仙丈ヶ岳・間ノ岳・北岳に向かうまで
高校時代の部活動として、ワンダーフォーゲル部(略称:ワンゲル部)に所属していた。
ワンダーフォーゲル部の活動内容
ワンダーフォーゲルとは、ドイツ語で「渡り鳥」という意味。そこから、「渡り鳥」のように野外を旅行し、自然を探究する活動のことがワンダーフォーゲルと呼ばれるようになったそうだ。
しかし、高校でのワンダーフォーゲル部は山登りが主体だった。「登山部」や「山岳部」という名前でもおかしくない活動内容で、思い出すのは辛かった思い出ばかり。大人になって、どんな困難な状況でも耐えられる精神力は、この時の鍛錬のおかげかと。
南アルプス縦走計画
夏休みを使って、隔年で北アルプスか南アルプスの縦走を行うのが恒例となっており。今年は、南アルプス。
北沢峠から山に入り、仙丈ヶ岳から間ノ岳、そして北岳を縦走して広河原に下りるという、U字型の縦走ルートを3泊4日で計画した。当時の自分にとっては人生最大の山岳チャレンジ。南アルプスの雄大な山々に対する憧れと不安が入り混じった気持ちで準備を進めた。
実際に登ってみた
日程: 1995年08月XX日(X) ~ 1995年08月XX日(X) [3泊4日] (日付は記録なし) 天候: 4日間とも晴れ(天気が悪かった記憶なし)
アクセス
記憶が曖昧だが、名古屋からJR、途中でバスに乗り換えたという微かな思い出。北沢峠までの途中に見た、甲斐駒ヶ岳の立派な山容はハッキリ覚えている。
帰りは、広河原から芦安鉱泉に行き、お風呂に入る。そこから先は、バスとJRだと思う。多分。
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
19:44 | 25.9km | 2,919m | 3,408m |
コースタイム
1日目:北沢峠から登山開始
13:00 北沢峠 – 13:42 二合目 – 14:58 藪沢・小仙丈ヶ岳分岐 – 16:11 小仙丈ヶ岳 – 16:54 仙丈小屋(1泊)
2日目:仙丈ヶ岳登頂
08:00 仙丈小屋 – 08:12 地蔵尾根分岐 – 08:33 仙丈ヶ岳 – 09:00 大仙丈ヶ岳 – 10:33 伊那荒倉山 – 11:48 横川岳 – 12:11 野呂川越 – 12:46 両俣小屋(1泊)
3日目:間ノ岳と北岳へ登頂
08:00 両俣小屋 – 09:02 野呂川越 – 12:09 三峰岳 – 13:01 間ノ岳 – 13:42 中白根山 – 14:07 北岳山荘(1泊)
4日目:広河原へ下山
08:00 北岳山荘 – 08:53 吊尾根分岐 – 09:15 北岳 – 09:30 両俣小屋分岐 – 09:41 北岳肩ノ小屋 – 10:04 小太郎尾根分岐 – 11:14 白根御池小屋 – 12:37 御池分岐 – 12:57 北岳登山口
下山後の感想
高校生にとって南アルプス縦走は大きな体験だった。何十年と経っているので細部は覚えていないが、仙丈ヶ岳カールの雄大さ、グロッキー状態での北岳登頂、広河原の岩場を延々と歩いた記憶は今でも脳裏に刻まれている。
かかった費用と装備
この山行では費用を記録していないので、記録なしとします。
今になって思うこと
南アルプスの3座を一度に制覇した高校時代の縦走は、後の日本百名山全山踏破の原点となった体験だった。
百名山全山踏破への道のり
日本百名山を全座登ろうと志したときに、今まで登ったことのある百名山をリストアップしてみた。その中で、御嶽山や伊吹山は子どもの頃に親に連れられて登ったことがあるはずだが、全く記憶に残ってない。なので、既に登ったことのある山からは外して、もう一度登ることにした。
一方、高校生以降に登った山は、確かに登ったという記憶があるので踏破済みとした。その結果、高校生以降で2016年以前の9座が、踏破済みとなる。
高校ワンゲル部時代の意義
高校生時代のワンゲル部に真面目に参加していれば、2年生で北アルプスに登っていたはずだが、そこには行かなかった。というのも、部活を新たに立ち上げて、そちらの活動に両足を突っ込んでいたからだ。
だが、このワンゲル部で経験したことは、登山を再開した中で大きな基礎となった。計画書の作り方、概念図、行程断面図、植生、天気図、磁北線といった座学はもちろん、太腿の筋肉や基礎体力もマッスルメモリーとして体に記憶されていたものだろう。
当時は辛いだけだったワンゲル部の活動も、今振り返ると貴重な基礎訓練だった。重い荷物を背負って長時間歩く体力、チームワーク、山での安全意識など、後の単独登山でも活かされる基本的なスキルを身につけることができた。
特に南アルプスという日本有数の山岳地帯で、3,000m級の山々を縦走した経験は大きい。高所での体調管理、長期縦走でのペース配分、山小屋利用のマナーなど、実践的な登山技術を学べた。
仙丈ヶ岳・間ノ岳・北岳の魅力
仙丈ヶ岳は南アルプスの女王の名にふさわしい優美な山容で、初心者にも親しみやすい。間ノ岳は日本第3位の高峰でありながら、意外に登りやすく展望も素晴らしい。北岳は日本第2位の迫力ある山で、登山技術の向上を実感できる挑戦的な山だった。
3座とも異なる魅力を持ち、南アルプスの多様性を体感できる理想的な組み合わせ。北沢峠から広河原への縦走ルートは、南アルプス入門にも最適なコース設定だと思う。
記録の重要性
この頃の山行記録がないのは本当に残念。写真も残っておらず、当時の詳細な思い出を呼び起こすのが困難。ヤマレコを使って必ず山行記録を残すようになったのは、この反省があったから。
記録があれば、当時の装備や食事、天候、コースタイムなど、貴重なデータとして活用できたはず。後の登山計画の参考になったし、百名山完登後の振り返りもより具体的にできただろう。
百名山への導入
結果的に、人生最初の百名山3座が南アルプスの代表的な山々だったのは幸運だった。南アルプスの雄大な自然に触れたことで、日本の山への興味が一気に深まった。
この経験がなければ、後の百名山全山踏破という目標も生まれなかっただろう。高校時代の辛い思い出も含めて、登山人生の重要な出発点だった。
仙丈ヶ岳の優美さ、間ノ岳の展望、北岳の威厳。3座それぞれの印象は今も鮮明に残っている。百名山完登を目指す人には、この南アルプス縦走ルートを強くおすすめしたい。