日本百名山全山踏破 66座目 八ヶ岳 | 青春18きっぷ日帰り縦走と真教寺尾根下山

赤岳頂上 日本百名山
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八ヶ岳に向かうまで

2019年8月17日 青春18きっぷを使って日帰りで赤岳に登山

先週の槍穂高縦走の充実感に浸る間もなく、天気予報は週末の好転を告げていた。体力的にはまだ余裕があったし、何より北アルプスの稜線から眺めた八ヶ岳の美しい姿が頭に焼き付いている。

今回の目標は八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳。ただし、青春18きっぷでの日帰りとなると、かなりタイトな行程になる。美濃戸口へのバスが始発でも10時到着、最終便が16時出発というダイヤは、正直厳しい。普通にピストンするなら、とてもじゃないが間に合わない。

そこで検討したのが、行きは美濃戸口から入山し、帰りは別ルートで清里駅に下山するプラン。県界尾根と真教寺尾根の2つの選択肢があったが、情報収集の結果、真教寺尾根の方が若干楽とのこと。下りなら何とかなるだろう。

実際に登ってみた

日程: 2019年8月17日(土) [日帰り] 天候: 晴れ

アクセス

青春18きっぷ使用。
[JR] 荻窪 05:30→06:13 高尾 06:14→08:48 茅野
[路線バス 美濃戸口線] 茅野駅 09:25→10:03 美濃戸口(1000円)

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
08:0622.9km1,780m1,982m

コースタイム

ルート: 美濃戸口-美濃戸-赤岳鉱泉-硫黄岳-横岳-地蔵の頭-赤岳-(真教寺尾根)-牛首山-美し森-清里駅

茅野駅
茅野駅

茅野駅で美濃戸口線のバスに乗車。駅に着いた時には既に長蛇の列ができており、乗車できるか心配になったが、何とか立ち席で乗り込むことができた。50人を超える満載状態で増発はなし、去年より値上がりして片道1000円と、なかなか財布に厳しい。

山行タイムライン
  • 10:09
    美濃戸口
    美濃戸口
    美濃戸口

    路線バスで茅野駅から美濃戸口に到着。始発でも到着が10時過ぎというのは、日帰り登山にはかなり厳しいスケジュールだ。

    八ケ岳山荘
    八ケ岳山荘

    美濃戸口の八ケ岳山荘。ここが登山の起点となる。

    八ケ岳山荘
    八ケ岳山荘
    美濃戸口の登山口
    美濃戸口の登山口
    登山道脇に咲くギボウシ
    ギボウシ
  • 10:42
    やまのこ村
    赤岳山荘
    赤岳山荘

    ここまでは車でアプローチできる。標高1500m地点ということもあり、心地よい風が吹いて思いのほか涼しい。

    美濃戸付近

    時折見える沢の流れが、更に涼やかさを演出してくれる。標高の恩恵だろう。

  • 10:47
    美濃戸山荘
    美濃戸山荘から続く砂利道
    砂利道

    赤岳山荘を過ぎても、しばらくは車も通れる広い砂利道が続く。美濃戸口からずっと同じような道なので、正直少し飽きてきた。

  • 11:17
    堰堤広場
    堰堤広場周辺
    沢沿いの木道
    沢沿いの木道

    ようやく登山道らしい雰囲気になってきた。沢沿いに架けられた木道を歩き、幾度となく橋を渡る道筋は、いかにも八ヶ岳らしい情緒がある。

    沢沿いの木道
    沢沿いの木道
    登山道脇に咲くミヤマトリカブト
    ミヤマトリカブト
    ミヤマトリカブト
    ミヤマトリカブト
    赤岳鉱泉手前の樹林帯登山道
  • 11:53
    赤岳鉱泉
    赤岳鉱泉のテン場
    赤岳鉱泉のテン場

    八ヶ岳登山の拠点となる赤岳鉱泉のテント場。山の奥側にも張れるスペースがあり、なかなか広い。ここで一泊してからの登山も魅力的だが、今回は強行日帰り。

    赤岳鉱泉
    赤岳鉱泉
  • 12:05
    大同心沢(大同心ルンゼ)分岐
    大同心沢の渡渉地点の木一本橋
    渡渉

    渡渉地点は木一本だけの簡素な橋。

  • 12:10
    ジョウゴ沢
    登山道脇に咲くミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ
    ジョウゴ沢付近の本格的な登山道

    これまでのハイキングコースのような道から一変し、いよいよ本格的な登りが始まった。といっても、それほど急登ではなく登りやすい傾斜で助かる。

    森林限界近くからの展望

    森林限界を越え、稜線がようやく見えるようになってきた。しかし、ガスが立ち込めており、遠くまでは見通せない。

    高山植物ヤマハハコ
    ヤマハハコ
  • 12:50
    赤岩の頭
    赤岩の頭からの硫黄岳展望
    赤岩の頭

    赤岩の頭から、これから向かう硫黄岳を望む。

    赤岩の頭からのパノラマ
    赤岩の頭からのパノラマ
    赤岩の頭から硫黄岳への稜線風景
  • 13:06
    硫黄岳
    硫黄岳山頂のガスに包まれた様子
    硫黄岳

    あいにくガスが立ち上ってきてしまい、視界が冴えない硫黄岳山頂。せっかくの展望が台無しになってしまった。

    硫黄岳の爆裂火口
    硫黄岳の爆裂火口
    硫黄岳の爆裂火口
    硫黄岳の爆裂火口

    硫黄岳の爆裂火口を覗き込む。火山の力強さを間近に感じる。

    硫黄岳
    硫黄岳
    硫黄岳
    硫黄岳
    硫黄岳山頂付近
    南八ヶ岳主尾根への稜線
    南八ヶ岳主尾根への稜線

    硫黄岳からは南八ヶ岳の主尾根を進む。次第にガスが取れ、右と左に下界の街並みがよく見えるようになって気持ちがいい。八ヶ岳連峰ならではの絶景だろう。

    コマクサ
    コマクサ

    硫黄岳山荘手前の大ダルミでは、高山植物の女王コマクサに出会えた。

    コマクサ
    コマクサ

    コマクサのシーズンも終わりかけなのか、少し寂しげな感じもする。

    コマクサの生育環境
    南八ヶ岳稜線の歩きやすい登山道
  • 13:22
    硫黄岳山荘
    硫黄岳山荘
    硫黄岳山荘
    振り返っての硫黄岳方面の稜線展望
    硫黄岳方面

    振り返ると、歩いてきた硫黄岳方面への稜線が美しく続いている。

    横岳への岩稜帯
    横岳への岩稜帯
  • 13:39
    台座ノ頭
    台座ノ頭付近
    大同心
    大同心

    右手に聳える大同心。クライミングしている人の姿も確認できた。東野登山隊の配信番組で見たことがあるが、冬山でここを登ろうとしていたのは、やはり無謀だったんじゃないだろうか。

    登山道脇に咲くマルバダケブキ
    マルバダケブキ
  • 13:48
    横岳
    横岳へのアプローチの岩場
    岩場

    横岳までは岩場と鎖場が点在している。

    横岳稜線
    横岳山頂部の岩場
    横岳稜線
    横岳山頂部の展望
    横岳山頂部の展望
    横岳頂上
    横岳頂上

    横岳頂上。ハシゴを登り下りして通過する。

    横岳から赤岳方面への稜線
    横岳山頂部
    横岳から赤岳方面への稜線
  • 13:59
    横岳(無名峰)
    横岳無名峰の岩峰
    横岳無名峰
    高山植物コバノコゴメグサ
    コバノコゴメグサ
  • 14:06
    三叉峰(横岳)
    三叉峰付近に咲くハナニガナ
    ハナニガナ
    イブキジャコウソウ
    イブキジャコウソウ
  • 14:12
    石尊峰
    石尊峰の鎖場
    石尊峰付近に咲くウメバチソウ
    ウメバチソウ
    コバノコゴメグサ
    コバノコゴメグサ
  • 14:15
    鉾岳
    鉾岳付近に咲くシロバナニガナ
    シロバナニガナ
  • 14:20
    日ノ岳
    日ノ岳周辺のイブキジャコウソウ
    イブキジャコウソウ
    日ノ岳から見る赤岳
    赤岳
    赤岳山頂のはっきりした姿
    赤岳

    赤岳山頂をはっきりと捉えることができた。あそこが目標地点だ。

  • 14:29
    二十三夜峰
    二十三夜峰からの稜線展望
  • 14:34
    地蔵の頭
    地蔵の頭
    地蔵の頭
    地蔵の頭からの赤岳への展望
  • 14:42
    赤岳天望荘
    赤岳展望荘
    赤岳展望荘
    赤岳頂上への急登
    赤岳頂上への厳しい急登

    赤岳頂上へは、かなりの急登が待ち受けていた。しかも細かい石を落としやすい地形なので、落石にも十分注意する必要がある。

    急登を登り切った地点からの展望

    急登を登り切ったところ。稜線がくっきりと際立って、なかなかよい眺めだ。

    赤岳山頂部の岩稜
    赤岳頂上山荘への最後のアプローチ
  • 15:06
    赤岳頂上山荘
    赤岳頂上山荘
    赤岳頂上山荘
    赤岳頂上山荘からの赤岳山頂
    赤岳頂上
    赤岳山頂付近に咲くミヤマダイコンソウ
    ミヤマダイコンソウ
  • 15:10
    赤岳
    赤岳頂上
    赤岳頂上

    ついに赤岳頂上に到達。八ヶ岳連峰の最高峰を踏むことができた。

    赤岳山頂2,899m
    赤岳頂上
    赤岳頂上
    赤岳頂上
    赤岳山頂からの展望
    赤岳頂上
    赤岳頂上
    赤岳頂上
    赤岳頂上からのパノラマ
    赤岳頂上からのパノラマ
    赤岳頂上
    赤岳頂上
    キレット・真教寺尾根方面へ
    キレット・真教寺尾根方面へ

    そのまま進んで下山ルートのキレット・真教寺尾根方面へ。ここから先は登山客が一気に減り、整備の具合や踏み跡も少なくなるので要注意だ。

  • 15:20
    竜頭峰
    竜頭峰からの真教寺尾根下山ルート
  • 15:25
    真教寺尾根分岐
    真教寺尾根とキレットの分岐
    真教寺尾根とキレットの分岐
    真教寺尾根付近に咲くミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ
    真教寺尾根のウスユキソウ系
    ウスユキソウ系
     真教寺尾根に咲くウメバチソウ
    ウメバチソウ
    真教寺尾根下り序盤の急坂鎖場
    鎖場

    真教寺尾根の下り序盤は急坂で鎖の連続。浮き石もかなりあるため、落石に十分注意が必要。

    トンボの群れ
    トンボの群れ

    開けた岩場ではトンボの群れに遭遇。

    真教寺尾根中間部の下り道
    真教寺尾根に咲くチシマギキョウ
    チシマギキョウ
    真教寺尾根下部の鎖場
    鎖場
    真教寺尾根の急な下り道

    鎖場地獄が終わった後の道も浮き石が多く、まだまだ油断はできない。

    真教寺尾根を急速に下る登山

    ひたすらガンガン下っていく。標高差が大きいため、脚への負担も相当なものだ。

    真教寺尾根に咲くエゾシオガマ(葉が違うかな)
    エゾシオガマ(葉が違うかな)
  • 16:27
    扇山
    扇山
    扇山
  • 16:35
    牛首山
    牛首山
    牛首山
    牛首山からの下山ルート展望
    牛首山付近の登山道

    崩れている箇所は山側の道を通る。地形の変化が激しい尾根筋だ。

    牛首山からの清里方面
  • 17:04
    大門沢方面分岐
    賽の河原
    賽の河原
  • 17:08
    サンメドウズ清里パノラマリフト山頂駅
    スキー場リフトと展望台
    スキー場リフトと展望台

    突然人の声が聞こえてきたと思ったら、登山道のすぐ脇にスキー場のリフトと展望台が現れた。必死に登山道を下ってきた自分と、優雅に夕日を楽しむ賑やかな家族連れとの落差が何とも言えない。

    清里高原に咲くハクサンフウロ
    ハクサンフウロ
    清里高原のシモツケソウ
    シモツケソウ
    清里高原の笹に覆われた登山道

    笹で道が覆われており、段差がはっきり見えないので躓きそうで怖い。標高が下がって植生も変化してきた。

  • 17:32
    羽衣池
    羽衣池
    羽衣池
    羽衣池から美し森への整備された登山道

    整備されているのはありがたいが、丸太がハードルのようになっていて逆に歩きづらい。最初は階段状だったのが、土が抜けてしまったのだろうか。

    美し森への石敷きの歩きやすい道

    石で敷き詰められた道は非常に歩きやすい。脚への負担も軽減される。

  • 17:38
    八ヶ岳美し森ロッジ(たかね荘)
    美し森に咲くツリフネソウ
    ツリフネソウ

    美し森エリアは他にも山野草がたくさん咲いていた。高原の豊かな自然環境を実感する。

    美し森周辺
  • 17:46
    美し森
    美し森の展望台
    美し森の展望台

    尾根の突端に位置しており、ここを駐車場方面へ下りると車道に出る。長い山歩きもようやく終盤だ。

    美し森周辺に咲くオニユリ
    オニユリ
  • 17:50
    美し森無料駐車場
    清里の観光地
    清里

    分かる人には分かるアレ。

    清里 ミルクポット
    清里
    清里駅前
    清里駅前
    清里駅前
    清里駅前
    清里駅前
    清里駅前
  • 18:18
    清里駅
    清里駅
    清里駅

    18:18にゴール地点の清里駅へ到着。乗る予定だった小海線の列車が18:26発なので、本当にギリギリのタイミングだった。

清里駅 小海線ホーム
清里駅

清里駅を18:26発の列車で小淵沢駅方面へ。その後、鈍行列車に揺られて23時前には自宅に帰宅できた。

小海線はどの季節に来ても風景が美しく、個人的にとても好きな路線だ。登山ではなく、青春18きっぷの鉄道旅をするなら、小諸まで小海線を乗り通し、軽井沢まではしなの鉄道、横川まではバスを使って高崎経由で帰るという、ぐるっと周回するルートをお勧めしたい。

下山後の感想

今回の八ヶ岳縦走は、槍穂高縦走の余韻に浸る間もない強行軍だったが、大変充実した山行となった。

美濃戸口から真教寺尾根への一方通行プランは、青春18きっぷでの日帰り登山において非常に効果的だった。時間的制約はギリギリだったものの、バスの最終便に間に合わなくても小海線なら何とかなるという安心感があった。

硫黄岳から赤岳までの稜線歩きは、八ヶ岳連峰の真骨頂を味わえる素晴らしいルートだ。特に、左右に下界を見下ろしながら歩く爽快感は、アルプスとは一味違った魅力がある。横岳の岩稜帯では、適度なスリルも楽しめた。

一方で、真教寺尾根の下りは想像以上に厳しかった。序盤の鎖場連続はもちろんのこと、その後も浮き石の多い道が続き、精神的にかなり疲労した。技術的な難しさはそれほどでもないが、集中力を維持し続ける必要があり、体力以上に気力が削られる感じだった。

かかった費用と装備

交通費用

  • 青春18きっぷ: 1日分 2,370円
  • 路線バス: 茅野駅→美濃戸口 1,000円

交通費合計: 3,370円

食費・その他

  • 食費: 昼・夕食代 1,500円
  • 行動食: 300円

食費合計: 1,800円

総費用

合計: 5,170円

今になって思うこと

この八ヶ岳登山を振り返ると、百名山完走に向けて着実にレベルアップしていた時期だったと感じる。2週間前の鳳凰三山では累積標高が今回より大きかったにも関わらず、八ヶ岳の方が疲労感が強かった。これは明らかに、真教寺尾根の技術的な要求度と精神的な負担が原因だった。

山の難易度というものは、単純に距離や標高差だけでは測れないものだということを、改めて実感した山行でもある。特に中級者レベル以上の登山では、ルート選択や地形の特性が疲労度に大きく影響することを身をもって知った。

ヤマノススメで登山を始める人向けにガイドとして、山の難易度の基準としてEK度数の使用を勧めた。しかし、中級者レベル以上の登山となると、山の難易度や疲労度は単純には計算できないものだと、改めて感じた。

青春18きっぷでの日帰り登山は確かにタイトだが、小海線という美しい路線を使えるのは大きなメリットだ。登山と鉄道旅行の両方を楽しめる、一石二鳥の贅沢なプランと言えるだろう。


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