富山県の剱岳(つるぎだけ・2,999m)は、岩と雪の殿堂とも称される日本百名山の一座で、別山尾根ルートのカニのタテバイ・カニのヨコバイといった垂直岩壁と連続する鎖場で知られる上級者向けの山です。立山連峰の北に位置し、室堂から剱沢キャンプ場または剱沢小屋に前泊して早朝アタックする1泊2日が一般的なスタイルです。
原作25巻では、立山編で5人と別れた楓が単独でこの山に挑みます。雨の中の小屋入りから、満天の星空の下ヘッドランプで出発する暗闇の山行、そして連続する鎖場の難所を経て剱岳山頂に辿り着くまで、ソロ登山ならではの静寂と緊張感が描かれたシリーズ屈指の名エピソードの舞台です。
- 基本情報
- ヤマノススメでの描写
- アクセス・登山情報
- 剱岳の核心部
- 巡礼レポート
- ルート地図
- 暗闇の中、剱沢キャンプ場から剱岳にアタック
- 一服剱を過ぎ、ガスってる最中に雷鳥と出会う
- 前剱を通過し、ここからは過酷な後半戦
- 前劔の門は細い橋と鎖場のコンビネーション
- 平蔵の頭
- 最後の難所、カニのタテバイ
- 最後の日本百名山となる剱岳に登頂
- 別山尾根ルートで最大の難所、カニの横バイ
- 下りの平蔵の頭
- 下りの前劔の門
- 前剱からの下りも気を抜かないように
- 剱沢キャンプ場で束の間の休憩
- 稜線上にある剱御前小舎を通過
- 地獄谷の脇をかすめる
- 最終目的地の室堂に到着
- 立山トンネルトロリーバスで室堂から大観峰へ
- 立山ロープウェイで大観峰から黒部平へ
- 黒部ケーブルカーで黒部平から黒部湖へ
- 黒部ダム
- 関電トンネル電気バスで黒部ダムから扇沢へ
- 高速バスで新宿へ。しかしトラブルが……
- よくある質問
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 山名 | 剱岳(つるぎだけ) |
| 標高 | 2,999m |
| 所在地 | 富山県中新川郡立山町・上市町 |
| 難易度 | ★★★★★(上級者向け・岩稜帯・鎖場多数) |
| 推奨シーズン | 7月下旬〜9月下旬 |
| コースタイム | 2日目の剱澤小屋〜剱岳ピストンで標準約9時間15分/歩行距離10.2km |
| 登山スタイル | 1泊2日(剱澤小屋または剱沢キャンプ場泊) |
ヤマノススメでの描写
原作での登場シーン
【二百三十九〜二百四十二合目】剱岳
- メンバー: 楓(単独)/あおい、ひなた、ここな、ほのか(立山編で別行動)
- アクセス: 長野駅→<アルピコ交通 長野-大町・扇沢>→扇沢→<関電トンネル電気バス>→黒部ダム→黒部湖→<黒部ケーブルカー>→黒部平→<立山ロープウェイ>→大観峰→<立山トンネルトロリーバス>→室堂
- コース: 室堂→みくりが池→剱澤小屋(小屋泊)→前剱→平蔵の頭→平蔵のコル→カニのタテバイ→剱岳(2,999m)→《下山》→室堂
あらすじ
二百二十八〜二百三十八合目は立山編のエピソードです。剱岳編はその続きとなります。
【二百三十九合目 明日への不安】 楓は雨に降られながらも剱澤小屋に到着。明日のハードな行程と天気の行方が心配になるが、明日に向けた最善を尽くすために今は眠る。
【二百四十合目 独り占め】 起きると空には星空が広がっていた。まだ周りは暗闇の中をヘッドライトを装着して出発、風の音だけが聞こえる静寂さと気遣いなく進める自由な単独行を再認識する。
【二百四十一合目 度胸】 前剱を通過し、楓の目の前に立ちはだかる前剱の門。難所である細い橋と鎖場のトラバースも無難にこなす。しかし、まだまだ剱岳までは長い道が続く。
【二百四十二合目 泣きそうだ】 平蔵の頭、平蔵のコルと難所が続いた後、気が抜けて足を踏み外しそうになる楓。高さ20mもある最後の難所カニのタテバイを越えた先に見えたのは、剱岳の山頂だった。
ヤマノススメ単行本25巻に収録されています
ルート地図
聖地巡礼のポイント
- 剱澤小屋: 楓が前泊した山小屋。翌朝のアタックにおける重要な拠点
- 前劔の門: 鉄製の細い橋と鎖場のトラバースが組み合わさった難所
- カニのタテバイ: 登りルート最大の核心部。高低差20mの垂直に近い岩壁
- 剱岳山頂: 楓が百座目として辿り着いた感動のゴール地点
アクセス・登山情報
アクセス方法
立山黒部アルペンルート経由(原作ルート・長野側)
長野駅→<アルピコ交通>→扇沢→<関電トンネル電気バス>→黒部ダム→<黒部ケーブルカー>→黒部平→<立山ロープウェイ>→大観峰→<立山トンネルトロリーバス>→室堂。
富山側(短時間ルート)
富山駅→<富山地方鉄道>→立山駅→<立山ケーブルカー>→美女平→<立山高原バス>→室堂。
室堂からみくりが池・雷鳥平を経由して剱澤小屋または剱沢キャンプ場までは、標準コースタイムで約3時間22分(歩行距離5.2km)。剱御前小舎のピークを500m登り、そこから300mほど下るコースです。長野駅の始発バスから乗り継ぐと、室堂には昼頃に到着するため、遅くとも16時までには小屋入りできます。
推奨スケジュール(1泊2日)
1日目: 室堂→雷鳥平→剱御前小舎→剱澤小屋(泊)
午前のうちに室堂入りし、明るいうちに拠点となる小屋またはキャンプ場へ。翌日の本格的なアタックに備え、早めに就寝して体力を温存します。
2日目: 剱澤小屋→一服剱→前剱→前劔の門→平蔵の頭→カニのタテバイ→剱岳→(下山)→カニのヨコバイ→前劔の門→前剱→一服剱→剱澤小屋→別山乗越→室堂
2日目は標準コースタイム9時間15分、歩行距離10.2kmに及ぶ長丁場です。室堂最終バス15:15発に間に合わせるためには、楓のように日の出前(4時〜4時半)出発が強く推奨されます。
装備と準備
垂直に近い鎖場や鋭い岩稜帯が連続するため、ソールの硬い登山靴、ヘルメット、手袋(鎖場用)、ヘッドランプ(予備電池含む)、防寒着、雨具上下、行動水1.5L以上、行動食が必須装備です。また、岩場での三点支持の習得は欠かせません。連休などの混雑期にはカニのタテバイで10分以上の渋滞が発生することもあるため、時間的な余裕も重要な装備の一つです。
登りと下りで道が分かれるルート
別山尾根ルートは、混雑緩和と安全確保のため、登りと下りでルートが分離している区間があります。岩場に描かれた矢印のペイントやプレートの番号に従うことで、迷わず進むことができます。下りルートが登りルートの下部を通過する場所では、落石を発生させないよう特に慎重な行動が求められます。
剱岳の核心部
カニのタテバイ(登り)
別山尾根ルートにおける最大の核心部です。高低差約20mに及ぶ垂直に近い岩壁を、鎖を頼りに登ります。足がかりや手がかりは豊富にあるため、三点支持を徹底して慎重に高度を上げれば通過可能ですが、高度感は相当なものです。原作で楓が「泣きそうだ」と漏らしながらも、一歩ずつ確実に登り切った象徴的な場所です。
カニのヨコバイ(下り)
下りルートにおける最難関です。垂直に切れ落ちた岩壁を、鎖を掴みながら水平にトラバース(横移動)します。最初の一歩を踏み出す際に足場が視認しづらいため、岩に描かれた赤いペイントを目印にします。足元が深く切れ落ちているため、精神的なプレッシャーが非常に大きい区間です。
前劔の門
登りと下りでルートが異なる難所の一つです。登りでは鉄製の橋を渡った直後に岩場をトラバースし、下りでは登り道の下部を回り込むように進みます。各所に設置された鎖を適切に使いながら通過します。
平蔵の頭・平蔵のコル
岩稜のアップダウンが連続する難所です。登りでは打ち込まれた鉄のくいを足場にして高度を稼ぎ、下りでは滑りやすいスラブ状の岩を慎重に下ります。常に高度感にさらされるため、疲労によって注意力が散漫にならないよう注意が必要です。
巡礼レポート
日程: 2021年9月19日(日) 〜 2021年9月20日(月) [1泊2日]
コースタイム(2日目・剱岳アタック): 剱沢キャンプ場 04:11 → 04:15 剱澤小屋 04:16 → 04:32 剣山荘 04:35 → 04:54 一服剱 04:55 → 05:33 前剱 05:35 → 05:48 前劔の門 → 06:09 平蔵の頭 06:11 → 06:18 カニのタテバイ 06:34 → 06:41 カニのハサミ 06:42 → 06:47 剱岳 07:05 → 07:08 カニのハサミ 07:09 → 07:17 カニの横バイ 07:27 → 07:31 平蔵の頭 07:32 → 07:47 前劔の門 → 07:56 前剱 → 08:26 一服剱 → 08:41 剣山荘 08:42 → 08:59 剱澤小屋 → 09:06 剱沢キャンプ場 10:06 → 10:44 剱御前小舎 → 11:31 浄土橋 11:32 → 11:51 雷鳥沢ヒュッテ → 11:58 雷鳥荘 → 12:14 みくりが池温泉 → 12:18 みくりが池 → 12:25 ホテル立山 → 12:27 室堂
ルート地図
1日目は立山編をご覧ください。
暗闇の中、剱沢キャンプ場から剱岳にアタック

渋滞に巻き込まれたくないので予定よりも出発時間を早めました。核心部手前の前剱あたりで明るくなっていればいいと逆算し、4時過ぎに出発。剣山荘までの道はゴーロが広がっていて暗いとわかりにくいです。

剣山荘を過ぎたあたりからは渋滞の最後尾へ。気になるほど遅くないし、ソロだと前がいないと不安なので頼らせてもらうことにしました。

1番の鎖場へ。この後もプレートの番号順に難所を攻略していきます。
一服剱を過ぎ、ガスってる最中に雷鳥と出会う

若干明るくなってきて、それと同時にガスってることを知ります。


ガスっているおかげなのか、雷鳥とご対面。5羽ほど近くで鳴いていたのをしばらく見届ける、癒やされます。
前剱を通過し、ここからは過酷な後半戦



登りと下りで道が違うところも矢印のペイントでわかりやすくなっています。

前剱の門。登りルートの難所です。
前劔の門は細い橋と鎖場のコンビネーション

鉄の橋を渡ってから、岩場をトラバースします。

高度感はありません。落ちても大丈夫そう(個人の感想であり……)。








平蔵の頭

平蔵の頭。鉄のくいを足場にして登っていきます。


岩稜のトラバースが続きます。



見えてきたのが、登り最後の難所カニのタテバイ。

上まで人が連なっています。

渋滞してるので10分ほど順番待ち。冷えないように行動食をつまみます。
最後の難所、カニのタテバイ




下を見下ろす。落ちても怪我はするけど死ぬことはないと思う(個人の感想であり……)。



カニのタテバイが終わると、下りルートであるカニのヨコバイを通過している人が見えました。なんかものすごい所を行くんだなと。



頂上部はガスっていました。
最後の日本百名山となる剱岳に登頂

剱岳頂上について日本百名山の全山踏破。やり遂げて口元がほころびますが、下山するまでが登山、決して油断はしません。

2004年に設置された剱岳の三等三角点。設置場所の岩と同化してしまっているので、登山者に踏まれまくっていました。

頂上はそこそこ広いです。

ガスが晴れるのを待たずに下山。



下のガスは晴れてきて、荒々しい別山尾根を目前にする。こんなところ登ってきたんか。

別山尾根ルートで最大の難所、カニの横バイ

最大の難所と言われるカニのヨコバイ。

この切れ落ちた岩壁の赤いペイントがされたところに足を踏み出します。

あとは下り気味のトラバース。



長いハシゴ。これをカニのタテバイにもつければいいのに、とか思いました。

下りの平蔵の頭

平蔵の頭。スラブを登っていきます。

山頂方向を見ると、ガスが晴れているようにも見えます。
下りの前劔の門


登りルートの下部を歩くことになるので、落石に注意。
前剱からの下りも気を抜かないように






剱沢キャンプ場で束の間の休憩

剱沢キャンプ場に戻り、休憩しつつテントを片付け。重いザックを背負い直してキャンプ場を出発します。

別山乗越から振り返り、剱岳を見納めようと思いましたが生憎の雲でした。
稜線上にある剱御前小舎を通過


雷鳥坂を下る途中に綺麗に色付いた木々を前景に、雷鳥沢キャンプ場。


称名川を渡ります。



地獄谷の脇をかすめる

噴煙が立ち上る地獄谷。

ここから先、地獄谷から火山ガスの風下となり、むせそうです。


火山ガスが遊歩道を直撃。




最終目的地の室堂に到着

室堂に戻ってきて、無事下山。ここからは観光モード、立山黒部アルペンルートの続きで扇沢へ向かいます。
立山トンネルトロリーバスで室堂から大観峰へ

立山トンネルトロリーバスで大観峰へ。

関電トンネルトロリーバスが電気バスに置き換わったので、ここが日本で唯一走るトロリーバスです。





大観峰からロープウェイに乗り換えます。
立山ロープウェイで大観峰から黒部平へ

立山ロープウェイで黒部平へ。

向こうで手を振ってくれています。

あっという間に黒部平へ到着。紅葉がもっと進むと綺麗だろうな。
黒部ケーブルカーで黒部平から黒部湖へ

続いて黒部ケーブルカーで黒部湖へ。


黒部湖に到着。
黒部ダム

ここからはダム堰堤の上を歩いて移動します。




この黒部ダムの直下まで下って下ノ廊下を歩いたときに、黒部ダムに来たことがありましたが、通過しただけだったので、今回はしっかり観光。








黒部ダムカレー。辛口仕様で、黒部湖の色を再現した緑色のカレー。美味しいです。


関電トンネル電気バスで黒部ダムから扇沢へ

立山黒部アルペンルートの最後は、関電トンネル電気バスで黒部ダムから扇沢へ。

トロリーバスから置き換えられた電気バスです。

駅アナウンスが「おうぎさわー、おうぎさわー」と松本駅の「まつもとー、まつもとー」と同じイントネーションでした。


帰りのバスまで時間があったので、近くにある扇沢総合案内センターへ。ここでは黒部の太陽関連の展示などがあります。



今年の春からトロバス記念館として、関電トンネルトロリーバスの引退した車両が展示されています。クラウドファンディングで保存を呼びかけて、奇跡的に残っていた最後の1台の展示が実現したそうです( https://readyfor.jp/projects/torobus-omachi )。
高速バスで新宿へ。しかしトラブルが……

と、立山黒部アルペンルートの観光も終わり、あとは新宿までのバスに乗って帰るだけのはずだった……。
- 諏訪湖SAに緊急停車、同じアルピコ交通のさわやか信州号がエンジントラブルで乗客移動、ガラガラの車内が満席に。
- 双葉SAでの駐車時に接触事故、警察の現場検証等で1時間以上の遅れ。
- 連休最終日、中央道の渋滞にハマる。
16:10に扇沢を出発して21:11に到着予定だったのですが、日付を越えて0:30到着。終電間に合わず……。ものすごい1日でした。

結局タクシーで自宅に帰りましたが、延着補償が行われない高速バスとしては珍しく、タクシー代金を返金していただいたのは救いでした。
よくある質問
Q: 登山初心者でも剱岳に登れますか?
A: 剱岳は国内屈指の上級者向けの山です。カニのタテバイ・ヨコバイなどの高度感のある鎖場や、険しい岩稜帯が連続します。三点支持の確実な技術と、長時間の行動に耐えうる体力が必要です。まずは妙義山や北穂高岳などの岩場がある山で経験を積んでから挑戦することをおすすめします。
Q: 渋滞はどの程度発生しますか?
A: お盆やシルバーウィークなどの大型連休中は、カニのタテバイを筆頭に各所の鎖場で渋滞が発生します。10分以上の順番待ちになることも珍しくありません。追い抜きができない箇所も多いため、余裕を持ったスケジュールを組み、楓のように日の出前からの行動を心がけると混雑を避けやすくなります。
Q: テント泊と小屋泊、どちらがおすすめですか?
A: 剱沢キャンプ場は剱岳を眼前に望める素晴らしい景観のテント場ですが、斜面が多く平坦なスペースの確保が課題になります。原作の楓が利用した剱澤小屋(小屋泊)は、荷物を軽くできるメリットがあります。自身の体力や装備、好みのスタイルに合わせて選択してください。
Q: 立山と剱岳はセットで登れますか?
A: 1泊2日の行程で両方を繋げることは可能です。1日目に立山三山を縦走して剱沢周辺に宿泊し、2日目に剱岳を往復してから室堂へ下るルートを組めば、原作の立山編と剱岳編の両方を一度に巡礼できます。詳しくは立山編をご覧ください。
Q: 雷鳥に出会える可能性はありますか?
A: 早朝や夕方、またはガスが発生しているときに出会える確率が高いです。一服剱の周辺などは雷鳥の生息エリアとして知られています。出会った際は静かに見守り、追いかけたり触れたりしないように注意しましょう。

