年末の東海道五十三次歩き旅 〜庄野宿から関宿へ、江戸時代の面影を求めて〜
年末の帰省に合わせて、東海道五十三次の続きを歩いてきました。前回は夏の猛暑にやられ、加佐登駅で中途半端に終わってしまったので、今回はその続きから再開です。
今思い返すと、あの夏の暑さは本当に過酷でした。アスファルトからの照り返しで、足の裏が焼けるような感覚。水分補給しても追いつかないほどの発汗量。でも、季節を変えて歩くことで、同じ道でも全く違う表情を見せてくれるんですよね。
冬の東海道を歩く魅力
12月29日、年末の慌ただしさから少し離れて、再び東海道の旅路へ。この日は快晴で、冬らしい澄んだ空気が心地よかったです。夏とは打って変わって、歩きやすい気候。息も白くなるほどではないけれど、ちょうど良い寒さが歩く速度を上げてくれます。
加佐登駅から歩き始めて、まず感じたのは「ああ、この道だ」という懐かしさ。前回の記憶が蘇ってきます。でも、夏の風景とは全然違う。葉を落とした木々の間から見える景色、冬枯れの田畑、そして何より歩きやすい気温。同じ道でも、季節によってこんなに印象が変わるものなんですね。
庄野宿 〜ひっそりと佇む宿場町〜
静かな宿場町の風情

庄野宿は、正直なところ「宿場町」という雰囲気はあまり残っていません。本陣跡の石碑がぽつんと立っているくらい。でも、それがかえって趣深い。派手な観光地化を免れた分、当時の人々が普通に暮らしていた場所という実感が湧いてきます。
道幅も江戸時代とそう変わらないんじゃないかな。狭い道を歩いていると、向こうから飛脚が走ってきそうな気がしてきます。
女人堤防碑が語る歴史

加佐登駅から約20分で庄野宿に到着。ここで出会ったのが「女人堤防碑」です。これ、すごい話なんですよ。藩の許可を得ずに堤防を作ったため、罪を軽くするために女性だけで築いたという。
当時の女性たちの苦労を想像すると、胸が締め付けられます。重い土や石を運び、手作業で堤防を築く。それも罪を軽くするためだけに、女性だけで。でも、その堤防が今も地域を守っているんです。歴史の教科書には載らない、でも確かにここで生きた人々の物語。
亀山宿 〜城下町の面影を色濃く残す〜
天守閣を間違えて壊した?信じられない歴史

庄野宿から約1時間半で亀山宿へ。ここは城下町としての面影が色濃く残る場所です。そして、日本史上でも稀に見る「うっかりミス」の舞台でもあります。
江戸時代、幕府から「丹波亀山城(京都府)の天守を解体せよ」と命じられた大名が、なんと間違えてこちらの亀山城の天守を取り壊してしまったという…。今の時代なら大炎上案件ですよね。「すみません、間違えました」で済む話じゃない。
でも、このエピソードが妙に人間臭くて好きなんです。江戸時代の人も、今の私たちと同じように間違えたり、慌てたりしていたんだなって。
商店街に残る宿場の記憶

東町商店街を歩いていると、ところどころに宿場町の名残を見つけることができます。樋口本陣跡、旧佐野家住宅など。特に印象的だったのは、亀山城西之丸外堀跡。今は普通の道路になっているけれど、「ここが堀だったのか」と思うと、街の構造が立体的に見えてきます。
商店街のお店も、なんとなく歴史を感じさせる佇まい。シャッターが閉まっている店も多いけれど、それでも「ここで商いをしていた人たちがいたんだな」という気配が残っています。
関宿 〜生きている宿場町との出会い〜
まさかの通り過ぎ事件

亀山宿から約1時間15分、いよいよ関宿へ…のはずが、なんと入口を通り過ぎてしまいました。国道1号線をそのまま歩いていたら、「あれ?なんか違う」と。慌てて地図を確認したら、見事に通り過ぎていました。
これ、実は東海道歩きあるあるなんです。現代の幹線道路と旧東海道が分岐する場所って、意外と見落としやすい。特に疲れてくると、つい大きな道をそのまま進んでしまうんですよね。
圧巻の町並み保存

気を取り直して関宿に入ると…これはすごい!今まで見てきた宿場町の中でも、群を抜いて保存状態が良い。しかも、ただ保存されているだけじゃない。人が住んで、生活している。これが本当に素晴らしい。
軒先に洗濯物が干してあったり、玄関先に自転車が停めてあったり。観光地として作られた町並みじゃなくて、江戸時代から続く暮らしがそのまま現代に受け継がれている感じ。
細部に宿る江戸の粋

特に感動したのが、現代の施設も景観に配慮していること。百五銀行なんて、完全に町並みに溶け込んでいます。ATMがなければ銀行だってわからないくらい。ポストも「書状集箱」という江戸時代風のデザイン。こういう細かい配慮の積み重ねが、町全体の雰囲気を作っているんですね。
関宿の東追分から西の端まで、約1.8kmにわたって続く町並み。端から端まで歩いてみると、宿場町の構造がよくわかります。本陣があって、脇本陣があって、旅籠が並んで…。まるで江戸時代の町がそのまま残っているよう。
東海道歩きのコツ 〜失敗から学んだこと〜
季節選びの重要性
夏と冬、両方歩いてみて痛感したのは季節選びの大切さ。個人的には、断然秋から春がおすすめです。特に11月〜3月は歩きやすい。ただし、これから挑戦する鈴鹿峠のような山越えルートは、冬は避けた方が無難かも。
必須アイテム
- 歩きやすい靴:これは本当に大事。私は普段履いているトレッキングシューズで歩いています
- 水分:冬でも意外と汗をかきます。500mlペットボトル2本は持っておきたい
- 地図アプリ:GPSで現在地を確認できるものは必須。私みたいに通り過ぎることも防げます
- カメラ:スマホでもいいけど、やっぱり記録は大切
宿場間の距離感
今回のルートは約17kmで、3時間半かかりました。これくらいの距離なら、寄り道しながらゆっくり歩いても日帰りで十分楽しめます。ただし、宿場によっては見どころが多くて時間がかかることも。特に関宿のような保存状態の良い宿場は、じっくり2時間くらいかけて歩きたいところです。
次回への期待と不安 〜鈴鹿峠越えへ〜
さて、次回はいよいよ鈴鹿峠越え。箱根峠と並ぶ東海道の難所です。標高差もさることながら、距離も長い。しかも冬の峠越えとなると、天候も心配。
でも、だからこそ挑戦したい。江戸時代の旅人たちも、同じような不安を抱えながら峠を越えていったはず。彼らに比べれば、現代の装備で歩く私たちなんて楽なもんです。
関宿で見た、生きている歴史の町。あの感動を胸に、次の挑戦へ向かいます。果たして無事に峠を越えられるのか…次回の更新をお楽しみに!
加佐登~関の歩行記録
- 日程:2024年12月29日(日)
- 天候:晴れ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
03:28 | 16.9km | 95m | 36m |
地図・標高グラフ
コースタイム
加佐登駅から【庄野宿】まで
加佐登駅 13:01 → 13:05 旧東海道との分岐(前回の続き) → 13:21 【庄野宿】
- 13:01
- 13:05
- 13:21【庄野宿】
【庄野宿】から【亀山宿】まで
【庄野宿】 13:22 → 13:55 和泉橋 → 14:12 井田川駅 14:13 → 15:10 【亀山宿】
- 13:22
- 13:55
- 14:12
- 15:10【亀山宿】
【亀山宿】から【関宿】まで
【亀山宿】 15:11 → 16:25 【関宿】
- 15:11
- 16:25【関宿】
【関宿】から関駅まで
【関宿】 16:25 → 16:25 旧東海道との分岐 → 16:30 関駅