旧東海道の鈴鹿峠越えは歩く人だけの特別な道 〜東海道最大級の難所に挑む〜
東海道五十三次の中でも屈指の難所とされる鈴鹿峠。過去に国道1号線を自転車で越えたことがあるけど、今回、旧東海道の道を徒歩で進んでみると、まったく違うルートだったんです。
正直、「峠なんてどこも同じでしょ」って思っていた自分が恥ずかしい。旧東海道の鈴鹿峠は、現代の感覚では考えられないような、まさに「峠道」でした。
急坂と階段の連続、でもそれがいい

旧東海道の鈴鹿峠は、つづれ織りの坂道と急な階段が連続し、一気に標高を稼ぐルートになっています。片山神社を過ぎたあたりから、もう容赦ない登り。階段の段差も高くて、太ももがパンパンになります。
一方、国道1号線側はなだらかな登りが続くため、自転車や車には優しい設計。でも個人的には、旧東海道のほうがメリハリがあって楽しいと感じました。単調な道より、ちょっとしたアドベンチャー感があるほうが歩きがいがあるんですよね。
特に印象的だったのが、国道1号線の高架下をくぐる階段。現代の幹線道路の下を、江戸時代の道がひっそりと通っている。この対比が、なんとも言えない感慨を呼び起こします。上では車がビュンビュン走っているのに、下では静かに歴史の道を歩いている。時代の層が重なっているような、不思議な感覚でした。
峠の頂上で感じた達成感

約30分の急登の末、ついに鈴鹿峠の頂上へ。「伊勢国と近江国の境目」という看板を見た瞬間、思わず「やったー!」と声が出ました。ここで三重県から滋賀県へ。東海道を歩いていると、こうやって国境を越えていく実感があって楽しい。
峠の頂上は意外と平坦で、少し歩くと万人講常夜燈のある休憩所があります。トイレもあるので、ここで一息つくのがおすすめ。私はここでダウンジャケットを脱ぎました。登りで体が温まりすぎて、汗だくになっていたんです。
靴選びの大失敗が招いた悲劇
スニーカーで挑んだ代償
しかし、今回の大きな失敗は靴選び。普段使いのスニーカーで歩いたため、足裏が猛烈に痛めつけられました。
登りはまだよかったんです。問題は下り。特に鈴鹿峠から下りのアスファルトは、足への蓄積ダメージが半端ない。一歩一歩、足裏に衝撃が伝わってきて、まるで石の上を裸足で歩いているような感覚。
あとで三雲駅に着く頃には、もう足が棒どころか、足裏が燃えているような痛み。歩き終えた直後から違和感があって、「これはマズい」と思いました。
痛みとの長い戦い
しかもこの影響で、二日後の東海道歩きにもダメージが残り、この記事を書いている一週間後の今でも痛みが引きません。ひょっとしたら「足底筋膜炎の一歩手前」だったかもしれません。
やはり、高低差がある区間は登山靴や厚底のウォーキングシューズが必須だと痛感。特に下りのアスファルトは、想像以上に足への負担が大きいんです。
峠を越えた後の長い道のり
淡々と歩く時間の心地よさ

鈴鹿峠を下ったあとは、なだらかな下り坂がひたすら続きました。土山宿を過ぎてからは、もう景色も単調で、正直言って退屈。でも、こういう道は頭を空っぽにして、ただ淡々と歩くのが心地いいんです。
久しぶりに心を無にして歩く時間を楽しみました。スマホも見ず、音楽も聴かず、ただ足を前に出すだけ。現代人にとって、こんな時間って実は貴重なのかもしれません。
水口宿での小さな発見

水口宿では近江鉄道の踏切を渡りました。ローカル線の踏切って、なんか好きなんですよね。「カンカンカン」という音を聞きながら、のんびりと電車が通り過ぎるのを待つ。こういう小さな時間が、徒歩旅の醍醐味。
でも、横田の渡し跡では野洲川を渡る橋がなくて、大きく迂回することに。江戸時代は渡し船があったんでしょうけど、現代では橋がないと大変。こういうところでも、時代の変化を感じます。
東海道歩きを楽しむためのアドバイス
装備は妥協しない
今回の経験から学んだ最大の教訓は、靴だけは絶対に妥協してはいけないということ。特に鈴鹿峠のような山越えルートでは:
- 登山靴かトレッキングシューズ:クッション性の高いものを選ぶ
- 厚手の靴下:できれば登山用の二重構造のもの
- インソール:衝撃吸収タイプがおすすめ
- テーピング:足裏の痛みが出やすい人は予防的に
距離と時間の見積もり
今回のルートは約35kmで、7時間半かかりました。これ、かなりキツい部類です。普通の人なら、2日に分けて歩くのが無難。特に鈴鹿峠越えは体力を使うので、余裕を持った計画を。
私のおすすめは:
- 1日目:関駅→土山宿(約20km)
- 2日目:土山宿→三雲駅(約15km)
こうすれば、鈴鹿峠もゆっくり楽しめるし、宿場町も堪能できます。
見どころを見逃さないコツ
歩いていると、つい先を急いでしまいがち。でも、東海道には小さな見どころがたくさんあります。
- 一里塚跡:江戸時代の距離標識。意外と多く残っています
- 本陣跡:今は石碑だけでも、当時の宿場の規模がわかります
- 松並木:大野の松並木のように、往時の面影を残す場所
- 常夜燈:峠の頂上にある万人講常夜燈は必見
まとめ:苦しくても歩く価値がある道

三雲駅に着いた頃には疲れ果てていました。足は痛いし、もうヘトヘト。でも、不思議と充実感があるんです。
鈴鹿峠は確かに厳しい道でした。でも、その分、歩き終えたときの達成感も大きい。国道を車で通り過ぎるだけでは絶対に味わえない、特別な体験。
次回はさらに進み、東海道のゴール・京都に向けて歩みを進める予定です。足の痛みが治ったら、今度はちゃんとした靴で挑戦します!
関~三雲の歩行記録
- 日程:2024年12月30日(月)
- 天候:晴れ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
07:31 | 34.8km | 351m | 305m |
地図・標高グラフ
コースタイム
関から【坂下宿】まで
関駅 8:15 → 8:22 関宿(前回の続き) → 8:36 西の追分無料駐車場 8:37 → 9:14 筆捨山登山口 9:15 → 9:22 坂下簡易郵便局 9:23 → 9:28 鈴鹿馬子唄会館 9:29 → 9:40 【坂下宿】
- 8:15
- 8:22
- 8:36
- 9:14
- 9:22坂下簡易郵便局
- 9:28
- 9:40【坂下宿】
【坂下宿】から【土山宿】まで
【坂下宿】 9:40 → 9:40 伊勢坂下バス停 9:41 → 9:49 清滝観音の滝 → 9:57 第二鈴鹿橋 9:58 → 10:03 片山神社 10:04 → 10:10 鏡岩 → 10:15 鈴鹿峠 → 10:24 路傍休憩所 10:25 → 10:53 土山宿 馬子唄公園 10:55 → 11:38 あいの土山 道の駅 → 11:58 【土山宿】
- 9:40
- 9:40
- 9:49清滝観音の滝
- 9:57
- 10:03
- 10:10
- 10:15
- 10:24
- 10:53
- 11:38
- 11:58【土山宿】
【土山宿】から【水口宿】まで
【土山宿】 11:58 → 12:07 御代参街道追分 → 12:19 白川橋 → 14:28 【水口宿】
- 11:58
- 12:07
- 12:19
- 14:28【水口宿】
【水口宿】から三雲駅まで
【水口宿】 14:28 → 14:28 水口宿本陣跡 → 14:42 三筋口 → 15:49 横田橋 15:50 → 15:52 三雲駅
- 14:28
- 14:28
- 14:42
- 15:49
- 15:52