剣山に向かうまで
木曽駒ヶ岳、空木岳の中央アルプス縦走から二週間後。次は、以前から計画していた四国遠征で剣山と石鎚山へ登る計画だった。
万全だった四国遠征計画
マチ★アソビという、徳島市で春と秋に行われるアニメ・ゲームの大型屋外イベントがある。前々から気になっていたので、そのマチ★アソビに参加するついでに、四国にある2座の百名山を登る計画を立てた。
7月初めには、高松駅までの夜行高速バスを予約。東京から徳島までの高速バスもあるが、同じようにイベントへ参加する人が多いのか、すでに予約は満席。四国の百名山は、剣山と石鎚山と東西に離れているので、起点が高松駅でも特に問題ない。
レンタカーは、いつものニコニコレンタカーではなく100円レンタカーというフランチャイズを選択。10分100円という短時間を想定している触れ込みだが、長時間でもニコニコレンタカーと遜色ない安さの料金。それに、高松駅と高松空港までの送り迎えをしてくれるサービスがあったので決めた。
早朝に高松駅に着いて、10月7日の朝9時から10日の15時まで借りる予定。帰りはLCCのジェットスター。6月のセールで高松空港から成田空港へのフライトを諸経費込みの5,070円で予約した。
全てを台無しにしたバスタ新宿での大失態
高速バスが出発するバスタ新宿までは10分前に着けばいいだろうと思っていた。が、それが間違いの始まり。
その日に限って、新宿までの列車のダイヤが乱れていて、いつもは20分もかからない新宿に、30分近くかかってしまった。出発時刻の5分前に京王線新宿駅ホームにいるという絶望的状況。
同じ新宿駅でも京王線からバスタ新宿のある南口までは5分以上かかる。スーツケースを担いでダッシュで走ったが、バスタ新宿に着いたのはちょうど出発時刻。
高松駅行きバスの乗車口を確認し、バスを見つけるも、お目当てのバスは、ちょうど目の前を発車して行ってしまった。呆然と立ち尽くす他無い。
時間に余裕を持って行動をしなかった自分に嫌悪感を抱きながら、しぶしぶ帰宅。
始発新幹線で計画続行
始発の新幹線に乗れば、予定より2時間遅れにはなるものの、夕暮れまでに剣山に登ることができそう。
さっそく次の日、始発の新幹線で岡山駅まで、そこからマリンライナーで高松駅へと向かった。昨日の高速バスだと7,400円だったのが、新幹線で17,110円になってしまった(しかも、バスの出発後なのでキャンセルできず、合計24,510円)。想定外の痛い出費。
高松でさらなるトラブル

高松でレンタカーを借りて、剣山登山口までの長いドライブ。しかし、途中で登山靴のソールが剥がれかけていることに気がついた。
この登山靴も、ザック同様父親から譲り受けたもの。長い間使ってなかったので加水分解が進んでしまったのであろう。仕方がないので、途中で100円ショップに立ち寄り、ゴム用接着剤・針金・ガムテープを購入。その場で応急処置をした。幸先が悪いスタートの連続である。


高松から、かずら橋で有名な祖谷渓を抜けて、酷道「ヨサク」で知られる国道439号に入る。
途中、かかしの里という、道路沿いに人間の格好をしたかかしが何体も佇んでいるエリア。怖い、怖すぎる。通ったのが昼間でよかった、夜ならチビッてる。

見ノ越の駐車場に着いたのは15時前。山に登る前からガスガスで視界が悪い。
実際に登ってみた
日程: 2017年10月07日(土) [日帰り] 天候: 曇りときどき雨
アクセス
高松から祖谷渓を経由し、県道32号と国道439号でアプローチ。細い道を短いカーブが連続し、時折対向車と離合があるハードな道のり。
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
2:08 | 6.1km | 661m | 653m |
コースタイム
ルート: 見ノ越-リフト西島駅-大剣神社-剣山-刀掛ノ松-リフト西島駅-見ノ越
- 15:03
- 15:30
- 15:44
- 16:13
- 16:28
- 16:40
- 16:45
- 17:07
下山後の感想
よく整備されていて大幅な段差もない歩きやすい登山道。山頂は植生保護のため木道を歩くが、工事中のため一部通行禁止となっていた。
三連休に有給合わせた3泊4日で四国の百名山2座を攻め、間にマチアソビという徳島市内で行われるアニメゲームイベントに参加するという構想を春の時点から持って、行きの夜行バス・レンタカー・帰りの飛行機を余裕を持って手配していた。
だが、バスタ新宿で乗るはずの夜行バスに間に合わず、自分の目の前をバスが出発して行くのを見送るという大失態。一時は四国行き自体をご破算しようとも考えたが、翌日始発の新幹線で夜行バスを追いかけ、予定より1時間半遅れでスケジュールを取り戻した。
しかし、悪運は続くようで、今度は履いていた左足登山靴のソールが剥がれるという事態。とりあえず、針金と布テープで仮補修して剣山に挑むことにした。
剣山の登山道は全てのコースが歩きやすい、中でも次郎笈分岐へ向かうトラバースが紅葉を感じられてよかった。
下山後、車内で帰り支度をしていると、4人組に声をかけられる。なにやら、山頂に自動車の鍵を落としてしまい、帰れなくなってしまったので近くの駅まで載せて欲しいとのこと。悪運が重なっている今回の旅路、同じように悪運な体験をした人達に出会ったのも何かの縁、徳島駅まで送り届けてミッション完了。双方に幸運が訪れますように。
かかった費用と装備
遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。
四国遠征でトラブル続きだったこともあって、想定外の出費が多かった剣山登山。交通費が特に痛い出費となってしまった。
交通費用
- 高速バス(乗り損ない): 7,400円(バスタ新宿での大失態)
- 新幹線 東京→高松: 17,110円(始発のぞみ・指定席)
- 成田空港アクセス: 1,000円(バス・往復)
- 都内交通費: 657円(新宿まで往復・高松まで往復)
- LCC高松→成田: 5,070円(ジェットスター・セール価格)
- レンタカー78時間: 15,300円(100円レンタカー)
- ガソリン代: 5,427円(四国一周分)
- 駐車場代: 1,010円(3箇所合計)
交通費合計: 52,974円
装備費用
- フォームパッド: 4,752円(テント泊用マット)
- 100円ショップ応急用品: 324円(接着剤・針金・テープ)
装備費合計: 5,076円
その他費用
- 風呂・コインランドリー: 1,100円(宿泊なしの旅)
- 丸亀城入場券: 200円(観光)
- 食費: 6,900円(4日分・行動食含む)
その他合計: 8,200円
総費用
合計: 66,250円
バス乗り損ないで交通費が倍増。当初予定の33,000円から66,000円へと大幅オーバー。さらに登山靴の応急処置など、トラブル対応費も発生。四国遠征は想定外の高額登山となってしまった。1座あたり33,000円は百名山の中でも特に高い部類。
今になって思うこと
登山中に登山靴のソールが剥がれて応急処置で対応するならわかるけど、登る前に応急処置で済ませてしまおうというのは、当時の浅はかな考え。今だったら、現地で新しい登山靴を探すんじゃないかと思うけど、これも履き慣れていないという問題はあるだろうし、遠征中という状況下でのリスク管理はバランスを取るのが難しい。
剣山は四国第二の高峰でありながら、観光登山的な性格が強い山だった。リフトでのアクセスが可能で、登山道も非常によく整備されている。ガスで展望は得られなかったが、大剣神社や剣山本宮など、山岳信仰の痕跡が色濃く残る興味深い山。
シコクブシなど四国固有の植物も観察でき、植物好きには魅力的なフィールド。10月の紅葉も見応えがあり、晴天時なら四国の山々を一望できるはず。
下山後の鍵紛失グループとの出会いも印象的。山では思わぬトラブルが起こるものだが、登山者同士の助け合いの精神を実感できた体験。自分自身もトラブル続きの登山だったからこそ、困っている人に手を差し伸べることができた。
剣山頂上ヒュッテでの宿泊なら、晴天時の夜明けや星空撮影なども楽しめるだろう。日帰り登山では味わえない、山頂での特別な時間を過ごせるはず。
四国の百名山は剣山と石鎚山の2座のみだが、両方とも個性的で魅力的な山。剣山は穏やかで親しみやすく、初心者にもおすすめできる百名山のひとつ。