日本百名山全山踏破 77座目 燧ヶ岳、78座目 至仏山 | 尾瀬テント泊縦走とコロナ禍の登山再開

燧ヶ岳山頂(柴安嵓) 日本百名山
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燧ヶ岳、至仏山に向かうまで

2019年12月 スポーツクラブでのボルダリング挑戦

2019年シーズンは北陸遠征で白山と荒島岳を登り、充実した山行で幕を閉じた。

冬期間は登山を控えるため時間に余裕ができ、以前から興味を持っていたボルダリングに挑戦すべく、3ヶ月間のスポーツクラブ会員となった。

スポーツクラブでのボルダリング練習
ボルダリング

登山経験があればボルダリングで有利だろうと思っていたが、実際は全く逆だった。ボルダリングでは下半身の筋力はほとんど必要なく、腕力と体幹、そしてバランス感覚とパズル的思考力が要求される。

当然、最初は全く歯が立たず、緩傾斜の初心者向けコースでも大苦戦を強いられた。

週3回のペースでジムに通ったが、たった1時間登っただけで腕が完全に動かなくなるほど消耗する。10級の初心者課題からコツコツとクリアを重ね、4級のバルジ課題(張り出した部分への飛び移り)に2週間ほど苦戦したが、何とか完登できた段階で3ヶ月のタイムリミットを迎えた。

3級の壁は、ボルダリングウォール以上に高く立ちはだかっていた。自分には向いていないことを痛感したが、ボルダリングの奥深さと面白さを知ることができたので、体験してみて正解だった。

2019年12月30日 現存12天守制覇の最終目標・備中松山城

備中松山城
備中松山城

岡山県の山間にそびえる備中松山城。備中高梁駅から徒歩でアプローチした。

この訪問により、現存12天守をすべて制覇することができた。難易度の面では、やはり備中松山城が最も困難だった。

2020年4月11日 緊急事態宣言下での杉並区一周ウォーキング

2020年シーズンに日本百名山の全座制覇を達成できるかもしれないと意気込んでいた矢先、新型コロナウイルスが世界的に流行した。

4月には緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請されたため、もはや登山どころではない状況となった。会社もリモートワークとなり、1ヶ月近く自宅に籠もっていたため、体力維持を目的として住んでいる東京都杉並区の区境を徒歩で一周してみることにした。

これが面白ければ他の区の区境も歩いてシリーズ化しようと考えていたが、全然面白くなかったのが現実だった。

2020年8月29日 南高尾での体力回復トレーニング

今年の登山は春からの体力づくりが全くできていないため、断念しようかと思っていた。しかし、これまで登山できなかった反動を抑えきれず、来週の尾瀬行きを計画してしまった。

いきなりハードな遠征登山に挑むのも不安だったので、近場の南高尾でトレーニング登山を実施した。

2020年9月5日 燧ヶ岳・至仏山の2座へテント泊縦走するため尾瀬へ

前日の9月4日、バスタ新宿から出発する尾瀬 大清水行きのバスへと乗車。

大清水へは朝4時前に到着したのだが、まだ日が出る前であたりは真っ暗。軽く食事をしてから、久しぶりの縦走登山へと向かった。

実際に登ってみた

日程: 2020年9月5日(土) ~ 2020年9月6日(日) [1泊2日] 天候: くもり時々雨(登山中はくもり)

アクセス

【往路】
高速バス 尾瀬号 バスタ新宿 22:00→3:50 大清水

【復路】
路線バス 鳩待峠 9:35→10:10 尾瀬戸倉
路線バス 尾瀬戸倉 10:25→11:51 沼田駅

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
12:5230.8km2,176m1,777m

コースタイム

1日目

ルート: 大清水-三平峠-(長英新道)-俎嵓-燧ヶ岳-(見晴新道)-見晴キャンプ場[泊] 

山行タイムライン
  • 04:13
    大清水
    大清水バス停・暗闇の中で登山準備
    大清水バス停

    大清水バス停に到着するのは4時前で、当然ながら真っ暗だった。

    大清水バス停
    大清水バス停
    大清水休憩所
    大清水休憩所
    尾瀬国立公園の入口案内看板
    尾瀬
    大清水登山口
    大清水登山口

    どちらの方向が登山口なのかも分からないまま、ヤマレコアプリを頼りに進む。日中はシャトルバスも通る林道なので、真っ暗でも問題なく歩けた。

  • 04:55
    一ノ瀬休憩所
    明け方の一ノ瀬休憩所
    一ノ瀬休憩所

    明るくなってきたのでヘッドライトを仕舞った。

    一ノ瀬休憩所からの登山道
    登山道

    林道も終わり、ここから本格的な登山道となる。わりと急な登りが続く。

  • 05:15
    冬路沢橋
    尾瀬までの登山道
  • 05:24
    岩清水
    三平峠手前の木道
    木道

    三平峠の手前から木道が始まる。この木道は朽ちている箇所が多く、白いバツ印が描かれているのはハズレ(危険箇所)だ。

  • 05:52
    三平峠
    三平峠
    三平峠
  • 06:04
    三平下
    尾瀬沼周辺に咲く紫色のトリカブト
    トリカブト

    尾瀬沼からは快適なハイキングコースとなった。花も多そうな道だが、咲いているのはトリカブトくらいだろうか。

    尾瀬沼越しに望む燧ヶ岳の威厳ある山容
    燧ヶ岳

    尾瀬沼越しの燧ヶ岳。山頂も見えるし、展望に期待が持てそうだ。

    尾瀬沼湖畔の木道
    尾瀬沼湖面に映る燧ヶ岳
  • 06:24
    長蔵小屋
    尾瀬沼畔の長蔵小屋
    長蔵小屋
    尾瀬沼ビジターセンター
    尾瀬沼ビジターセンター
    朝靄に包まれる尾瀬沼
    朝靄

    朝靄がかかって、これはこれで素晴らしい景色だった。

    尾瀬沼周辺に咲くミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ
  • 06:28
    燧分岐
  • 06:36
    長英新道分岐
    長英新道分岐
    長英新道分岐

    ここからぬかるみロードの始まりだった。

    長英新道の樹林帯から開けた展望
    長英新道

    長英新道はずっと樹林帯が続いていたが、ようやく抜けて展望が利くようになった。

    長英新道中間点から見下ろす尾瀬沼
    尾瀬沼
    長英新道の泥濘んだ登山道

    しかし、水との戦いは終わらない。ぬかるみは果てしなく続いた。

  • 08:18
    ミノブチ岳
    ミノブチ岳からの尾瀬沼
    ミノブチ岳からの尾瀬沼

    ミノブチ岳からの尾瀬沼。開けていてスペースもあるため、休憩には最適な場所。

    ミノブチ岳から燧ヶ岳山頂へ
    燧ヶ岳山頂部の花崗岩岩場
    岩場
  • 08:51
    俎嵓
    燧ヶ岳俎嵓(まないたぐら)
    俎嵓
    俎嵓山頂部
    俎嵓
    俎嵓から望む尾瀬ヶ原方面
    俎嵓からの眺め
    俎嵓山頂
    俎嵓
    燧ヶ岳三角点
    燧ヶ岳の三角点

    三角点は柴安嵓ではなく、こちらの俎嵓にある。

     燧ヶ岳最高峰・柴安嵓
    柴安嵓

    燧ヶ岳の最高峰である柴安嵓へ向かう。

    俎嵓からのパノラマ
    俎嵓からのパノラマ
  • 09:17
    燧ヶ岳
    燧ヶ岳最高峰・柴安嵓(2,356m)山頂
    燧ヶ岳山頂(柴安嵓)
    柴安嵓から至仏山方向を望む曇天の尾瀬ヶ原
    柴安嵓からの眺め
    柴安嵓からの眺め
    柴安嵓からの眺め
    燧ヶ岳山頂・柴安嵓
    燧ヶ岳山頂
     柴安嵓から見晴方面の木道
    柴安嵓からの眺め

    見晴の小屋から木道まで、よく見えた。

    燧ヶ岳から望む雲に覆われた至仏山と尾瀬ヶ原
    尾瀬ヶ原

    至仏山にかかる雲が晴れないかと待っていたが、全体的に雲が厚かった。

  • 10:24
    温泉小屋道・見晴新道 分岐
    燧ヶ岳見晴新道の急勾配下山路・泥濘
    見晴新道

    見晴新道を下る。長英新道に負けないくらいのぬかるみに加えて、笹や木の根が滑りやすさを助長し、下りにくい厄介な道だった。

  • 11:57
    見晴新道分岐
  • 12:06
    桧枝岐小屋
  • 12:12
    見晴
    見晴十字路の山小屋
    見晴

    見晴の小屋は3分の2ほどが新型コロナウイルスの影響で休業している様子だった。昼時なのに人もおらず、なんだか寂しげな雰囲気。

    見晴地区
    見晴
  • 12:15
    桧枝岐小屋
    見晴地区の燧小屋
    燧小屋

    マスクを着用して、燧小屋でテント場の受付を済ませた。

見晴周辺での夕方の散策

テントを設営した後、尾瀬ヶ原を歩いてみることにした。しかし、雲行きが怪しい。

夕方の尾瀬ヶ原木道
尾瀬ヶ原
尾瀬ヶ原に咲く白いウメバチソウ
ウメバチソウ
尾瀬ヶ原に降り始めた雨

完全に降ってきた……この後も降ったり止んだりの繰り返し。そして就寝。

尾瀬ヶ原のパノラマ
尾瀬ヶ原のパノラマ

2日目

ルート: 見晴キャンプ場-山ノ鼻-至仏山-小至仏山-鳩待峠

山行タイムライン
  • 04:08
    桧枝岐小屋
    早朝4時の尾瀬ヶ原木道
    尾瀬ヶ原

    鳩待峠に下山した後のバス時間を逆算して4時前には出発したかったが、久しぶりのテント撤収にまごついて遅くなった。真っ暗だが木道を歩くだけなので支障はない。

  • 04:28
    竜宮十字路
  • 04:38
    尾瀬ヶ原
    夜明け前の尾瀬ヶ原中央部
    尾瀬ヶ原
  • 04:49
    牛首分岐
  • 04:55
    上ノ大堀川橋
    明け方の至仏山
    至仏山

    だんだん明るくなっていくとともに、目の前の至仏山が大きくなっていく。

    尾瀬ヶ原から仰ぎ見る至仏山
    至仏山

    結局、木道では誰ともすれ違わなかった。こんな時間に歩く人なんていないのも当然だろう。

  • 05:18
    山ノ鼻
    山の鼻小屋
    山の鼻小屋
    至仏山登山道入口
    至仏山登山道
    至仏山登山道序盤の木道

    山腹から山頂部はガスに覆われていた。

    振り返る尾瀬ヶ原方面の美しい朝焼け
    朝焼け

    振り返ると美しい朝焼けが広がっていた。

    至仏山登山道中間部

    それなりに濡れる道だったが、それよりも草木からの朝露のほうが濡れる。

    至仏山登山道脇に咲くオトギリソウ
    オトギリソウ
    至仏山登山道からの眺め
    至仏山高山帯に咲くイワナシ?
    イワナシ?
    至仏山山頂直下の鎖場
    鎖場
    至仏山山頂付近に咲くミヤマコゴメグサ
    ミヤマコゴメグサ
    至仏山の山頂付近
    至仏山の山頂付近
  • 07:03
    高天ヶ原
  • 07:21
    至仏山
    至仏山山頂(2,228m)
    至仏山山頂

    ガスに包まれて展望は全くなかった。

    至仏山三角点
    至仏山三角点
    至仏山山頂部の蛇紋岩岩稜
    至仏山から小至仏山への稜線
    至仏山の稜線
    至仏山の稜線

    岩稜帯の稜線を歩いていく。滑りやすい箇所もあった。

  • 07:55
    小至仏山
    小至仏山
    小至仏山
  • 08:10
    オヤマ沢田代
  • 08:23
    原見岩
  • 08:56
    鳩待峠
    鳩待峠の登山口
    鳩待峠の登山口
    鳩待峠休憩所・バス乗り場と土産物店
    鳩待峠

鳩待峠から2つのバスを乗り継いで沼田駅へ

沼田駅
沼田駅

鳩待峠から尾瀬戸倉行きのバス、尾瀬戸倉から沼田駅行きのバスと2つのバスを乗り継いで沼田駅に到着した。そこから新前橋駅まで電車で移動し、予約していたレンタカー店で車を手に入れた。

コメダ珈琲 イオンモール高崎店
コメダ珈琲 イオンモール高崎店

まずは、イオンモール高崎のコメダで糖分を摂取して体力回復を図った。

駅メモのヤマノススメコラボイベントの対象スポットを巡る

伊香保温泉石段街
伊香保温泉石段街
伊香保温泉石段街
伊香保温泉石段街

伊香保温泉 石段の湯で入浴。いいお湯でした。

ロックハート城
ロックハート城
ロックハート城
ロックハート城

あー、ドレスに着替えてプリンセス体験したかったのに残念だなー。営業終了なら仕方ないか、残念だなー(棒

土合駅
土合駅
土合駅オシャレなカフェ
土合駅

あの大量の蛾が飛び回っていた土合駅に、オシャレなカフェができていた。

2020年9月7日 暴風雨の中での平標山挑戦

ヤマノススメの原作で登場した平標山、仙ノ倉山に挑んだが、ものすごい風雨に心が折れて途中で断念した。

前橋でレンタカーを返却し、新前橋駅から電車で自宅に帰った。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

【大清水~長蔵小屋】 一ノ瀬休憩所辺りまでは林道歩きで、暗くても問題なかった。そこからキツめの登りとなり、三平峠辺りはなだらかな木道(朽ちている所あり)となる。

【長英新道】 上から流れてくる水の通り道かつ階段に水が溜まりやすいため、全体的にぬかるんでいる。

【見晴新道】 長英新道よりもぬかるんでいる上、笹などの葉っぱ、木の根が多く滑りやすい。ルートも変更があったようで、ヤマレコアプリからルート逸脱警告があった。

【尾瀬ヶ原木道】 真っ暗でも歩ける。

【山ノ鼻~至仏山】 蛇紋岩が滑りやすいと聞いていたが、登りに関しては問題にならなかった。よく整備された登山道。

【至仏山~鳩待峠】 稜線では岩稜が続き、滑るので注意が必要。そこそこの斜度の木道もあり、濡れていたので慎重に進んだ。

登山当日の率直な感想

シルバーウィークに雲ノ平周回の予定を立てたが、今シーズン初のテント泊で行くのは何かと心配だったので、予行演習のために未登だった燧ヶ岳と至仏山をテント泊装備で登ることにした。

大型台風が来ているし、天候がさえないことは重々承知で、むしろトレーニングになるとポジティブにとらえていたが、山行中に雨に降られることもなく燧ヶ岳からの展望もあって意外だった。

今シーズンは先週に南高尾を歩いたくらいで体力も心配だったが、そんなに体力も落ちていないと思った。少しシャリバテ気味になったり、食事時間の短縮など、次回の山行に活かしたい点もあった。

鳩待峠から沼田駅に向かった後は、ヤマノススメの聖地巡りや伊香保温泉で休養し、次の日は平標山へ登った。

かかった費用と装備

遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。

交通費用

  • 高速バス: 新宿→大清水 4,200円
  • 路線バス: 鳩待峠→尾瀬戸倉→沼田駅 3,100円
  • レンタカー: 24時間 3,960円
  • ガソリン: 1,251円
  • 電車: 2,742円

交通費合計: 15,253円

宿泊費用

  • テント場: 800円

宿泊費合計: 800円

装備費用

  • トレッキングソックス: 1,980円

装備費合計: 1,980円

食費・その他

  • 風呂: 410円
  • 朝昼晩: 3日分 5,000円
  • 行動食: 3日 900円

食費合計: 6,310円

総費用

合計: 24,343円

今になって思うこと

コロナ禍の登山はどうしたらいいのか、誰もが体験したことのない登山への対応に右往左往していた時期だった。登山中にマスクをするべきか、すれ違い時の挨拶はしないほうがいいのかなど、気になる点もあった。

しかし、実際に山へ行くと、登山している人たちは他人の気持ちを配慮できる人が多いので、何も問題なく快適な登山ができたのは本当に良かった。

まだコロナ禍が収束していない状況だが、登山ができるということに改めて感謝したい。

燧ヶ岳と至仏山の組み合わせは、尾瀬の魅力を存分に味わえる素晴らしいコースだった。特に燧ヶ岳からの尾瀬ヶ原の眺めは圧巻で、テント泊での縦走だからこそ体験できる贅沢な時間だった。


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