日本百名山全山踏破 32座目 剣山 | 四国遠征・ガスの中の孤独登山

剣山山頂 日本百名山
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剣山に向かうまで

木曽駒ヶ岳、空木岳の中央アルプス縦走から二週間後。次は、以前から計画していた四国遠征で剣山と石鎚山へ登る計画だった。

万全だった四国遠征計画

マチ★アソビという、徳島市で春と秋に行われるアニメ・ゲームの大型屋外イベントがある。前々から気になっていたので、そのマチ★アソビに参加するついでに、四国にある2座の百名山を登る計画を立てた。

7月初めには、高松駅までの夜行高速バスを予約。東京から徳島までの高速バスもあるが、同じようにイベントへ参加する人が多いのか、すでに予約は満席。四国の百名山は、剣山と石鎚山と東西に離れているので、起点が高松駅でも特に問題ない。

レンタカーは、いつものニコニコレンタカーではなく100円レンタカーというフランチャイズを選択。10分100円という短時間を想定している触れ込みだが、長時間でもニコニコレンタカーと遜色ない安さの料金。それに、高松駅と高松空港までの送り迎えをしてくれるサービスがあったので決めた。

早朝に高松駅に着いて、10月7日の朝9時から10日の15時まで借りる予定。帰りはLCCのジェットスター。6月のセールで高松空港から成田空港へのフライトを諸経費込みの5,070円で予約した。

全てを台無しにしたバスタ新宿での大失態

高速バスが出発するバスタ新宿までは10分前に着けばいいだろうと思っていた。が、それが間違いの始まり。

その日に限って、新宿までの列車のダイヤが乱れていて、いつもは20分もかからない新宿に、30分近くかかってしまった。出発時刻の5分前に京王線新宿駅ホームにいるという絶望的状況。

同じ新宿駅でも京王線からバスタ新宿のある南口までは5分以上かかる。スーツケースを担いでダッシュで走ったが、バスタ新宿に着いたのはちょうど出発時刻。

高松駅行きバスの乗車口を確認し、バスを見つけるも、お目当てのバスは、ちょうど目の前を発車して行ってしまった。呆然と立ち尽くす他無い。

時間に余裕を持って行動をしなかった自分に嫌悪感を抱きながら、しぶしぶ帰宅。

始発新幹線で計画続行

始発の新幹線に乗れば、予定より2時間遅れにはなるものの、夕暮れまでに剣山に登ることができそう。

さっそく次の日、始発の新幹線で岡山駅まで、そこからマリンライナーで高松駅へと向かった。昨日の高速バスだと7,400円だったのが、新幹線で17,110円になってしまった(しかも、バスの出発後なのでキャンセルできず、合計24,510円)。想定外の痛い出費。

高松でさらなるトラブル

讃岐うどん ぼっこ屋
讃岐うどん ぼっこ屋

高松でレンタカーを借りて、剣山登山口までの長いドライブ。しかし、途中で登山靴のソールが剥がれかけていることに気がついた。

この登山靴も、ザック同様父親から譲り受けたもの。長い間使ってなかったので加水分解が進んでしまったのであろう。仕方がないので、途中で100円ショップに立ち寄り、ゴム用接着剤・針金・ガムテープを購入。その場で応急処置をした。幸先が悪いスタートの連続である。

かかしの里・恐怖の人形群
かかしの里
かかしの里・山間の異様な風景
かかしの里

高松から、かずら橋で有名な祖谷渓を抜けて、酷道「ヨサク」で知られる国道439号に入る。

途中、かかしの里という、道路沿いに人間の格好をしたかかしが何体も佇んでいるエリア。怖い、怖すぎる。通ったのが昼間でよかった、夜ならチビッてる。

見ノ越の駐車場
見ノ越の駐車場

見ノ越の駐車場に着いたのは15時前。山に登る前からガスガスで視界が悪い。

実際に登ってみた

日程: 2017年10月07日(土) [日帰り] 天候: 曇りときどき雨

アクセス

高松から祖谷渓を経由し、県道32号と国道439号でアプローチ。細い道を短いカーブが連続し、時折対向車と離合があるハードな道のり。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
2:086.1km661m653m

コースタイム

ルート: 見ノ越-リフト西島駅-大剣神社-剣山-刀掛ノ松-リフト西島駅-見ノ越

山行タイムライン
  • 15:03
    見ノ越登山口
    見ノ越
    見ノ越
    見ノ越登山口
    見ノ越登山口

    剣山の登山口。神社の石段が登り始めのパターンは好き。

    劔神社
    劔神社
    劔神社・登山道入口の神
    劔神社

    石段を登った所にある劔神社。その奥に登山道が続く。

    登山道・整備された剣山ルート
    登山道

    登山道はよく整備されていて歩きやすい。こんな天気だけど意外にも登っている人は多いようだ。中には犬を連れて散歩しているような人もいた。単独行の人はあまりいないように感じた。

    剣山観光登山リフト
    剣山観光登山リフト

    リフトの下を横切るトンネル。乗っている人を見かけないけどリフトは動いているようだ。

    リンドウ
    リンドウ
    リンドウ・高原に咲く紫の花
    リンドウ

    リフトの頂上駅手前のなだらかな所にはリンドウが咲いていた。

  • 15:30
    リフト西島駅
    西島駅・剣山登山リフト終点
    西島駅

    剣山登山リフト西島駅。

    大剣神社の鳥居
    大剣神社の鳥居

    鳥居をくぐって大剣神社に直接向かうコースを進む。

    大剣神社の鳥居
    大剣神社の鳥居
    紅葉の始まり・剣山秋景色

    谷の木々はすっかり色づいている。

  • 15:44
    大剣神社
    大剣神社
    大剣神社

    大剣神社。後ろにそびえ立つのは大剣岩。

    剣山の象徴的岩峰
    剣山御神水の水場
    剣山御神水の水場

    大剣岩の根本から湧き出る剣山御神水の水場。

    シコクブシ・四国固有のトリカブト
    シコクブシ
    シコクブシ
    シコクブシ

    トリカブトの変種シコクブシ。水場近辺に群生してた。

    トラバース道

    登り下りもなく歩きやすいトラバースが続く。人も居なくて静か。

    紅葉
    紅葉

    いい紅葉。

    登山道・整備された安全な道

    いかにも崩れやすそうな道だが、しっかりとしている。

    次郎笈方面・ガスに覆われた尾根
    次郎笈方面

    次郎笈方面の尾根だが、すっかりガスに覆われて眺望が望めそうもない。

    次郎笈には行かずに、剣山頂上に登る道へ。

    分岐点でのパノラマ写真
    分岐点でのパノラマ写真
    木道・植生保護の歩道
    木道

    少し急な登りを登りきったところで、山頂の植生保護のため木道歩き。

  • 16:13
    剣山
    剣山山頂・四国第二高峰1955m
    剣山山頂

    剣山山頂。ガスは晴れず。

    剣山三角点・保護された測量基準点
    剣山三角点

    鉄壁のガードに守られ、タッチできない剣山三角点。

    木道
    木道の迂回路

    木道は一部(写真左側を通っている木道)が通行止め。

    剣山山頂部・ガスに包まれた頂上
  • 16:28
    剣山頂上ヒュッテ
    剣山頂上ヒュッテ
    剣山頂上ヒュッテの植生
    剣山頂上ヒュッテ・山頂施設群
    剣山本宮
    剣山本宮

    剣山本宮。

    剣山頂上ヒュッテ
    剣山頂上ヒュッテ

    剣山頂上ヒュッテ。

    きころん
    きころん

    剣山頂上ヒュッテの前には「きころん」。

    ガスの中の剣山
  • 16:40
    刀掛ノ松
    刀掛の松
    刀掛の松

    刀掛の松。

  • 16:45
    リフト西島駅
    西島駅の裏手
    西島駅の裏手

    リフト西島駅の裏手に下りていく。

    西島駅・リフト営業終了
    西島駅

    ちょうどリフトの運転が止まって、営業終了に。

  • 17:07
    見ノ越登山口
    登山口・剣山下山完了
    登山口

    登山口まで下山。

    見ノ越駐車場
    見ノ越駐車場

    到着時に漂っていたガスが晴れていて、リフト乗り場って奥にあったのかと今頃気付いた。

下山後の感想

よく整備されていて大幅な段差もない歩きやすい登山道。山頂は植生保護のため木道を歩くが、工事中のため一部通行禁止となっていた。

三連休に有給合わせた3泊4日で四国の百名山2座を攻め、間にマチアソビという徳島市内で行われるアニメゲームイベントに参加するという構想を春の時点から持って、行きの夜行バス・レンタカー・帰りの飛行機を余裕を持って手配していた。

だが、バスタ新宿で乗るはずの夜行バスに間に合わず、自分の目の前をバスが出発して行くのを見送るという大失態。一時は四国行き自体をご破算しようとも考えたが、翌日始発の新幹線で夜行バスを追いかけ、予定より1時間半遅れでスケジュールを取り戻した。

しかし、悪運は続くようで、今度は履いていた左足登山靴のソールが剥がれるという事態。とりあえず、針金と布テープで仮補修して剣山に挑むことにした。

剣山の登山道は全てのコースが歩きやすい、中でも次郎笈分岐へ向かうトラバースが紅葉を感じられてよかった。

下山後、車内で帰り支度をしていると、4人組に声をかけられる。なにやら、山頂に自動車の鍵を落としてしまい、帰れなくなってしまったので近くの駅まで載せて欲しいとのこと。悪運が重なっている今回の旅路、同じように悪運な体験をした人達に出会ったのも何かの縁、徳島駅まで送り届けてミッション完了。双方に幸運が訪れますように。

かかった費用と装備

遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。

四国遠征でトラブル続きだったこともあって、想定外の出費が多かった剣山登山。交通費が特に痛い出費となってしまった。

交通費用

  • 高速バス(乗り損ない): 7,400円(バスタ新宿での大失態)
  • 新幹線 東京→高松: 17,110円(始発のぞみ・指定席)
  • 成田空港アクセス: 1,000円(バス・往復)
  • 都内交通費: 657円(新宿まで往復・高松まで往復)
  • LCC高松→成田: 5,070円(ジェットスター・セール価格)
  • レンタカー78時間: 15,300円(100円レンタカー)
  • ガソリン代: 5,427円(四国一周分)
  • 駐車場代: 1,010円(3箇所合計)

交通費合計: 52,974円

装備費用

  • フォームパッド: 4,752円(テント泊用マット)
  • 100円ショップ応急用品: 324円(接着剤・針金・テープ)

装備費合計: 5,076円

その他費用

  • 風呂・コインランドリー: 1,100円(宿泊なしの旅)
  • 丸亀城入場券: 200円(観光)
  • 食費: 6,900円(4日分・行動食含む)

その他合計: 8,200円

総費用

合計: 66,250円

バス乗り損ないで交通費が倍増。当初予定の33,000円から66,000円へと大幅オーバー。さらに登山靴の応急処置など、トラブル対応費も発生。四国遠征は想定外の高額登山となってしまった。1座あたり33,000円は百名山の中でも特に高い部類。

今になって思うこと

登山中に登山靴のソールが剥がれて応急処置で対応するならわかるけど、登る前に応急処置で済ませてしまおうというのは、当時の浅はかな考え。今だったら、現地で新しい登山靴を探すんじゃないかと思うけど、これも履き慣れていないという問題はあるだろうし、遠征中という状況下でのリスク管理はバランスを取るのが難しい。

剣山は四国第二の高峰でありながら、観光登山的な性格が強い山だった。リフトでのアクセスが可能で、登山道も非常によく整備されている。ガスで展望は得られなかったが、大剣神社や剣山本宮など、山岳信仰の痕跡が色濃く残る興味深い山。

シコクブシなど四国固有の植物も観察でき、植物好きには魅力的なフィールド。10月の紅葉も見応えがあり、晴天時なら四国の山々を一望できるはず。

下山後の鍵紛失グループとの出会いも印象的。山では思わぬトラブルが起こるものだが、登山者同士の助け合いの精神を実感できた体験。自分自身もトラブル続きの登山だったからこそ、困っている人に手を差し伸べることができた。

剣山頂上ヒュッテでの宿泊なら、晴天時の夜明けや星空撮影なども楽しめるだろう。日帰り登山では味わえない、山頂での特別な時間を過ごせるはず。

四国の百名山は剣山と石鎚山の2座のみだが、両方とも個性的で魅力的な山。剣山は穏やかで親しみやすく、初心者にもおすすめできる百名山のひとつ。


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