日本百名山全山踏破 67座目 甲武信ヶ岳 | 千曲川源流と田中陽希ニアミス登山

甲武信ヶ岳頂上 日本百名山
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甲武信ヶ岳に向かうまで

8月最終週、秋の山行計画を本格的に立てて諸々の予約を取った。9月14日からの二日間で赤石岳と荒川岳、9月28日からの二日間で白馬岳と火打山・妙高山という大型山行が控えている。それぞれ北アルプスと南アルプスの今シーズン最後の遠征になるだろう。

そのテント泊縦走に備えて、装備の見直しをした。これまで使っていた化繊のシュラフはサイズが大きく、テント泊縦走のパッキングには不利だった。そこで、コンパクトなダウンシュラフを新調することにした。

モンベル恵比寿店でシュラフ、エアマット、スタッフバッグのセットを購入。久しぶりの装備への大出費で43,308円。でも、これで今後の山行がぐっと快適になるはずだ。

寒がりなので#3(快適温度3℃、使用可能温度-2℃、エクストリーム温度-19℃)と#2(快適温度0℃、使用可能温度-6℃、エクストリーム温度-23℃)で悩んだ。でも、氷点下のシーズンはキャンプしないだろうし、軽量でコンパクトなほうが使いやすいだろうと判断して#3にした。

マットも新調した。これまでクローズドセルタイプのフォームパッドを使っていたが、縦走用のザックでもパッキングで外付けしないといけない大きさだった。シュラフをコンパクトにしたんだから、マットもということでエアマットタイプを購入。

もし寒いところでキャンプする場合、エアマットとクローズドセルマットの両方を使うと底冷えを完璧にシャットアウトできるそうだ。まあ、そんな過酷な場所には行かないと思うけど。

スタッフバッグセットも購入。これまで着替えや食料をビニール袋に入れていたが、小屋内でガサガサ音が気になっていたし、強度と防水性能が心もとなかった。それらのビニール袋を、防水性能を持った丈夫なスタッフバッグに置き換えることにした。

サイズが様々で色も別々なので、中身の判別がしやすく使いやすい。なかなか良い買い物だった。

2019年9月1日 青春18きっぷで行く日帰り甲武信ヶ岳登山

信濃川上駅
信濃川上駅

今回もまた4時31分の荻窪駅発。眠い目をこすりながら、今夏山シーズン3回目の青春18きっぷを使った日帰り登山へ出発だ。1回目は鳳凰三山、2回目は八ヶ岳、そして今回が甲武信ヶ岳。

先々週の八ヶ岳では小海線の清里駅に下山したが、今回は清里駅よりも2駅ほど北にある信濃川上駅で降りる。こんな小さな駅から出発するバスがあるのかと心配になったが、ちゃんと駅前に停まってくれていた。そのバスに乗り込んで梓山バス停へ向かった。

実際に登ってみた

日程: 2019年9月1日(日) [日帰り] 天候: くもり

アクセス

青春18きっぷ使用。乗り換え時間が短いので注意。 

往路 
[JR] 荻窪 04:31→05:13 高尾 05:14→05:50 大月 05:53→06:41 甲府 06:46→07:25 小淵沢 07:48→08:30
[川上村営バス] 川上駅 08:36→09:01 梓山(550円) 

復路 
[路線バス 山梨交通 窪平・西沢渓谷線] 西沢渓谷入口 14:40→15:40 塩山駅南口(1030円)

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
05:3418.4km1,284m1,481m

コースタイム

ルート: 梓山-毛木平-千曲川・信濃川水源地-甲武信ヶ岳-木賊山-(徳ちゃん新道)-西沢渓谷入口バス停

山行タイムライン
  • 09:02
    梓山
    梓山バス停
    梓山バス停

    川上村営バスは梓山バス停までなので、ここから毛木平まで車道歩きとなる。

    梓山から毛木平へ向かう車道
    梓山周辺の農地でのサニーレタス収穫風景

    ハクサイやサニーレタスの収穫風景を眺めながら、ゆるやかに登っている車道を奥へと歩いていく。高原野菜の産地らしい、のんびりとした風景だ。

    毛木平への道中で見つけたマルバダケブキ
    マルバダケブキ
    毛木平の駐車場
    毛木平の駐車場
  • 09:50
    毛木平
    毛木平の東屋
    毛木平の東屋
    毛木平登山口
    毛木平登山口

    毛木平登山口のゲートを越えて、いよいよ山道に入る。

    登山道の分岐点で左は十文字峠、右は千曲川水源地への案内

    最初の分岐。左へ行くと十文字峠、千曲川水源地へは右へ向かう。甲武信ヶ岳は右のルートだ。

    湿った場所にマルバダケブキの群生
    マルバダケブキの群生
    登山道で見つけた紫色のヤマトリカブト
    ヤマトリカブト
    千曲川の清流
    千曲川

    千曲川に沿って登っていく。水の流れがとても美しく、涼やかな音を立てている。

  • 10:11
    大山衹神社
    千曲川の上流部
    千曲川

    スタート地点から涼しかったが、千曲川の水の流れでさらに涼やかな気分になる。

    千曲川沿いの登山道
  • 10:21
    慰霊碑
    慰霊碑周辺の登山道
    慰霊碑から先の登山道の勾配がやや急に
  • 11:00
    なめ滝
    ナメ滝
    ナメ滝
    ナメ滝
    ナメ滝
    ナメ滝より上流での千曲川
    ナメ滝周辺の苔むした岩

    整備された人工的な道ではなく、自然をそのまま生かした道で、多少ワイルドな箇所もある。

    千曲川源流部への登山道
    千曲川源流に近づく登山道
  • 11:46
    千曲川・信濃川水源地標
    千曲川・信濃川水源地標
    千曲川・信濃川水源地標
    千曲川源流の水場
    千曲川源流の水場

    千曲川源流の水場に到着。コップが常設されていて、誰でも源流の水を飲むことができる。本州一長い河川の始まりの地だと思うと、なかなか感慨深い。

    千曲川源流の水場で地面から湧き出る水
    千曲川源流の水場

    奥からポコポコと水が湧き出ている。こんな小さな湧き水が、やがて千曲川、信濃川となって日本海まで流れていくのか。

    千曲川源流より上の急登
    千曲川源流から甲武信ヶ岳への登りで森林が深くなる
    甲武信ヶ岳への登り
    木の幹からキノコ
    木の幹からキノコ

    木の幹からキノコが生えている。なんだか妙にエッチな形だな。

  • 12:05
    2353m地点
    国師ヶ岳・金峰山と甲武信ヶ岳の分岐
    国師ヶ岳・金峰山と甲武信ヶ岳の分岐

    千曲川源流からは本格的な登りとなって、尾根へと登り切ると国師ヶ岳・金峰山と甲武信ヶ岳の分岐に出た。ここからが尾根歩きの開始だ。

    甲武信ヶ岳への尾根道での快適な稜線歩き

    快適な尾根歩きが続く。木々の間から時々展望が開ける。

    甲武信ヶ岳頂上直下のガレた登り
    ガレた登り

    甲武信ヶ岳頂上直下になると視界が開け、ガレた登りになる。足元に注意が必要な区間だ。

    甲武信ヶ岳山頂が見えてきた頂上直下の登山道

    頂上標識が見えてきた。もうすぐ山頂だ。

  • 12:23
    甲武信ヶ岳
    甲武信ヶ岳頂上
    甲武信ヶ岳頂上

    甲武信ヶ岳の山頂に到着。標高2,475mの奥秩父主脈縦走路の重要なポイントだ。

    甲武信ヶ岳山頂からの曇り空での展望
    甲武信ヶ岳頂上

    天気が心配だったけど、それほど悪くない。曇りがちだが、周囲の山々はそれなりに見えている。

    甲武信ヶ岳からの景色
    甲武信ヶ岳からの景色
    甲武信ヶ岳からの景色
    甲武信ヶ岳からの景色
    甲武信ヶ岳頂上
    甲武信ヶ岳頂上
    甲武信ヶ岳頂上
    甲武信ヶ岳頂上
    甲武信ヶ岳山頂近くの三角点
    三角点

    頂上から少し甲武信小屋へ歩いたところに三角点がある。

  • 12:41
    甲武信小屋
    甲武信小屋
    甲武信小屋

    甲武信小屋はスルーして、そのまま木賊山へ向かう。

    甲武信小屋から木賊山への細くなった登山道

    木賊山のルートは、これまでと違って道幅が狭く踏み跡もぐっと減る感じだ。ピークを巻くトラバースのほうがメジャーなのかもしれない。

    木賊山への道中で見つけたアキノキリンソウ
    アキノキリンソウ
    木賊山ピーク手前から振り返って見た甲武信ヶ岳
    甲武信ヶ岳

    木賊山ピーク手前から振り返ると、先ほど登った甲武信ヶ岳が見える。

  • 12:53
    木賊山
    木賊山頂上と三角点
    木賊山頂上と三角点

    木賊山の山頂に到着。三角点もある静かな山頂だ。

  • 12:57
    戸渡尾根分岐
    戸渡尾根
    戸渡尾根

    戸渡尾根を下り始めると、急にモヤッてきた。山の天気は変わりやすい。

  • 13:35
    徳ちゃん新道分岐
    徳ちゃん新道への分岐
    徳ちゃん新道への分岐

    近丸新道から徳ちゃん新道への分岐。今回は徳ちゃん新道で下山する。

    徳ちゃん新道の急な下り区間
  • 14:25
    徳ちゃん新道登山口
    徳ちゃん新道登山口
    徳ちゃん新道登山口

    15:40のバスに乗る予定だったが、1つ前の14:40のバスにも急げば間に合いそうだったので、ここから速歩きで向かった。

  • 14:28
    近丸新道登山口
  • 14:37
    西沢渓谷入口バス停
    西沢渓谷入口バス停
    西沢渓谷入口バス停

    西沢渓谷入口バス停でゴール。なんとか予定より早いバスに間に合った。山梨交通のバスはSuicaが使えて便利だった。

下山後の感想

甲武信ヶ岳は苔むした森林に奥秩父の山らしさを感じつつも、千曲川の源流に向けて水の音を聞きながら登っていく登山道がとても涼やかで気持ちよかった。特に千曲川源流の水場は印象的で、本州一の大河の始まりの地に立てたのは感慨深い体験だった。

コース状況について記録しておくと、梓山から毛木平までは車道で、農作業車やトラックには気をつける必要がある。毛木平からはとてもゆったりと登っていき、軽い渡渉もあるが問題ない。甲武信ヶ岳のピーク近くはガレているので足元注意。

下山に使った近丸新道は浮き石もあるが、平たいので足を置いても問題なさそうだった。一方、徳ちゃん新道に入ってすぐの浮き石は丸くて落石になりそうなので注意が必要だ。戸渡尾根の終端部は急坂で道も狭い。

今年の夏は、鳳凰三山・八ヶ岳・甲武信ヶ岳の日帰り3回に青春18きっぷを使えて、お得な山行を十分に満喫できた。でも、後立山連峰へ行くのに便利だったムーンライト信州が廃止されてしまったのは残念だ。

かかった費用と装備

交通費用

  • 青春18きっぷ: 日割り計算 2,370円
  • 川上村営バス: 川上駅→梓山 550円
  • 山梨交通バス: 西沢渓谷入口→塩山駅 1,030円

交通費合計: 3,950円

装備費用

  • ダウンハガー800 #3: 29,700円
  • U.L.コンフォートシステム エアパッド: 9,720円
  • ライトスタッフバッグセット: 3,888円

装備費合計: 43,308円

食費・その他

  • 昼食: 500円
  • 行動食: 300円

食費合計: 800円

総費用

合計: 48,058円

今になって思うこと

この甲武信ヶ岳登山で最も興味深いのは、ちょうど同じ日にグレートトラバース3に挑戦している田中陽希さんが甲武信ヶ岳に登っていたことだ。

NHKで放映された『グレートトラバース3 15min.「203座目 甲武信ヶ岳」』で確認したところ、自分が徳ちゃん新道分岐から徳ちゃん新道で下りたのに対して、陽希さんは近丸新道で登っていたようだ。そのため分岐ですれ違い、直接会うことは叶わなかった。分岐手前で重そうな機材を背負ったボッカ隊に遭遇していたが、あれはNHKが手配したグループだったのだろう。

直接は出逢えなかったが、陽希さんにニアミスできただけでもかなり嬉しい出来事だった。グレートトラバースは1から3まで全てのシリーズの15min.版を録画して残しており、次に登る百名山の研究に活用していた。本当に感謝している。

改めて、日本3百名山ひと筆書きの達成おめでとうございます。

装備について振り返ると、このタイミングで購入したダウンシュラフとエアマットは、その後の南アルプスと北アルプスのテント泊縦走で大活躍した。特にダウンシュラフの軽量性とコンパクト性は、縦走時のパッキングを格段に楽にしてくれた。初期投資は大きかったが、長い目で見れば良い買い物だった。

甲武信ヶ岳は奥秩父主脈縦走の要所でもあり、いつかは長い縦走路を歩いてみたいと思わせる魅力的な山だった。千曲川源流という特別な場所を通るルートは、他の百名山では体験できない独特の価値がある。


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