乗鞍岳に向かうまで
3泊4日の日本アルプス遠征で北・中央・南アルプス4座を登る
前回の大雪山遠征が終わり、いよいよ日本百名山も残り8座となった。全て日本アルプスに集中している。その中でも今回は、南アルプス最深部の光岳・聖岳、最後に登りたい立山・剱岳を除いた4座 乗鞍岳・笠ヶ岳・御嶽山・塩見岳を車で移動しながら効率的に制覇する計画を立てた。
特に乗鞍岳と笠ヶ岳は個人的に悔しい思いがある。以前登山計画を立てていたのに、JR中央線が台風で寸断されて泣く泣く中止せざるを得なかった。その時の心残りを今回こそは晴らしたい。
最後の登山装備投資、モンベルのストライダーパンツ
4年前から愛用してきたトレッキングパンツがついに限界を迎えた。裾の破れを補修布で延命してきたが、さすがにもう持たない。同じモンベルのストライダーパンツを購入することにした。
このトレッキングパンツには本当に感謝している。ザック・レインウェア・登山靴の三種の神器に加えて、トレッキングパンツ・登山用靴下・ソフトシェルジャケット・ヘッドランプを含めた七種の神器と考えるべきだと思う。これらがあるとないとでは、山での快適度が段違いになる。
2021年8月6日 乗鞍ヒルクライム&登山
乗鞍岳は自然保護のため、乗鞍エコーラインと乗鞍スカイラインへの自家用車乗り入れが禁止されている。一般的には山麓からバスかタクシーで畳平まで移動するのが常識。
しかし、自転車なら山頂直下の畳平まで走破できる。有名な乗鞍ヒルクライムレースのコースでもある。そこで今回は一石二鳥の作戦を考えた。畳平まで自転車でヒルクライムを楽しんでから登山に切り替え、剣ヶ峰の頂上を目指すというプランだ。
GFS予報では台風発生の兆しがあったが、上陸の可能性は低そうだった。4日間の天気に期待を込めて、ついに自宅を出発した。
朝から電車を乗り継いで塩尻駅へ。ザックと自転車を詰めた輪行バッグの二刀流で移動。塩尻駅でレンタカーを借りて、一般車両で行ける最奥の三本滝駐車場へ向かった。
三本滝から畳平へ、乗鞍エコーラインを自転車で登る

11時40分、三本滝レストハウス。駐車場で輪行バッグからクロスバイクを組み立てる。登山靴にザックという組み合わせのヒルクライムなんて、周りの人には奇異に映ったかもしれない。

思ったほど斜度はきつくない。交通量もほとんどなく、道路幅を目一杯使ってマイペースに登れる。以前丹沢大山でヤビツ峠ヒルクライムを経験したが、あちらの方がよほどハードだった。

見晴らしが素晴らしい。高度がぐんぐん上がっていく感覚が爽快で、これぞヒルクライムの醍醐味。

12時30分、位ヶ原山荘に到着。

登っているサイクリストは全員ロードバイク。登山もするという変わり種は自分だけのようだ。多くの人がテールランプを点滅させていたが、これは安全面でのマナーなのだろう。

13時、肩ノ小屋口。剣ヶ峰へはここから登山に切り替えるのが効率的だが、せっかくなので畳平まで走破したい。

8月だというのに残雪が残っていて、夏スキーを楽しむ人々がいる。

乗鞍エコーラインの終点、長野・岐阜県境に到達。おそらくここが自転車で行ける道路の日本最高地点だろう。

鶴ヶ池を眺めながら、いよいよ畳平バスターミナルへ向かう。

13時20分、畳平バスターミナル到着。登山靴でザックを背負ってのヒルクライム、所要時間がどれくらいになるか心配だったが、1時間40分と意外にスムーズだった。とても快適な体験。
実際に登ってみた
日程: 2021年8月6日(金) 日帰り 天候: 晴れ
アクセス
【自転車ヒルクライム】 三本滝レストハウス駐車場から畳平バスターミナルまで。 11:40 三本滝→12:30 位ヶ原山荘→13:00 肩の小屋口→13:20 畳平バスターミナル
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
02:24 | 5.1km | 390m | 396m |
コースタイム
ルート: 畳平BT-肩ノ小屋-乗鞍岳-肩ノ小屋-畳平BT
- 13:35
- 13:49不消ヶ池
- 13:55摩利支天分岐
- 14:02
- 14:30
- 14:38蚕玉岳
- 14:42
- 14:49
- 15:08乗鞍岳頂上小屋
- 15:12蚕玉岳
- 15:31剣ヶ峰口
- 15:39摩利支天分岐
- 15:44
- 15:53
- 15:59
畳平からダウンヒルで乗鞍エコーラインを下る
畳平バスターミナルに下りた。畳平からは自転車でダウンヒルに切り替え。

スピードが猛烈に上がるので、ブレーキパッドが溶けるんじゃないかと心配になるほどブレーキを握りっぱなし。でも、この爽快感は何物にも代え難い。
三本滝駐車場に無事到着。次の目標、笠ヶ岳に向けて新穂高温泉へ移動した。
下山後の感想
日本百名山で後回しにしていた4座を時計回りで攻める遠征の初日。乗鞍岳での自転車ヒルクライム+登山という贅沢なコンビネーションを見事に成功させることができた。
登山靴でザックを背負いながらの自転車アプローチ、最初はどれくらい時間がかかるか心配だった。しかし1時間40分という予想以上に短い時間で畳平に到着できて、体力的にも全く問題なし。むしろ自転車で上がってきた達成感がプラスに作用した。
三本滝でも十分涼しかったが、畳平の爽やかさは格別。真夏とは思えない快適な環境で登山を楽しめた。自転車で酷使した脚に多少の違和感はあったものの、ゆっくりペースで問題なく登頂。
天候に恵まれたおかげで、登山中に振り返る槍・穂高のパノラマが本当に素晴らしかった。これだけでも今回の遠征をした価値がある。改めて登ってみたいと思わせてくれる魅力的な山だった。
明日は長い山行になる笠ヶ岳。今日のうちに新穂高温泉へ移動して準備を整えた。
かかった費用と装備
遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。
装備費用
- ストライダーパンツ: 9,638円
装備費合計: 9,638円
交通費用
- 青春18きっぷ×2: 4,820円(往復の電車移動)
- レンタカー4日間: 13,750円
- ガソリン代: 5,530円
- 有料道路代: 770円
交通費合計: 24,870円
食費・その他
- 朝昼晩4日分: 8,000円
- 行動食4日分: 1,200円
- 風呂代: 750円
食費・その他合計: 9,950円
総費用
合計: 44,458円
今になって思うこと
乗鞍エコーラインでのヒルクライムは、サイクリストにとって憧れのコースであり、一般車両が入れない道を絶景を眺めながら登るのは何物にも代え難い達成感がある。
登山と自転車の両方を趣味にしているなら、一度で二度おいしい体験ができるので強く推奨したい。ただし、登山靴での長時間ペダリングは慣れが必要。クリート付きのビンディングシューズは使えないので、足の疲労対策は事前に考えておいた方がよい。
標高2,700m超の畳平まで自転車で登れるのは、日本では乗鞍だけの特権。