甲武信ヶ岳に向かうまで
8月最終週、秋の山行計画を本格的に立てて諸々の予約を取った。9月14日からの二日間で赤石岳と荒川岳、9月28日からの二日間で白馬岳と火打山・妙高山という大型山行が控えている。それぞれ北アルプスと南アルプスの今シーズン最後の遠征になるだろう。
そのテント泊縦走に備えて、装備の見直しをした。これまで使っていた化繊のシュラフはサイズが大きく、テント泊縦走のパッキングには不利だった。そこで、コンパクトなダウンシュラフを新調することにした。
モンベル恵比寿店でシュラフ、エアマット、スタッフバッグのセットを購入。久しぶりの装備への大出費で43,308円。でも、これで今後の山行がぐっと快適になるはずだ。
寒がりなので#3(快適温度3℃、使用可能温度-2℃、エクストリーム温度-19℃)と#2(快適温度0℃、使用可能温度-6℃、エクストリーム温度-23℃)で悩んだ。でも、氷点下のシーズンはキャンプしないだろうし、軽量でコンパクトなほうが使いやすいだろうと判断して#3にした。
マットも新調した。これまでクローズドセルタイプのフォームパッドを使っていたが、縦走用のザックでもパッキングで外付けしないといけない大きさだった。シュラフをコンパクトにしたんだから、マットもということでエアマットタイプを購入。
もし寒いところでキャンプする場合、エアマットとクローズドセルマットの両方を使うと底冷えを完璧にシャットアウトできるそうだ。まあ、そんな過酷な場所には行かないと思うけど。
スタッフバッグセットも購入。これまで着替えや食料をビニール袋に入れていたが、小屋内でガサガサ音が気になっていたし、強度と防水性能が心もとなかった。それらのビニール袋を、防水性能を持った丈夫なスタッフバッグに置き換えることにした。
サイズが様々で色も別々なので、中身の判別がしやすく使いやすい。なかなか良い買い物だった。
2019年9月1日 青春18きっぷで行く日帰り甲武信ヶ岳登山

今回もまた4時31分の荻窪駅発。眠い目をこすりながら、今夏山シーズン3回目の青春18きっぷを使った日帰り登山へ出発だ。1回目は鳳凰三山、2回目は八ヶ岳、そして今回が甲武信ヶ岳。
先々週の八ヶ岳では小海線の清里駅に下山したが、今回は清里駅よりも2駅ほど北にある信濃川上駅で降りる。こんな小さな駅から出発するバスがあるのかと心配になったが、ちゃんと駅前に停まってくれていた。そのバスに乗り込んで梓山バス停へ向かった。
実際に登ってみた
日程: 2019年9月1日(日) [日帰り] 天候: くもり
アクセス
青春18きっぷ使用。乗り換え時間が短いので注意。
往路
[JR] 荻窪 04:31→05:13 高尾 05:14→05:50 大月 05:53→06:41 甲府 06:46→07:25 小淵沢 07:48→08:30
[川上村営バス] 川上駅 08:36→09:01 梓山(550円)
復路
[路線バス 山梨交通 窪平・西沢渓谷線] 西沢渓谷入口 14:40→15:40 塩山駅南口(1030円)
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
05:34 | 18.4km | 1,284m | 1,481m |
コースタイム
ルート: 梓山-毛木平-千曲川・信濃川水源地-甲武信ヶ岳-木賊山-(徳ちゃん新道)-西沢渓谷入口バス停
- 09:02
- 09:50
- 10:11
- 10:21
- 11:00
- 11:46
- 12:05
- 12:23
- 12:41
- 12:53
- 12:57
- 13:35
- 14:25
- 14:28近丸新道登山口
- 14:37
下山後の感想
甲武信ヶ岳は苔むした森林に奥秩父の山らしさを感じつつも、千曲川の源流に向けて水の音を聞きながら登っていく登山道がとても涼やかで気持ちよかった。特に千曲川源流の水場は印象的で、本州一の大河の始まりの地に立てたのは感慨深い体験だった。
コース状況について記録しておくと、梓山から毛木平までは車道で、農作業車やトラックには気をつける必要がある。毛木平からはとてもゆったりと登っていき、軽い渡渉もあるが問題ない。甲武信ヶ岳のピーク近くはガレているので足元注意。
下山に使った近丸新道は浮き石もあるが、平たいので足を置いても問題なさそうだった。一方、徳ちゃん新道に入ってすぐの浮き石は丸くて落石になりそうなので注意が必要だ。戸渡尾根の終端部は急坂で道も狭い。
今年の夏は、鳳凰三山・八ヶ岳・甲武信ヶ岳の日帰り3回に青春18きっぷを使えて、お得な山行を十分に満喫できた。でも、後立山連峰へ行くのに便利だったムーンライト信州が廃止されてしまったのは残念だ。
かかった費用と装備
交通費用
- 青春18きっぷ: 日割り計算 2,370円
- 川上村営バス: 川上駅→梓山 550円
- 山梨交通バス: 西沢渓谷入口→塩山駅 1,030円
交通費合計: 3,950円
装備費用
- ダウンハガー800 #3: 29,700円
- U.L.コンフォートシステム エアパッド: 9,720円
- ライトスタッフバッグセット: 3,888円
装備費合計: 43,308円
食費・その他
- 昼食: 500円
- 行動食: 300円
食費合計: 800円
総費用
合計: 48,058円
今になって思うこと
この甲武信ヶ岳登山で最も興味深いのは、ちょうど同じ日にグレートトラバース3に挑戦している田中陽希さんが甲武信ヶ岳に登っていたことだ。
NHKで放映された『グレートトラバース3 15min.「203座目 甲武信ヶ岳」』で確認したところ、自分が徳ちゃん新道分岐から徳ちゃん新道で下りたのに対して、陽希さんは近丸新道で登っていたようだ。そのため分岐ですれ違い、直接会うことは叶わなかった。分岐手前で重そうな機材を背負ったボッカ隊に遭遇していたが、あれはNHKが手配したグループだったのだろう。
直接は出逢えなかったが、陽希さんにニアミスできただけでもかなり嬉しい出来事だった。グレートトラバースは1から3まで全てのシリーズの15min.版を録画して残しており、次に登る百名山の研究に活用していた。本当に感謝している。
改めて、日本3百名山ひと筆書きの達成おめでとうございます。
装備について振り返ると、このタイミングで購入したダウンシュラフとエアマットは、その後の南アルプスと北アルプスのテント泊縦走で大活躍した。特にダウンシュラフの軽量性とコンパクト性は、縦走時のパッキングを格段に楽にしてくれた。初期投資は大きかったが、長い目で見れば良い買い物だった。
甲武信ヶ岳は奥秩父主脈縦走の要所でもあり、いつかは長い縦走路を歩いてみたいと思わせる魅力的な山だった。千曲川源流という特別な場所を通るルートは、他の百名山では体験できない独特の価値がある。