五竜岳に向かうまで
九州遠征から帰京して2週間後、次に計画していたのは青森にある八甲田山と岩木山への百名山プチ遠征だった。高速バスとレンタカーの手配も完了し、準備万端のはずだった。
しかし、その計画は思わぬ形で頓挫することになる(後述)。そして、7月に予定していたのが北アルプスの白馬連峰・唐松岳と五竜岳への挑戦。青春18きっぷとムーンライト信州を使った日帰り登山という、なかなかハードな計画を立てていた。
2018年6月23日 愛宕山での足慣らし
梅雨時期の散歩がてら、東京23区内で天然に形成された山の最高峰である愛宕山(25.7m)に登ってきた。北アルプスへの足慣らしには程遠いが、ヤマノススメの聖地巡礼も兼ねた軽いウォーミングアップだ。
2018年6月29日 青森遠征の無念な中止
6月29日の金曜日、意気揚々とバスタ新宿から青森駅への高速バスに乗り込み、翌日には八甲田山や岩木山を登っているはずだった。しかし、自宅を出るのが遅れ、乗るべき電車に間に合わなかったため、バスの発車時刻に間に合わないことが確定。駅のホームで無念の途中リタイアを一人宣言することになった。
デジャブである。四国遠征の時にも全く同じミスを犯している。一度の失敗から学ばない自分に心底呆れてしまった。
幸い、前回とは違いバスの出発時間前にキャンセルできたため、全額取消料の支払いは免れた。ギリギリまで足掻くのではなく、潔く諦めることの重要性という、よくわからない真理を得た。
レンタカー会社に翌日連絡すると、本来発生するはずのキャンセル料を「なし」にしてくれた。津軽の人の温かみと津軽訛りが身に染みる。改めて青森遠征計画を立て直すときは、この店のお世話になることだけは確定した。
2018年7月22日 ムーンライト信州で白馬へ

7月21日の夜、ムーンライト信州81号の指定席券争奪戦を勝ち抜いて確保したチケットを握りしめ、新宿駅を後にした。夜行列車に揺られること約6時間、夜が明けると白馬駅のホームに立っていた。

ムーンライト信州の終着駅、白馬駅。駅ロータリー左側の北アルプス総合案内所は、夜行列車の到着に合わせてか早朝から開いていた。事前にゴンドラのチケットを購入しようと思ったが、片道チケットは販売していないとのこと。少々残念だ。


白馬駅から路線バスで約5分、白馬八方BTに到着。バスターミナルからゴンドラ駅まで直結していると勘違いしていたが、実際は徒歩10分ほどの距離がある。

八方駅でザックの重量測定を受ける(15kg未満なら追加料金なし)。今日のゴンドラ運行開始は6時30分。待機列でしばらく待つが、流れはスムーズで運行開始から5分ほどで乗車できた。


八方ゴンドラリフト・アダムの乗車時間は8分。続いてアルペンクワッドリフトで兎平から黒菱平へ、乗車時間7分。


リフト直下には足が触れそうな高さに、色とりどりの草花が咲いている。

黒菱平に到着。目の前にそびえる白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳)が、北アルプスに来たという実感を高めてくれる。最後にグラートクワッドリフト(乗車時間5分)で八方池山荘へ向かう。
実際に登ってみた
日程: 2018年7月22日(日) [日帰り] 天候: 晴れ
アクセス
往路
- JR:荻窪→三鷹→立川→白馬(普通切符160円、青春18きっぷ2,370円、ムーンライト信州 指定席券520円)
- 路線バス:白馬駅→白馬八方BT(180円)
- 徒歩:白馬八方BT→八方ゴンドラリフト八方駅
- ゴンドラ・リフト:アルペンライン片道(1,550円)
復路
- ゴンドラ:テレキャビン アルプス平駅→とおみ駅(1,000円)
- 無料シャトルバス:エスカルプラザ→神城駅
- JR:神城→信濃大町→松本→大月→荻窪(青春18きっぷ)
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
07:52 | 18.6km | 1,795m | 2,091m |
コースタイム
ルート: 八方池山荘-(八方尾根)-唐松岳頂上山荘-唐松岳-唐松岳頂上山荘-五竜山荘-五竜岳-五竜山荘-(遠見尾根)-アルプス平
- 07:08
- 07:26
- 07:30
- 07:37
- 08:06
- 08:19
- 08:49
- 09:05
- 09:21
- 09:25
- 10:00
- 10:36白岳
- 10:40五竜山荘
- 11:37
- 12:23五竜山荘
- 12:27
- 13:05
- 13:31
- 13:54中遠見山
- 14:07
- 14:43
- 15:00
この後は松本駅から鈍行を乗り継いで東京へ。23時前には荻窪駅に到着し、長かった一日を終えた。
下山後の感想
コース状況・危険箇所等
八方池山荘から唐松岳頂上山荘経由の唐松岳へのルートは、よく整備されており歩きやすい。唐松岳頂上山荘から五竜山荘への尾根道では、牛首のトラバース鎖場が唯一の難所となる。高度感はないが渋滞が発生しやすいため、譲り合いが重要だ。
五竜山荘から五竜岳山頂への岩場は、マークに従えば難しいところはない。遠見尾根での下山は最初に鎖場などもあるが、その後は淡々と下る単調な登山道で、ピーク以外では展望もよくない。
感想・記録
ヤマノススメに登場した唐松岳への計画を前から立てていたが、せっかくなので五竜岳も合わせて日帰りで行けるかと無謀な計画を立案。八方のゴンドラが6:30からなので、スタート地点の八方池山荘には7:00頃到着。東京まで鈍行で帰れる神城駅の最終が16:46、逆算するとゴール地点のアルプス平には16:15頃には着いている必要がある。
標準コースタイムは12時間20分なので、0.7倍程度のスピードが必要だった。マイルストーンを9:30に唐松岳頂上山荘、11:30に五竜山荘と設定し、もし間に合わなかったら五竜岳は諦めるプランで臨んだ。
ムーンライト信州の乗車は2回目。前回は冬でガラガラの印象だったが、今回は9割程度の乗車率で、松本を過ぎても7割程度の盛況ぶりだった。下車して白馬駅で涼しさを体感したのも束の間、2000m以上の山に登っているのに直射日光がジリジリと照りつけてかなり暑い。午後からは雲が湧き上がり、遠くの景色は見られなくなったが、日光をマイルドにしてくれたおかげで日射病の心配はなくなった。
それほど急登もなく難所も少ないコースでおすすめできるが、やはり日帰りだと焦る気持ちで見どころを堪能できないのが残念。1泊するのが無難だろう。八方池のほとりまで下りて、池に反射する白馬三山を見たかったな。
かかった費用と装備
交通費
- 高速バス(青森キャンセル分) : 5,076円
- 電車(青春18きっぷ・ムーンライト信州指定席券): 3,050円
- 路線バス: 180円
- ゴンドラ・リフト: 2,550円
交通費合計: 10,856円
食費
- 昼晩: 1,500円
- 行動食: 500円
食費合計: 1,800円
総費用
合計: 12,656円
今になって思うこと
今となっては、ムーンライト信州を利用した最後の列車旅となった。ムーンライト信州は2018年が最後の運行だったのだ。
夜行列車で登山に行くといえば、このムーンライト信州で北アルプスに向かうのが鉄板だった。それが無くなるのは実に寂しい限りだ。
ムーンライトながらも2020年に運行終了となっており、夜行列車の廃止も時代の流れなのだろう。定期運行されている最後の夜行列車であるサンライズ瀬戸・出雲もいつ無くなってもおかしくない。そのため、2020年に鳥取の伯耆大山へ登った時には、もちろんサンライズ出雲を利用した。