木曽駒ヶ岳・空木岳に向かうまで
青春18きっぷを利用した怒涛の夏山登山(金峰山・瑞牆山、伊吹山、谷川岳、蓼科山・霧ヶ峰・美ヶ原)から3週間。この夏、現地に赴くも荒天のため、なくなく諦めた木曽駒ヶ岳への登山を再計画。
前回諦めた木曽駒ヶ岳に空木岳を加えて縦走計画
どうせなら、同じ木曽山脈の空木岳も縦走して登ってしまおうと、計画を練り直した。
縦走する上での懸念事項としては、
- 高速バスに夜行便がないため、駒ヶ根に昼頃の到着になっても1日目の行程が間に合うのか
- 紅葉シーズンのため、駒ヶ岳ロープウェイの混雑が心配
- 宝剣山荘から木曽殿山荘までの縦走路は、檜尾避難小屋があるのみで、小屋やテント場がない
- 檜尾避難小屋は唯一の避難小屋。寝ることができるスペースがあるか
- 大型ザックを利用する、ソロでは初めての泊まり登山
檜尾避難小屋に泊まることにして、全てが順調だとしても到着予定時刻は17時40分。これは日の入り時刻であり、これより遅くなると暗い中での山行を強いられて危険。
しかし、背に腹は代えられない。リスクを承知の上で、一歩踏み出した。
宝剣岳への挑戦
ヤマノススメでも木曽駒ヶ岳と宝剣岳へ登っている。高所恐怖症のあおいちゃん(主人公)にとって、宝剣岳は絶対無理だろうと思える山。そんなあおいちゃんが乗り越えたんだから、自分も乗り越えないと。
実際に登ってみた
日程: 2017年09月23日(土) ~ 2017年09月24日(日) [1泊2日] 天候: くもりのち晴れ
アクセス
立川から駒ヶ根ICまで高速バス、女体入口バス停から菅の台バスセンターを経由ししらび平まで路線バス、しらび平から千畳敷までは駒ヶ岳ロープウェイ。

女体入口という珍名のバス停。高速バスの停留所から少し歩いた一般道にある。


地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
12:22 | 24.9km | 1,673m | 3,457m |
コースタイム
1日目

立川からの高速バスでは駒ヶ根に着いた時点で30分の遅れ。さらにロープウェイで待つ羽目になったら、予定を大幅に変えなければならないので戦々恐々としていたが、ロープウェイ乗り場では時間のロスなくスムーズに乗車できた。

駒ヶ岳ロープウェイの車窓からは滝が見える。ロープウェイ自体が結構なスピード。

7分ちょっとで約1,000メートルの高さを稼いでくれるロープウェイ。中間地点での下りロープウェイとのすれ違いがほんの一瞬で、速さを実感。

駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅。日本で一番高い所にある駅でもある。


千畳敷駅からの展望。稜線がガスってるけど、最近の山行としてはいい天気なほう。

ルート: 千畳敷駅-宝剣山荘-木曽駒ヶ岳-宝剣山荘-宝剣岳-檜尾岳-檜尾避難小屋[泊]
- 12:10
- 12:33
- 12:40
- 12:50
- 12:57
- 13:02
- 13:15
- 13:30(木曽駒ヶ岳) 頂上山荘
- 13:35
- 13:41天狗荘
- 13:45
- 13:54
- 14:32
- 14:34
- 14:39極楽平
- 14:45
- 15:27
- 16:33
- 16:44
2日目
ルート: 檜尾避難小屋-檜尾岳-木曽殿山荘-空木岳-(池山尾根)-空木岳登山道入口-菅ノ台バスセンター
- 05:22
- 05:27
- 06:32
- 07:19
- 07:33
- 08:46
- 09:24
- 09:37
- 09:50空木平カール分岐点
- 10:18ヨナ沢ノ頭
- 10:30
- 10:33
- 11:04マセナギ
- 11:10
- 11:26
- 11:54タカウチ場(池山分岐)
- 12:12
- 12:24
- 12:28
- 12:58菅ノ台バスセンター・駐車場
下山した後もしばらく歩いて、マルス信州蒸留所へ

菅の台バスセンターから駒ヶ根橋を渡り大田切川の対岸へ。40分ほど歩いてマルス信州蒸溜所へ来た。
疲労で乾ききった唇にはウイスキーの刺激は強くてヒリヒリ。最速で体に染み込んで酔いがまわる。




マルス信州蒸留所見学の様子は以下の記事を参照。
駒ヶ根といったらソースカツ丼

もちろん、定番のソースカツ丼を明治亭駒ヶ根本店で食べる。
夕方に高速バスに乗車し、自宅に戻ったのは24時前。今回も目一杯動いて疲れました。
下山後の感想
コース状況/危険箇所等
千畳敷から木曽駒ヶ岳は特に危険な箇所なし。宝剣岳から空木岳までの縦走ルートは腕を使って這い上がるような箇所が多々あるが、マークに従っていけば問題ない。
感想/記録
8月中旬に木曽駒ヶ岳に登ろうとしたが、その時は雷雲でロープウェイが運休していて断念。計画を練り直して、空木岳までの縦走ルートに変更し再計画。
ギリギリで日の入り前に避難小屋に着けるかどうかなので、ロープウェイで何時間も待つようだったらピストンで日帰りとしよう。
実際は高速バスが遅れていたが、ロープウェイも待ち時間無しで乗れて何とか計画通りに山行ができた。それほど天気が良くない&紅葉シーズン直前っていうマイナス条件のおかげかな。
宝剣岳から空木岳の稜線は何度もアップダウンを繰り返すし、岩場は両腕の力が必要になるような登りがあったりと想像していたよりもハード。途中に小屋も水場もないので、今までのヌルい日帰り登山とは違う貴重な経験を得た。
かかった費用と装備
避難小屋宿泊を含む縦走登山をするにあたって、父親から譲り受けた大型ザックを利用した(1度使ったのみで、長い間保管されていたので、加水分解でベタベタだった。重曹水で徹底的にクリーニングした)。ただ、調理用のガスやコッヘルなどは持たず、テントも無いため、中はスッカスカである。
シュラフは化繊のものが既にあったが、マットは以前車中泊で使ったキャンピングマット(すぐに壊れた)しかなかったため、モンベルのオンラインショップでフォームパッド 150を注文した。これはクローズドセルタイプと呼ばれるスリーピングマットで、大昔に使ってた銀マットを折りたたみしやすく軽量化したようなもの。空気で膨らませるエアーマットよりも体積は大きいが、軽さはこっちのほうが軽い。
駒ヶ岳ロープウェイは名鉄が親会社のため、名鉄の株主優待として割引チケットが手に入る。ヤフオクで送料込200円だったが、割引額は2割のため、それほど旨みはない。他にはモンベル会員だと1割引だが、7月~10月は利用不可。
交通費用
- 電車: 604円
- 高速バス(立川駅-中央道駒ヶ根インター往復): 6,860円
- 路線バス(女体入口→しらび平): 950円
- ロープウェイ(株主優待2割引): 1,170円(株主優待200円+しらび平駅→千畳敷駅970円)
交通費合計: 9,584円
装備費用
- フォームパッド: 4,752円
装備費合計: 4,752円
食費・その他
- 朝・昼・夕(2日分): 3,000円
- 行動食(2日分): 600円
食費合計: 3,600円
総費用
合計: 17,936円
2座の縦走登山としては装備投資を含めても手頃な費用。特にロープウェイアクセスにより時間短縮できたのが大きい。檜尾避難小屋の利用により宿泊費も節約できた。
今になって思うこと
今考えてみても危なっかしい山行計画だった。ただ、この縦走コースは本当にこれしかやりようがなかった。
過去には、檜尾岳で痛ましい遭難事故が起きたりしているので、緊急避難用にツェルトを持っていくのがいいだろう。ちょうど昨年、縦走路で唯一宿泊できる檜尾避難小屋が改築されて、10人の定員が35人まで増えたという。今後、テント場も作られる予定のようだ。
中央アルプスの縦走は百名山2座を効率的に登れる魅力的なルートだが、リスク管理が重要。特に檜尾避難小屋への到着時刻は日没を考慮して計画する必要がある。
宝剣岳の岩場は高所恐怖症でなくても緊張感がある。チェーンは確実にあるが、ルート間違いに注意が必要。特に稜線縦走路での分岐は初見では迷いやすい。
空木岳の池山尾根下山は長距離で膝への負担が大きい。下山後のマルス信州蒸留所とソースカツ丼は、疲労回復と達成感を味わうのに最適だった。
千畳敷カールの美しさ、宝剣岳からの絶景、空木岳山頂からの大展望と、中央アルプスの魅力を存分に味わえた縦走だった。ただし、避難小屋泊の縦走は十分な装備と経験が必要で、初心者にはオススメできない。