日本百名山全山踏破 63座目 鳳凰三山 | 青春18きっぷ日帰り南アルプス初挑戦

オベリスク 日本百名山
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鳳凰三山に向かうまで

前回の高妻山から約3週間、台風の影響で一度延期したものの、青春18きっぷを最大限活用しての鳳凰三山挑戦。

2019年8月3日 青春18きっぷで行く、南アルプス初陣

もともと7月27日(土)の予定だったが、台風接近で天候が荒れそうだったため、賢明にも1週間後ろ倒し。結果的にこれが功を奏した。

夏の青春18きっぷ期間(7月20日〜9月10日)がちょうど始まったばかりのタイミング。格安で遠方の山に挑戦できるこの切符は、登山の強い味方だ。今シーズン第1回目の遠征として、満を持しての鳳凰三山選択である。

日帰りでの三山縦走は体力的にはキツそうだが、これまでの経験を考えれば十分対応可能な範囲。何より、今シーズン初の南アルプスに胸が高鳴る。

韮崎駅バス乗り場
韮崎駅バス乗り場

実際に登ってみた

日程: 2019年8月3日(土) [日帰り] 天候: 曇り時々ガス、午後に小雨

アクセス

青春18きっぷを使った早朝スタートの長距離移動。乗り換え時間がタイトなので、事前の下調べが重要だった。

[JR線] 荻窪 04:31→05:13 高尾 05:14→05:50 大月 05:53→06:41 甲府 06:46→06:59 韮崎

[南アルプス鳳凰三山登山路線バス] 韮崎駅 07:10→08:05 青木鉱泉 ※運賃 1,800円+荷物代200円 = 2,000円

荻窪からの始発利用で、なんとかバスの始発に間に合うスケジュール。乗り継ぎミスは許されない緊張感の中、順調に韮崎駅に到着。駅裏手の登山バス乗り場で、同じ目的の登山者たちと合流した。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
07:3320.6km2,443m2,456m

コースタイム

ルート: 青木鉱泉-(ドンドコ沢)-鳳凰小屋-地蔵岳-鳳凰山-薬師岳-(中道ルート)-御座石-青木鉱泉

山行タイムライン
  • 08:06
    青木鉱泉
    青木鉱泉バス停
    青木鉱泉バス停

    定刻通り青木鉱泉に到着。公共交通機関を使った日帰り登山の場合、最終バス17:00が絶対的な制約となる。約9時間という限られた時間の中で、鳳凰三山を巡って戻ってこなければならない。

    青木鉱泉の温泉宿、下山後の日帰り入浴も可能
    青木鉱泉

    青木鉱泉は歴史ある温泉宿で、下山後の疲労回復にはもってこいの立地。ただし今回は時間的制約もあり、温泉は次回のお楽しみとした。

    ドンドコ沢登山道
    ドンドコ沢登山道
    登山道脇に咲くダイコンソウ
    ダイコンソウ
    迂回道路
    迂回道路

    法面工事のため一時的に迂回ルートを通る。

    最初の渡渉ポイント、水量は少なく安全
    渡渉

    最初の渡渉地点。水量が少ないこともあり、靴を濡らす心配はまったくない。この後も何度か渡渉があったが、いずれも問題なくクリアできた。

    ダイコンソウ
    ダイコンソウ
    涼しげなシモツケ
    シモツケ
    ガクウツギの白い花弁
    ガクウツギ
    ドンドコ沢
    ドンドコ沢
    ドンドコ沢
  • 09:12
    南精進ヶ滝
    センジュガンピ
    センジュガンピ
    ヤマホタルブクロ
    ヤマホタルブクロ
    沢の崩壊面、迂回路が設置されている
    崩壊面

    沢の崩壊を避けるため、一旦高巻きして迂回する箇所がある。登っている最中は崩壊面が見えないので、なぜここで下るのか一瞬戸惑ったが、トラロープに従って進めば問題ない。

    迂回路

    急登が続くが、森のひんやりとした空気が真夏の暑さを和らげてくれる。

  • 09:58
    白糸の滝
    広い沢
    広い沢

    山道は狭い一方で、途中に現れる広い沢は絶好の休憩スポット。多くの登山者がここで水分補給や小休止をしている。清流の流れが作り出す風景は、写真に収めたくなる美しさだ。

  • 10:30
    五色の滝
    五色の滝の清涼な流れ
    五色滝

    それまでの滝は通過するだけだったが、五色の滝だけは少し寄り道して鑑賞。

    鳳凰小屋手前は庭園のような美しさ
    鳳凰小屋手前

    鳳凰小屋が近づくにつれて景色がガラッと変わる。急登から一転してなだらかな道となり、まるで高原の庭園を散策しているような気分になる。

    シロバナノヘビイチゴ
    シロバナノヘビイチゴ
    遠くに見える鳳凰三山の象徴オベリスク
    オベリスク

    あれが鳳凰三山のシンボル、オベリスクか。写真で見るよりも存在感があり、これから向かう山頂への期待が高まる。

    ヨツバシオガマの色鮮やかな花
    ヨツバシオガマ
    タカネビランジのピンクの花弁
    タカネビランジ
  • 11:06
    鳳凰小屋
    鳳凰小屋に到着、賑やかな山小屋
    鳳凰小屋

    鳳凰小屋に到着。土曜日とあって多くの登山者で賑わっている。ここが森林限界の手前、これから先は本格的な高山帯に入る。

    鳳凰小屋
    鳳凰小屋
    山頂手前の砂礫
    山頂手前の砂礫

    鳳凰小屋からの登りは、南アルプス特有の砂礫帯。「砂礫」というより、ほぼ砂に近い柔らかい地面で、一歩踏み出すたびに沈み込む。想像以上に体力を消耗するが、これも南アルプスの特徴的な地形の一つだ。

    地蔵岳山頂、オベリスクが最高点
    地蔵岳
    地蔵岳
    地蔵岳

    地蔵岳に到着。オベリスクが最高点のようだが、三角点などの明確な目印はない。地蔵岳の山頂は岩峰が連なる複雑な地形になっている。

    想像以上に切り立ったオベリスク
    オベリスク

    近くで見るオベリスクは思っていた以上に切り立っていて、迫力満点。

    地蔵岳の名前の由来となった地蔵
    地蔵岳の地蔵
    オベリスクの威厳ある姿
    オベリスク
    タカネビランジ
    タカネビランジ
    ガスが上がってきて展望は期待できない

    ご覧の通り、ガスが上がってきて展望は絶望的な状況。まあ、いつものことと言えばいつものことだが、少し残念ではある。

    ガスに包まれる神秘的な稜線
    タカネビランジ
    タカネビランジ
    高山の厳しくも美しい環境
    アキノキリンソウ
    アキノキリンソウ
  • 12:15
    アカヌケ沢の頭
    ツマトリソウ
    ツマトリソウ
    タカネビランジ
    タカネビランジ
    ヨツバシオガマ
    ヨツバシオガマ
    観音岳方面、甲斐駒ヶ岳のような白い砂
    観音岳方面

    観音岳方面を望む。甲斐駒ヶ岳のような白い砂地が印象的。

    タカネグンナイフウロ
    タカネグンナイフウロ
  • 12:39
    鳳凰小屋分岐
    鳳凰小屋への分岐
    鳳凰小屋への分岐

    観音岳手前で鳳凰小屋への分岐を通過。ここから観音岳への最後の登りとなる。

    ガスが晴れた瞬間の地蔵岳
    地蔵岳

    振り返ると、ガスが晴れた瞬間に地蔵岳を撮影できた。タイミングよく美しい山容を収められて良かった。

    ヤクシソウ
    ヤクシソウ
    雲行きが怪しくなってきた

    時折、雨粒がパラパラと落ちてくる。遠くから雷の音も聞こえてきた。夏山の午後によくある天候の変化だが、早めに山頂を踏んで下山した方が良さそうだ。

    雷の音も聞こえ始める
    タカネビランジの白
    タカネビランジの白
  • 13:03
    鳳凰山
    観音岳
    観音岳

    観音岳(2,841m)登頂!鳳凰三山の主峰にして、日本百名山63座目の完登。

    観音岳の三角点
    観音岳の三角点
    観音岳山頂
    ガスで展望は得られない
  • 13:34
    薬師岳
    薬師岳山頂
    薬師岳
    薬師岳山頂は結構な広さ
    薬師岳山頂

    薬師岳(2,780m)にも無事登頂。最高点ではないが、山頂は結構な広さがあって、団体で来ても十分くつろげそうだ。これで地蔵岳、観音岳、薬師岳の鳳凰三山すべてを踏破した。

    下山開始、天候の悪化が心配
    表皮の剥がれた木々
    表皮の剥がれた木々

    下山途中で表皮の剥がれた木々を発見。最初はシカの食害かと思ったが、標高2,700m付近では考えにくい。高山の厳しい自然環境が作り出した光景なのだろう。

  • 14:05
    御座石
    御座石
    御座石

    御座石に到着。転がりそうな巨岩を支えるつっかえ棒が印象的。瑞牆山の桃太郎岩にも似たような支えがあったが、こういう「無意味そうで実は意味がある」構造物が妙に好きだ。

  • 14:53
    林道出合
  • 15:13
    中道ルート登山口
    登山道から林道への切り替わり地点にある廃屋
    廃屋

    登山道を下りきって林道に入る手前に現れる廃屋。

     林道途中の青木鉱泉ショートカット

    林道途中で青木鉱泉への近道がある。川を板切れのような橋で渡るのだが、見た目はかなり頼りない。しかし実際に渡ってみると意外にしっかりしていて、時間短縮には有効だった。

    さらに頼りない橋の造り

    こっちはさらに頼りない橋。

  • 15:43
    青木鉱泉

    予定より少し早めに青木鉱泉に帰着。最終バスまで1時間以上の余裕があり、ホッと一安心。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

【ドンドコ沢登山道】

  • 渡渉箇所が複数あるが、夏場は水量が少なく靴が濡れる心配はない
  • 滝見の分岐がいくつもあったが、時間節約のためすべて本道を選択
  • 1,800m地点手前で沢の崩壊により迂回箇所あり。登ってから下るので一瞬迷うが、トラロープに従えば問題なし

【鳳凰小屋〜地蔵岳】

  • 山頂手前の砂礫帯(実質ほぼ砂)での登攀が体力的にキツい
  • 踏み込むと沈み込むため、固そうな場所を選んで歩くのがコツ

【鳳凰三山稜線】

  • 気持ちの良い稜線歩きでアップダウンも適度
  • 岩場もあるが、赤ペンキの道標が豊富で迷う心配はない

【中道登山道】

  • 急坂の下りが続き、後半は単調なつづら折りで谷へ下りていく
  • 林道途中の青木鉱泉ショートカットは時間短縮に有効

登山道全体を通じて、赤ペンキやピンクテープが過剰なほど設置されており、道迷いの心配はまったくない。ただし、錆びて文字が読めない古い鉄製看板が多く、情報としてはあまり役に立たない状況だった。

率直な感想・記録

先週に予定していたが台風接近で延期した判断は正解だった。せっかく梅雨明けしたのに、絶好の登山日和とはいかず、展望が得られなかったのは残念だが、まあいつものことといえばいつものこと。

来週に控えた槍穂縦走のトレーニングのつもりで臨んだが、前半のドンドコ沢で飛ばしすぎて、鳳凰小屋からの登りでバテバテに。ペース配分の難しさを改めて痛感した。特に南アルプスの砂礫帯は想像以上に体力を消耗する。

オベリスクの迫力、高山植物の豊富さ、そして南アルプス特有の地形の特徴など、写真や文章では伝わらない魅力を肌で感じることができた。

かかった費用と装備

交通費用

  • 青春18きっぷ(日割り): 2,370円
  • 登山バス往復: 韮崎駅⇔青木鉱泉 4,000円(本体1,800円×2 + 荷物代200円×2)

交通費合計: 6,370円

食費・その他

  • 食費: 昼晩1日分 1,500円
  • 行動食: 1日分 300円

食費合計: 1,800円

総費用

合計: 8,170円

青春18きっぷを活用することで、かなりリーズナブルに南アルプスを楽しめた。公共交通機関縛りの日帰り登山としては、コストパフォーマンスは非常に高い。

今になって思うこと

この時期から、PCゲーム「theHunter: Call of the Wild」という狩猟シミュレーターにドハマりしていた時期だった。仕事から帰ると寝る間も惜しんで何時間もプレイする日々。

そのため、この山行中も樹皮の剥がれた木々を見つけて「シカがいないかな?」と忍び足になったり、動物の痕跡を探したり、リアルでゲームの影響を受けまくっていたことを懐かしく思い出す。

そんなに夢中になったゲームだが、今でも続けており、プレイ時間は3,000時間を超える時間泥棒っぷり。登山とは真逆のインドア活動だが、自然への関心という点では共通している。

theHunter プレイ時間
theHunter プレイ時間

偶然(!?)にも現在セール中となっており、約500円で買えちゃいます。今すぐ買って、一緒にハンティングしましょう!


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