日本百名山全山踏破 61座目 鹿島槍ヶ岳 | 文学の道を辿る赤岩尾根アルパインクライミング

鹿島槍ヶ岳頂上 日本百名山
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鹿島槍ヶ岳に向かうまで

雨飾山下山後、雨飾高原キャンプ場から鹿島槍ヶ岳の赤岩尾根コース登山口である大谷原へ向かう。

大谷原は人里離れた山間の登山基地のため、途中の白馬でコンビニに立ち寄り食料を確保。ゲーム「かまいたちの夜」の舞台として有名な「ペンション シュプール」のモデル「ペンション クヌルプ」に、聖地巡礼として立ち寄った。

鹿島槍スキー場より奥地の大谷原に到着後、翌日の長距離登山に備えて車中泊。

2019年7月13日 鹿島槍ヶ岳を日帰りピストンする長い1日

鹿島槍ヶ岳は通常1泊2日で登る山だが、自身の体力とペースを考慮し、大谷原登山口からの赤岩尾根コースで日帰りピストンに挑戦。

日の出とともに出発するため4時前に起床し、明るくなるのを待った。

実際に登ってみた

日程: 2019年7月13日(土) [日帰り] 天候: 曇り

アクセス

大冷橋手前に10台以上収容可能な駐車場とトイレを完備。 大冷橋を渡った先のゲート前は工事プレハブがあるため駐車不可。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
08:0520.5km2,096m2,112m

コースタイム

ルート: 大谷原-冷池山荘-布引山-鹿島槍ヶ岳-布引山-冷池山荘-大谷原

山行タイムライン
  • 04:31
    大谷原 登山口
    松本清張「遭難」の舞台となった大谷原登山口
    大谷原登山口

    夜明けの光が山間を照らし始める中、長距離の山行に出発。

    大谷原登山口周辺の朝の景色
    大谷原登山口

    大冷橋を渡り、登山道へとアプローチする林道へ。

    工事関係者以外立入禁止の工事用道路ゲート
    工事用道路のゲート

    工事用道路のゲートを通過。

    鹿島槍ヶ岳へ続く未舗装の林道
    林道

    林道のアプローチを自転車で駆け抜けるレポートを見たことがあるが、路面状況は荒れており、実際の走行は困難そうだ。

    ガスで視界が遮られた山中

    ガスが立ち込め、上部の山々は完全に視界から閉ざされている。

    冷池山荘からのメッセージが記された案内看板
    冷池山荘の看板

    冷池山荘からのメッセージ。

    登山道脇に咲く可憐なハルジオン
    ハルジオン
  • 05:19
    西俣出合
    砂防ダムのトンネル
    砂防ダムのトンネル

    砂防ダムのトンネルを通って対岸へ。

    赤岩尾根登山口
    赤岩尾根登山口

    ここが松本清張の推理小説「遭難」でも描かれたアプローチルート。文学の足跡を辿る聖地巡礼の始まり。

    金属製ハシゴ
    ハシゴ

    登山道には木製と金属製のハシゴが設置されている。木製は経年劣化で信頼性に欠けるが、金属製は圧倒的な安定感を提供する。

    赤岩尾根のハクサンシャクナゲ
    ハクサンシャクナゲ
    赤岩尾根の急登が続く登山道
    可憐な赤い実をつけるアカモノ
    アカモノ
    群生するゴゼンタチバナ
    ゴゼンタチバナ
    群生するゴゼンタチバナ
    ゴゼンタチバナ
    星型の可憐な白い花ツマトリソウ
    ツマトリソウ
    ツマトリソウとアカモノ
    ツマトリソウとアカモノ
    光沢のある葉と淡いピンクの花イワカガミ
    イワカガミ
    赤岩尾根の険しい登山道
    鮮やかなピンク色のタニウツギ
    タニウツギ
    斜面を彩るタニウツギ
    タニウツギ
    満開のハクサンシャクナゲ
    ハクサンシャクナゲ
  • 06:32
    高千穂平
    赤岩尾根の急登を登り切った高千穂平
    高千穂平

    赤岩尾根の急登を登り切ると、周囲が開けた高千穂平に到達。

    高千穂平と山岳風景
    高千穂平
    高千穂平付近
    高山植物ミツバオウレン
    ミツバオウレン
    高山帯の代表花イワカガミ
    イワカガミ
    三つ葉が特徴的なミツバオウレン
    ミツバオウレン
    山道に咲くゴゼンタチバナ
    ゴゼンタチバナ
    高山植物ヨツバシオガマ
    ヨツバシオガマ
    高千穂平の豊かな自然
    紫色の花穂が美しいヨツバシオガマ
    ヨツバシオガマ
    黄色い花が特徴的なウサギギク
    ウサギギク
    小さな白い花を咲かせるオオコメツツジ
    オオコメツツジ
    星形の白い花びらが美しいツマトリソウ
    ツマトリソウ
    冷乗越へ向かう途中の登山道
    ヨツバシオガマ
    ヨツバシオガマ
    チングルマ
    チングルマ
    黄色い花が美しいミヤマダイコンソウ
    ミヤマダイコンソウ
    ツツジ科の植物ウラジロヨウラク
    ウラジロヨウラク
    冷乗越直前の岩場
    冷乗越直前の岩場

    冷乗越直前の岩場。慎重な足運びが必要。

    鎖場
    鎖場
  • 07:35
    冷乗越
    冷乗越
    冷乗越

    ここで柏原新道からのルートと合流する。

    ガスに包まれた北アルプスの稜線
    北アルプスの稜線

    ガスが立ち込める中だが、急登を登り終え北アルプスらしい稜線を歩けることでテンションが高まる。

    鮮やかな黄色いミヤマキンポウゲ
    ミヤマキンポウゲ
    清楚な白い花ミツバオウレン
    ミツバオウレン
  • 07:48
    冷池山荘
    北アルプスの山小屋冷池山荘
    冷池山荘
    冷池山荘
    冷池山荘
  • 08:02
    冷池山荘テント場
    高山帯を彩るシナノキンバイ
    シナノキンバイ
    シナノキンバイの美しい花
    シナノキンバイ
    ショウジョウバカマの花
    ショウジョウバカマ
    黄色い花が印象的なミヤマダイコンソウ
    ミヤマダイコンソウ
    キンバイソウの鮮やかな花
    キンバイソウ
    大型の葉が特徴的なキヌガサソウ
    キヌガサソウ
    小さな赤い実をつけるコケモモ
    コケモモ
    黄色い花が美しいミヤマキンバイ
    ミヤマキンバイ
    岩場に咲く小さな白い花イワツメクサ
    イワツメクサ
    鹿島槍ヶ岳へ向かう稜線の登山道
    岩場に咲くイワツメクサ
    イワツメクサ
    純白の花びらが美しいハクサンイチゲ
    ハクサンイチゲ
    布引山へ向かう稜線上の登山道
  • 08:43
    布引山
    布引山
    布引山

    登山道から少し登った場所にある布引山の頂点。

    布引山周辺
    山頂付近に群生するハクサンイチゲ
    ハクサンイチゲ
    鹿島槍ヶ岳山頂へ続く最後の登山道
    山頂直下で出会うハクサンイチゲ
    ハクサンイチゲ
    山頂手前に咲くミヤマキンバイ
    ミヤマキンバイ
    ハクサンイチゲのウイニングロード
    ハクサンイチゲ
    高山植物クモマスミレ
    クモマスミレ
    鹿島槍ヶ岳山頂への最後のアプローチ
  • 09:18
    鹿島槍ヶ岳
    鹿島槍ヶ岳頂上
    鹿島槍ヶ岳頂上

    鹿島槍ヶ岳登頂を果たすも、濃厚なガスで展望は皆無。北峰すら判別できない視界の悪さ。

    濃霧に覆われた鹿島槍ヶ岳山頂
    鹿島槍ヶ岳頂上
    北峰方向も視界不良
    北峰方面

    当初は北峰まで足を延ばす計画だったが、この視界と午後からの天候悪化予報により、下山を決断。

    三角点と牛首山方面
    三角点と牛首山方面
  • 09:57
    布引山
  • 10:19
    冷池山荘テント場
  • 10:24
    冷池山荘
  • 10:35
    冷乗越

  • 11:12
    高千穂平
    赤岩尾根の下り
    赤岩尾根の下り

    赤岩尾根の下降は浮石が少なく滑りにくいため、軽快に下ることができた。途中で砂防ダムが眼下に見える。

  • 11:57
    西俣出合
  • 12:38
    大谷原 登山口
    大谷原登山口
    大谷原登山口

    出発時には4台だった駐車車両が8台に増加していた。

白馬から戸隠への道は酷道だった

白馬から戸隠への最短ルートとして国道406号を選択したが、これが大きな誤算だった。狭隘で急勾配が連続し、まさに酷道の典型。調べてみると、やはり酷道として悪名高いルートだった。

現在は、オリンピック時に整備された県道を利用するのが一般的になっているようだ。

戸隠神社 中社
戸隠神社 中社

戸隠キャンプ場途中にある戸隠神社中社を参拝。 その後、戸隠キャンプ場入口の登山者用無料駐車場で翌日の高妻山登山に備えた。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

【大谷原~西俣出合】 ゲート通過後は林道歩き。工事車両の通行もあるため注意が必要。 砂防ダム内のトンネルを通過して赤岩尾根へ取り付く。

【赤岩尾根】 高千穂平まで700m、冷乗越まで300mの急登。 ハシゴ等で整備されており、急登の割には登りやすい。冷乗越手前の鎖場のみ要注意。

【冷乗越~鹿島槍ヶ岳南峰】 心地良い稜線を緩やかに登る。

感想・記録

遠征2日目は鹿島槍ヶ岳。メジャーな柏原新道ではなく赤岩尾根を選択した理由は、松本清張の短編推理小説「遭難」のルートを辿る文学的聖地巡礼を体験したかったからである。

体力を消耗する赤岩尾根の急登、冷池山荘、そして物語の核心である鹿島槍ヶ岳南峰の分岐点を、この目で確認したかった。物語から50年が経過した現在、踏み跡は明瞭でケルンも設置されており、迷うことは考えられない状況だった。

北アルプス三大急登の一つとされる赤岩尾根だが、予想に反して意外に登りやすい道だった。無理なステップアップを強いられる箇所もなく、難所にはハシゴ等で適切に整備されている。一定の急登が続くため、一定ペースを維持すれば息切れすることもなかった。

前日に続き、展望は諦めて足元の高山植物ばかり撮影していたが、多様な花々との出会いがあり、充実した山行となった。特に鹿島槍ヶ岳山頂手前のハクサンイチゲのウイニングロードは印象的だった。

翌日は最終日。高妻山への登頂を予定している。

かかった費用と装備

費用は、今回の遠征の中で最初の日本百名山 雨飾山の記事でまとめています。

今になって思うこと

鹿島槍ヶ岳の登山口として赤岩尾根コースが主流だった時代もあったが、現在は柏原新道ピストンが一般的になっている。

当時の感想にも記したが、松本清張の「遭難」で描かれたルートを辿ってみたくて選択した。「ヤマノススメ」のような漫画とは異なり、小説では視覚的描写がないため、文字から想像していた情景が実際の登山で色付いていく感覚があり、また違った面白さを体験できた。


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