東海道五十三次を歩く 7日目 静岡~金谷

安倍川もち 巡礼
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東海道五十三次 静岡から金谷まで、名物グルメを逃しながらも大井川越えを制覇する37キロの旅

静岡駅から始まる、今回も欲張りな街道歩き

2023年12月23日、快晴。前回の続きから、静岡駅をスタート地点に旧東海道を歩き始めた。今日の目標は島田あたりまで。でも、歩き始めるといつも欲張ってしまう性格が災いして、結局金谷まで行ってしまうことになるのだが。

静岡駅の今川義元公銅像
静岡駅の今川義元公銅像

静岡駅前には今川義元公の銅像が堂々と立っている。桶狭間の戦いで織田信長に敗れた武将として有名だけど、ここ静岡では今でも名君として慕われているんだなと実感する。

江川町交差点で旧東海道に合流。ここから先は、城下町特有のクランクした道が続く。呉服町交差点で一旦呉服町通りへ、そして札之辻で七間町通りへと左折。こういう複雑な道筋も、敵の侵入を防ぐための工夫だったんだろう。

安倍川もちで朝のエネルギーチャージ

老舗・石部屋での贅沢な時間

安倍川橋が見えてきたところで、今日最初のグルメタイム。「安倍川もち」の老舗、石部屋に立ち寄った。実は、この先の丸子宿にある「とろろ汁」の丁子屋に行きたかったんだけど、営業時間が11時からで時間が合わない。だから、代わりに安倍川もちをいただくことにした。

安倍川もちの石部屋
安倍川もちの石部屋

店内に入ると、まるでタイムスリップしたかのような雰囲気。古い木造の建物、年季の入った調度品、そして何より店員さんの所作が美しい。安倍川もちは、きな粉とあんこの2種類。柔らかいお餅にたっぷりのきな粉がまぶしてあって、口の中でとろけるような食感。

お値段800円は正直「現代に引き戻される」感覚だったけど、この体験には十分な価値がある。旅の醍醐味って、こういう地元の名物を味わうことだよなぁと改めて思う。

田尻屋のわさび漬けとの出会い

静岡といえば「わさび漬け」も有名だ。田丸屋が有名だけど、地元の人に聞くと「田尻屋の辛さと旨さは別格」という口コミが多数。今回は荷物を増やしたくなかったので買わなかったけど、次回寄ることがあれば絶対買ってみたい。

丸子宿、400年の歴史を誇る丁子屋への未練

とろろ汁の丁子屋
とろろ汁の丁子屋

丸子宿に到着したのは10時18分。目の前に現れたのは、あの有名な「とろろ汁」の丁子屋。茅葺き屋根の立派な建物は、まさに江戸時代から続く老舗の風格。でも、まだ開店前。

待つとなると予定が大きく狂ってしまう。泣く泣くスルーすることにしたけど、看板を見上げながら「いつか絶対食べに来る」と心に誓った。400年以上の歴史を誇るお店のとろろ汁、どんな味がするんだろう。

宇津ノ谷峠越え、静かな山道の魅力

明治のトンネルと歴史の重層性

宇津ノ谷
宇津ノ谷

道の駅宇津ノ谷峠から、騒がしい国道を離れて静かな峠道へ。宇津ノ谷の集落は、まるで時が止まったかのような静けさ。古い家並みが続き、所々に江戸時代の面影が残っている。

峠道を登っていくと、明治時代に作られたトンネルへの案内板があった。レンガ造りの趣のあるトンネルで、今でも歩行者用として使われているそうだ。

このトンネル、実は日本の近代化の象徴の一つ。江戸時代は峠を越えるしかなかったのに、明治になってトンネルが掘られ、そして現代では高速道路が通る。歴史の重層性を肌で感じられる場所だ。

単調な道のりを救った松並木

松並木
松並木

岡部宿から藤枝宿、そして島田宿へと続く道は、正直言って単調で辛かった。延々と続く車道沿いの歩道、変化の少ない風景。でも、そんな中で唯一の癒しとなったのが松並木だ。

特に印象的だったのは、歩道を遮るように生えている松。普通なら「邪魔だな」と思うところだけど、これも歴史の証。江戸時代から生き続けている松の木が、現代の歩道に根を張っている。人間の都合で切り倒されることなく、共存している姿に感動した。

藤枝の長大な商店街の謎

藤枝に入ると、めちゃくちゃ長い商店街が現れた。駅前でもないのに、2キロくらい商店街が続いている。シャッターが閉まった店も多いけど、未だに商店街の姿を保っているのが不思議だ。

きっと、旧東海道沿いということで、昔から商業の中心地だったんだろう。今でも地元の人たちが買い物に訪れる姿を見かける。こういう昔ながらの商店街って、どんどん減っているから貴重だよなぁ。

大井川を渡る感動、橋のありがたさを実感

島田宿の川越遺跡で歴史を学ぶ

大井川川越遺跡
大井川川越遺跡

島田宿に入ると、大井川川越遺跡が現れた。ここは江戸時代、大井川を渡るための拠点だった場所。川越人足たちが旅人を肩車や蓮台で運んだという。

川会所の建物も復元されていて、当時の様子がよくわかる。料金表を見ると、水位によって値段が変わる仕組み。増水時は法外な値段になったそうで、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という言葉の意味がよくわかる。

現代の橋を歩いて渡る10分間

大井川橋
大井川橋

大井川橋を徒歩で渡る。全長約1キロ、歩いて10分ほど。でも、この10分がとても感慨深い時間だった。

橋の上から見る大井川は、思ったより水量が少ない。でも、梅雨時や台風の後はきっと濁流となって、旅人たちを足止めしたんだろう。現代は橋のおかげで簡単に渡れるけど、昔の人の苦労を考えると、本当にありがたいことだと思う。

橋を渡り終えて金谷側に着くと、こちらにも川越し場跡がある。大井川を挟んで両側に拠点があったんだなと実感。

金谷駅での小さな失敗と達成感

金谷一里塚跡
金谷一里塚跡

金谷宿を通り過ぎ、金谷一里塚跡に到着。ここで今日のゴールを金谷駅に決めた。ガードをくぐって南口へ向かおうとしたら、なんと金谷駅には南口が存在しない!

渋々戻って、駅北側にある唯一の入口へ。こういう小さな失敗も、街道歩きの思い出になる。

金谷駅に到着したのは16時40分。今日も37.4キロ、約8時間の旅だった。「頑張ったぞ自分」と心の中でつぶやく。でも、だんだん自宅に帰るのが大変になってきた。静岡から東京まで、在来線で帰ると3時間以上かかるんだよなぁ。

次回への期待、東海道三大難所「小夜の中山」

次回はいよいよ東海道三大難所のひとつ、「小夜の中山」に挑戦する。箱根峠と鈴鹿峠は越えたことがある(自転車で)けど、この小夜の中山はまだ未体験。

どんな道が待ち受けているのか、正直ちょっと不安。でも、それ以上に冒険心がくすぐられる。道中には「夜泣き石」などの伝説も残されているエリアだし、歴史とロマンを感じながら歩けそうだ。

今回も旧東海道の魅力を存分に味わった一日だった。名物グルメは逃してしまったけど、それもまた次回の楽しみ。東海道五十三次の旅は、まだまだ続く。

東海道歩きを楽しむためのアドバイス

最後に、これから東海道を歩く人へのアドバイスを。

  • 名物グルメのお店は営業時間を事前にチェック(特に朝早い時間は要注意)
  • 駅の出入口は事前に確認しておくと無駄な歩きを減らせる
  • 松並木は貴重な歴史遺産、じっくり観察してみて
  • 大井川のような大河川を渡る時は、昔の旅人に思いを馳せてみる
  • 単調な区間も必ずあるけど、それも含めて街道歩きの醍醐味

富士川~静岡の歩行記録

  • 日程:2023年12月23日(土)
  • 天候:快晴
⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
07:4937.4km242m169m

地図・標高グラフ

コースタイム

江川町交差点から【丸子宿】まで

静岡駅 08:37 → 08:42 江川町交差点(前回の続き) → 09:34 安倍川橋 → 10:13 【丸子宿】

歩行タイムライン
  • 08:37
    静岡駅
    静岡駅
    静岡駅

    今日も旧東海道を辿る旅を再開。まずは静岡駅からのスタート。

    静岡駅の今川義元公銅像
    静岡駅の今川義元公銅像
    静岡駅前
    静岡駅前
  • 08:42
    江川町交差点(前回の続き)
    江川町交差点
    江川町交差点

    ここで旧東海道に合流。今日は島田あたりまでを目標に歩きます。

    呉服町交差点
    呉服町交差点

    城下町の街道っぽく何度も交差点を曲がる、ここでは一旦呉服町通りへ。

    札の辻クロスビル
    札の辻クロスビル

    ビルの名前も趣があって素敵。和洋折衷のデザインが目を引きます。

    札之辻址の碑
    札之辻址の碑

    ここで七間町通りへ左折。

    田尻屋総本家
    田尻屋総本家

    静岡の名物「わさび漬け」。
    田丸屋が有名だけど、田尻屋の辛さと旨さは別格という口コミが多数!
    今は荷物を増やしている場合じゃないので買わなかったが、次回寄ることがあれば買ってみたい。

    安倍川の橋梁が見えてきたところで、安倍川もちのお店に寄る。
    時間の関係上、この先の丁子屋には寄れないが、東海道五十三次グルメの代わりとして安倍川もちをいただこう。

    安倍川もちの石部屋
    安倍川もちの石部屋
    安倍川もちの石部屋
    安倍川もちの石部屋

    店内はタイムスリップしたかのような雰囲気。風情があって心地良いです。

    安倍川もち
    安倍川もち

    安倍川もちは絶品だけど、お値段800円は現代に引き戻される感覚。
    でも、この体験には価値があります。

  • 09:34
    安倍川橋
    安倍川橋
    安倍川橋

    安倍川橋で安倍川を越える。

    丸子一里塚跡
    丸子一里塚跡
    明治天皇御小休所趾
    明治天皇御小休所趾
  • 10:13
    【丸子宿】

【丸子宿】から【岡部宿】まで

10:13 【丸子宿】 → 10:13 東海道20宿丸子宿 → 10:18 丁子屋 10:19 → 10:51 逆川口 → 10:58 道の駅宇津ノ谷峠(静岡側 上り) → 11:12 明治のトンネル北側出口 11:14 → 11:17 明治のトンネル南側出口 → 11:23 つたの細道公園駐車場 11:24 → 11:30 道の駅 宇津ノ谷峠 (岡部町側上り) 11:39 → 12:02 【岡部宿】

歩行タイムライン
  • 10:13
    【丸子宿】
  • 10:13
    東海道20宿丸子宿

  • 10:18
    丁子屋
    とろろ汁の丁子屋
    とろろ汁の丁子屋

    丸子宿といえば、やっぱり丁子屋。今回はオープン前で寄れなかったけど、いつか絶対食べたい。

    とろろ汁の丁子屋
    とろろ汁の丁子屋
    丸子元宿高札緑地
    丸子元宿高札緑地
    丸子紅茶
    丸子紅茶

    丸子紅茶(日本の紅茶発祥の地)。

    国道1号線沿いの法面工事をしているそうだが、ものすごい高さまでの仮設道路を作って重機を走らせていて驚愕。
    日本の土木技術の凄さを実感。

  • 10:51
    逆川口
  • 10:58
    道の駅宇津ノ谷峠(静岡側 上り)
    道の駅 宇津ノ谷峠
    道の駅 宇津ノ谷峠

    騒がしい国道から少し離れ、静かな宇津ノ谷峠へ進みます。

    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    宇津ノ谷
    東海道宇津ノ谷峠越え
    東海道宇津ノ谷峠越え

    こちらから、がっつり登山。

    宇津ノ谷の集落
    宇津ノ谷の集落
  • 11:12
    明治のトンネル北側出口
    宇津ノ谷峠
    宇津ノ谷峠

    峠の左右にも登る踏み跡があって、十字路のようになってた(管理用道路だろうか?)。

  • 11:17
    明治のトンネル南側出口
  • 11:23
    つたの細道公園駐車場
    宇津ノ谷峠岡部口
    宇津ノ谷峠岡部口
  • 11:30
    道の駅 宇津ノ谷峠 (岡部町側上り)
  • 12:02
    【岡部宿】

【岡部宿】から【藤枝宿】まで

12:02 【岡部宿】 → 12:03 東海道21宿岡部宿 → 13:30 【藤枝宿】

歩行タイムライン
  • 12:02
    【岡部宿】
    岡部宿大旅籠柏屋
    岡部宿大旅籠柏屋

    今は歴史資料館として使われている。

    岡部宿内野本陣史跡広場
    岡部宿内野本陣史跡広場
  • 12:03
    東海道21宿岡部宿
    松並木
    松並木

    松並木が残っている。
    ここから先の島田まで所々で松並木が旧東海道を示してくれた。

    サッカーのまちふじえだ
    サッカーのまちふじえだ

    この辺りから商店街らしき街並みが広がるのだが、この先2キロくらいまで商店街となっており、めちゃくちゃ長大。

    駅前でもないのに、未だ商店街の姿を保っているのは不思議である。

  • 13:30
    【藤枝宿】

【藤枝宿】から【島田宿】まで

13:30 【藤枝宿】 → 13:30 東海道22宿藤枝宿 → 15:25 東海道23宿島田宿 → 15:26 【島田宿】

歩行タイムライン
  • 13:30
    【藤枝宿】
    藤枝宿上本陣跡のパネル
    藤枝宿上本陣跡のパネル

    気づかずに通り過ぎてたので戻って撮影。パネルの矢印が示す土地は空き地となっていた。

  • 13:30
    東海道22宿藤枝宿
    志太一里塚跡
    志太一里塚跡
    歩道を遮る松
    歩道を遮る松
    古東海道との追分
    古東海道との追分

    この辺りは単調な道が続いて辛かったが、松並木だけが唯一の癒やし。

  • 15:25
    東海道23宿島田宿
    本通り2丁目交差点
    本通り2丁目交差点

    島田駅をゴールにしてもいいが、今日はもう少し行けそうなので金谷駅を目指すことにした。

  • 15:26
    【島田宿】

【島田宿】から【金谷宿】まで

15:26 【島田宿】 → 15:50 島田市博物館 15:52 → 15:59 大井川橋東 16:00 → 16:11 大井川橋東町(西詰) → 16:30 【金谷宿】

歩行タイムライン
  • 15:26
    【島田宿】
    塚本家住宅
    塚本家住宅
    大井川川越遺跡
    大井川川越遺跡
    大井川川越遺跡
    大井川川越遺跡
    島田大堤と大井川川会所
    島田大堤と大井川川会所
  • 15:50
    島田市博物館
    島田市博物館
    島田市博物館
    大井川連台越しモニュメントと島田市博物館
    大井川連台越しモニュメントと島田市博物館
  • 15:59
    大井川橋東
    大井川橋
    大井川橋

    徒歩で大井川を渡る。
    現代は橋のお陰で10分ほどで渡れるけど、昔の人の苦労を考えると感慨深い。

    大井川橋
    大井川橋
  • 16:11
    大井川橋東町(西詰)
    金谷宿 川越し場跡
    金谷宿 川越し場跡

    大井川を挟んで島田の反対側にある渡河地点。

    大井川鉄道の踏切
    大井川鉄道の踏切
  • 16:30
    【金谷宿】

【金谷宿】から金谷の一里塚跡まで

16:30【金谷宿】 → 16:31 東海道24宿金谷宿 → 16:34 金谷の一里塚跡 → 16:40 金谷駅

歩行タイムライン
  • 16:30
    【金谷宿】
    金谷宿柏屋本陣跡
    金谷宿柏屋本陣跡
  • 16:31
    東海道24宿金谷宿
  • 16:34
    金谷の一里塚跡
    金谷一里塚跡
    金谷一里塚跡

    この後、このガードをくぐって金谷駅の南口へゴールを決めようと思ったのだが、金谷駅には南口など存在しないのであった……
    渋々戻って駅北側にある唯一の入口へ。

  • 16:40
    金谷駅
    金谷駅
    金谷駅

    今回も結構歩いた、頑張ったぞ自分。

    金谷駅
    金谷駅

    だんだん自宅に帰るのが大変になってきた。

動画

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