かねてより訪れてみたかった牛久シャトー。牛久シャトーの持ち主であるオエノンホールディングスが、株主向けに牛久シャトーの見学会を行うと募集していたので、応募してみた。
そして、当選した。わーい。
2022年5月24日 火曜日
モバイルSuicaに対応した都区内パスを使ってみた
平日ではあるが、1日有給をとって牛久シャトーのある牛久駅へと向かう。
東京23区の西側に住んでる住民にとって、常磐線沿線へ向かう際に必須な都区内パス。
都区内パスは、JRの23区内の駅に乗り降り自由な企画乗車券だが、フリーエリアを越えて乗り越しになる場合も普通に得するきっぷなのだ。
具体的に、今回使った荻窪駅から牛久駅への往復。
普通にきっぷを買うと、1342円×2で合計2684円となる。一方、都区内パスを使うと、都区内パス 760円+乗り越し区間 金町~牛久 682円×2で合計2124円。
都区内パスを使うだけで、500円以上お得になった。
欠点としては、券売機で都区内パスをわざわざ買う必要があるし、乗り越し精算をしないといけない手間があった。
しかし、今年の3月から、モバイルSuicaアプリで都区内パス(他には東京フリーきっぷなど全4種類)を購入できるようになった。モバイルSuicaだけで、購入から乗り越し精算まで全部やってくれて、とても使い勝手がよくなった。
そんなモバイルSuicaの都区内パス、今回初めて使ってみた。
購入できるのが当日のみなので、改札に入る前にアプリできっぷの購入決済。モバイルSuicaアプリに「都区内パス」と表示されて、あとは普通にタッチ&ゴー。本当に便利。
日本初のワイン醸造場 牛久シャトー
牛久駅に到着。牛久シャトーまでは徒歩10分もかからない。
いかにも専用軌道が通っていた跡のような遊歩道を歩いて行く。
牛久シャトーの正門では歓迎の看板。20人ほどしか招待されてない見学会の割には、株主総会みたいに道路の要所々々で案内するスタッフを配置していた。
赤煉瓦造りが美しい本館のファサードには、牛久シャトーの旧称である「シャトーカミヤ」の文字。
牛久シャトー本館の見学会
オエノンホールディングス社長と語る会の前に、国の重要文化財施設である牛久シャトー本館(旧事務室)の見学が行われた。
本館は、一般には非公開となっている。牛久市の学芸員の方に、案内され説明していただいた。
2階の大ホールは、明治から大正にかけてワインパーティーが開かれていた。板垣退助などの要人が写っている写真から、その当時の華やかさが伝わってくる。
この鏡は、ドイツから贈られたものらしい。鉤十字のマークが彫られている。
豪華な本館の貴賓室
続いて、本館の貴賓室に案内された。
当時の机と椅子が残っている。特別に許可を頂いているので、是非座ってみてくださいとのお誘い。
流石に表面の布はくすんできているが、座るとフワッフワ!
見学会始まってから、やたらフランクに話しかけてくるなって思ってたおじさんが、オエノンホールディングスの社長だとようやく気付く(ここで参加者と記念撮影とか行われてたので)。そうとは知らずに、「そういえば、牛久大仏には行きました?」とかフランクに話してたよ、ごめんなさい。
神谷傳兵衛記念館
次に、中庭を通って神谷傳兵衛記念館へ。
こちらは、発酵室として使われていた建物。本館とは違って、一般公開されている。
ワイン樽。牛久シャトー(当時は牛久醸造所)が作られた年と同じ明治36年の刻印がされている。
2階に上がると、牛久醸造所の歴史やワイン製造に関連する器具の資料室。
輸入ワインに、日本人の味覚に合うように甘みを加えた「蜂印香竄葡萄酒」が人気商品に。それを元手にして、日本での本格的なワイン造りが牛久醸造所で始まったようだ。
「蜂印香竄葡萄酒(ハチブドー酒)」が大人気になっていた所に出てきたのが、サントリーの「赤玉ポートワイン」。
赤玉ポートワインといえばヌードポスターで有名だが、それはハチブドー酒のフォロワーとしての広告展開なんだろうな。モチーフが、ハチブドー酒のポスターと似通っていることからよくわかる。
牛久シャトーの創業者である神谷傳兵衛は、愛知県西尾市一色町の出身。
東京の浅草に酒屋(後に神谷バーとなる)を開き、蜂印香竄葡萄酒をヒットさせ、牛久醸造所と葡萄園を作ったという流れで成功を収めたようだ。
生まれ故郷の縁で、名鉄三河線の元となる三河鉄道の社長に就任し、経営再建を果たしている。
今も浅草に健在の神谷バー。神谷バーといえば電気ブランが有名だが、この電気ブランも神谷傳兵衛によって作り出されたカクテル。
オエノンホールディングスは神谷傳兵衛を創業者と位置づけているようではあるが、現在神谷バーを経営している神谷商事株式会社とは、何も資本関係がないようだ。なんでだろ?(一応、一緒に「浅草ハイボール 電氣ブランサワー」という商品を作っているようではある)
神谷バーには随分前に訪れている。バーという名前ではあるが、大衆居酒屋に近い形で敷居が低い。浅草観光の締めで行く店として最高なので、オススメです。
地下は、暗くひんやりとしており、ワイン樽の貯蔵庫となっているようだ。
建物の震災対策を行った際に見つかったという、未開封の蜂印香竄葡萄酒ボトル。
牛久シャトーレストランでランチコース
貯蔵庫として使われていた建物は、レストランとして利用されており、こちらも一般利用可能。
見学会が終了し、昼食をいただいた。
本来ならランチミーティングということで、会食しながら社長と語り合うと予定されていた。しかし、このご時世、別々の時間となったようだ。
コース料理なんて本当に久しぶりにいただいた。牛久シャトーのサイトに、ランチメニューが紹介されているが、2500円からとリーズナブルな価格で提供されている。
オエノンホールディングス 社長と語る会
見学をさせてもらい、食事までご馳走になり、十分に満足した。しかし、ここからが本編の社長と語る会。
まず西永社長から、原材料価格の高騰による厳しい状況が伝えられる。こればかりは、どこの製造業でも同じだと思うが、オエノンホールディングスはPB向けの商品も多く、加工用澱粉事業なども行っているので、一層厳しそうな印象。
話題になった、スナック菓子「うまい棒」の値上げも、オエノンホールディングスが納入している原材料の価格を値上げしたことが波及した結果だという。意外と身近な商品もオエノンホールディングスが関連してるんだな。
一方で、円安に対抗するため輸出向けの商品を増やしたり、酵素医薬品の事業や不動産等多角化を図っているようだ。
輸出向けにジャパニーズウイスキーを久留米で作っているって話は初めて知った。マッサンブーム後に沢山生まれたベンチャーウイスキーメーカー。今は樽に眠っているものが熟成され、あと数年で初出荷となるわけだが、どういう評価になっていくのか、今から楽しみだ。個人的には、特種東海製紙が南アルプスの秘境に作った井川蒸溜所に期待している。
社長のプレゼンテーションのあとに質疑応答。
株主の立場として、様々な質問が飛び交う。その中でも、「オエノンというブランドを推していかないのは何故か?」というのは、自分も聞きたかったこと。「鍛高譚」や「ビッグマン」などといったよく知られているブランドはあるのに、オエノンというメーカーは一般的にあまり知られていない。
「社員からもよく言われる」と前置きしつつ、これに対する社長の答えは、「商品の良さを知ってもらえればいい」「ブランドの勝負では他社には勝てないので勝負しない」というお客様目線で正直な理由。納得はいくが、少しでもオエノンを箱推しするファンづくり(キャラとかブランドコラボとか)があってもいいんじゃないかと思ったりした。
牛久シャトーショップでお土産を購入
レストランから中庭を挟んで反対側に牛久シャトーのショップがある。
食事をご馳走になったのに加えて、ショップで利用できるお土産引換券もいただいた。
オエノングループの製品や茨城県のお土産など、色々な商品があったが、電気ブランとウイスキー香薫を購入した。
ウイスキー香薫は、ハッキリいうと、とても評判の悪いウイスキーだ。イオンのOEMとして発売されていた時から、香薫だけは地雷だから止めておけって言われていた。
そんなウイスキーを何故買うのか?せっかくの機会なので、自分の舌で試してみたいと思ったから。最近は定番のウイスキーしか飲まなくなっているので、ちょっと冒険したいのである(多分火傷する)。
敷地内にひっそりと佇むオエノンミュージアム
牛久シャトーと同じ敷地内に、オエノングループの商品を紹介するオエノンミュージアムがあるので、こちらも立ち寄ってみた。
オエノンホールディングスの歴史はわかりやすく展示されているが、これといって面白みはないかな。完全に無人で人の気配もなかったので、どうやって遠隔監視してるんだろうかと、どうでもいいことが気になった。
牛久シャトーは今となっては醸造場でも蒸留所でもないが、日本ワインの歴史を知る上には欠かせない重要な施設。見学自由で開放的な雰囲気なのも良かった。
オエノンホールディングスさん、良い機会をありがとうございました。