紅葉がおすすめ。夏は暑いが、標高が高いので涼しい。冬の石鎚山は、西日本とは思えないほどの厳しい雪山となります。
Q: 宿泊は必要?
A: 成就社にある「白石旅館」や「日の出屋旅館」などの宿坊に泊まると、早朝の静かな空気の中で登山を開始でき、霊峰の厳かさをより深く味わえます。また、弥山にある「頂上山荘」に宿泊すれば、西日本最高所での御来光や満天の星空に出会えるチャンスもあります。


