日本百名山全山踏破 36座目 丹沢 | 蛭ヶ岳から塔ノ岳への30km縦走路と新装備初実戦

蛭ヶ岳 山頂 日本百名山
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丹沢に向かうまで

百名山登山シーズンオフ中のトレーニング

2017年末の天城山で35座目を達成し、2018年はさらに積極的な百名山踏破を目指していた。ヤマノススメの聖地巡礼も並行して楽しみながら、榛名外輪山、高水三山、高尾山といった関東近郊の山々でトレーニングを重ねていく。

2018年1月6日 榛名外輪山

群馬県榛名外輪山相馬山1411m山頂でのヤマノススメ聖地巡礼登山成功記念風景
相馬山頂上

ヤマノススメの原作11巻に登場した群馬の榛名外輪山。榛名湖南側の湖畔から天目山や相馬山を縦走して、最後に伊香保温泉に下りるルート。

残雪が所々にあったが、全体的には緩やかなハイキングコースといった感じ。下りた先に伊香保温泉の露天風呂があり、名所の石段観光も味わえる、楽しい山行だった。

テント泊縦走を見据えてステラリッジテントを購入

去年は雲取山で山小屋に宿泊、木曽駒ヶ岳から空木岳への縦走途中に避難小屋で宿泊を経験したが、今年は北アルプスの縦走を目指しているため、テントを買う必要があった。

たまたま、メルカリで見つけたモンベルのステラリッジテント1をフライシート付きで23,000円という破格で入手できたのは幸運だった。実際に使ってみると、狭いと評判のステラリッジ1も、むしろコンパクトで防寒性があり、ソロ登山には十分すぎる性能。これに加えてグラウンドシートも2,376円で購入し、テント泊装備の基盤が整った。

2018年4月8日 高水三山

東京都奥多摩高水三山の高水山759m山頂
高水山

同じく、ヤマノススメの原作16巻に登場した奥多摩にある高水三山。

御嶽駅から高水三山<高水山~岩茸石山~惣岳山>を登って、軍畑駅に下りるのが定番の高水三山コース。
しかし、軍畑駅に下りずに、そのまま青梅丘陵ハイキングコースを通って青梅駅まで歩く、20km超のルートに挑んだ。

ソールが剥がれた登山靴を諦め、新しい登山靴を購入

登山靴の問題も深刻だった。去年の四国遠征で剣山登山直前にソールが剥がれ、その後接着剤で応急修理していたが、やはり耐久性に限界があった。安全を考慮してモンベル恵比寿店でツオロミーブーツ ワイドを16,200円で購入。足幅が広い自分にぴったりフィットし、新モデル投入前のアウトレット価格だったのも嬉しい誤算。

2018年4月21日 高尾山

  • 高尾山 病院コース
  • 高尾山奥高尾小仏城山670m山頂
  • 小仏峠のたぬき
  • 小下沢、小仏バス停への下山道へ
  • 八王子城の天守閣跡
  • 八王子城本丸跡
  • 高尾駅

高尾山でのトレーニング登山では、新しいツオロミーブーツの履き慣らしに集中。病院コースという知る人ぞ知るマイナールートで高尾山へ直登し、奥高尾を経由して八王子城跡まで20kmを歩いた。新品の登山靴特有の靴擦れはあったものの、フィット感は上々。本格的な長距離歩行での感触を確認できた。

コンロ、ガス缶、クッカーの調理道具を買い揃える

装備面では調理道具の準備も進めた。モンベルのアウトレットでアルパインクッカー14(1,512円)を発見したのは幸運で、定価の半額以下。中華製ガスバーナー(980円)は品質面で不安もあったが、Amazon での評価を信じて購入。プリムスのハイパワーガス250g(583円)も購入し実際に自宅でテストしてみると、折りたたみ機構もしっかりしており、圧電点火も問題なく動作した。

2018年5月12日 丹沢山の縦走路へ

丹沢を選んだ理由は、本格的な縦走練習ができる関東圏内で最適なフィールドだから。蛭ヶ岳(1,673m)を最高峰とする丹沢山地は、標高こそ北アルプスには及ばないが、30kmにおよぶ長距離縦走路で体力と技術を試すことができる。特に焼山登山口から蓑毛への縦走路は、蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳という主要三峰を一気に踏破できる魅力的なルート。

実際に登ってみた

日程: 2018年5月12日(土) [日帰り] 天候: 晴れ

アクセス

往路: 橋本駅北口バス乗り場 → 三ヶ木行きバス → 三ヶ木 → 月夜野行きバス → 焼山登山口バス停

復路: 蓑毛バス停 → 秦野駅 (ヤビツ峠バス停からは土曜は16:16が最終、休日は17:41にもう1本ある)

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
10:5629.4km2,525m2,502m

コースタイム

ルート: 焼山登山口-焼山-蛭ヶ岳-丹沢山-塔ノ岳-三ノ塔-二ノ塔-ヤビツ峠-蓑毛

山行タイムライン
  • 07:21
    焼山登山口バス停
    神奈川県丹沢焼山登山口バス停から始まる丹沢主脈縦走路
    焼山登山口バス停

    焼山登山口バス停からスタート。橋本駅からのバスは出発時から乗車口ステップまで溢れるくらいの満車状態。途中バス停での乗降も多かったが、三ヶ木での乗り継ぎは問題なく、焼山登山口へは数分遅れた程度で到着。

    諏訪神社
    諏訪神社

    焼山登山口バス停近くにある諏訪神社。奥にトイレあり。

    丹沢焼山登山口バス停から登山開始
  • 07:28
    焼山登山口
    焼山登山口のゲート
    焼山登山口のゲート
    尾根筋へ登る登山道
    尾根筋へ登る登山道

    焼山登山口のゲートを過ぎるとすぐに尾根筋への急登が始まる。

    ヤマビル注意の看板があり警戒していたが、この日は幸い遭遇することはなかった。

    丹沢主脈縦走路 登りが続く
    登りが続く

    バカ尾根ほどの単調さはないが、きつい傾斜のつづら折りの登りで既にバテ気味。
    ここを登りきって尾根道にたどり着くと、登りは若干緩やかになる。

    焼山山頂
    焼山山頂

    焼山山頂に到着。
    山頂には鉄塔のような見晴らし台があり、そこからの眺めは良さそうだったが、さらに階段を登る気力はなく、断腸の思いでスルーを決断。

  • 08:40
    鳥屋分岐
    新緑が美しい丹沢主脈縦走路

    焼山から蛭ヶ岳への稜線歩きは、ほぼ水平の広い尾根道で新緑が美しく気持ちの良い区間。

  • 09:01
    平丸分岐
  • 09:16
    大平分岐
  • 09:21
    黍殻避難小屋
  • 09:37
    八丁坂ノ頭
  • 09:51
    東海自然歩道最高地点
    東海自然歩道 最高標高地点
    東海自然歩道 最高標高地点

    姫次の少し手前にある、東海自然歩道 最高標高地点。

  • 09:55
    姫次
    姫次
    姫次

    姫次に到達すると、前方の視界が開けて雄大な富士山が正面に現れる。広場のベンチで小休憩し、富士山を眺めながら体力を回復。

    姫次からの富士山
    姫次からの富士山
    丹沢主脈縦走路の花
    丹沢主脈縦走路 土砂が抉れている
    土砂が抉れている

    途中、抉れた登山道もあるが、しっかりと整備がされており問題ない。

  • 10:18
    原小屋平
  • 10:26
    地蔵平道標
  • 10:33
    地蔵平
    地蔵平の花
  • 10:50
    ポッチノ頭
    ポッチノ頭の花
    蛭ヶ岳への階段
    蛭ヶ岳への階段

    蛭ヶ岳のピークに向かう。キツイ階段で少し体が重い。

  • 11:03
    小御岳
    小御岳からの富士山展望
    富士山

    しばしば富士山を横目に見て、体力と精神力を回復させる。

  • 11:21
    蛭ヶ岳
    蛭ヶ岳 山頂と富士山展望
    蛭ヶ岳 山頂

    蛭ヶ岳山頂(1,673m)に到着。富士山はもちろん、山塊の重なり具合が美しい。

    蛭ヶ岳 山頂のパノラマ
    蛭ヶ岳 山頂のパノラマ
    蛭ヶ岳から眺める富士山と山々
    蛭ヶ岳から眺める富士山と山々
    丹沢山と塔ノ岳
    丹沢山と塔ノ岳

    蛭ヶ岳山頂のパノラマ展望では、これから進む丹沢主稜が一望できる。左側のピークが丹沢山で、右側のピークが塔ノ岳。この稜線歩きが今回の縦走のメインルートとなる。

  • 11:52
    蛭ヶ岳山荘
    蛭ヶ岳山荘
    蛭ヶ岳山荘
    丹沢蛭ヶ岳から丹沢山への稜線縦走路
    丹沢蛭ヶ岳から丹沢山への稜線縦走路
    丹沢蛭ヶ岳から丹沢山への稜線縦走路
    蛭ヶ岳と富士山
    蛭ヶ岳と富士山

    振り返ると蛭ヶ岳と富士山の美しい組み合わせが見事。

    蛭ヶ岳と丹沢山の間の稜線
    蛭ヶ岳と丹沢山の間の稜線

    蛭ヶ岳から丹沢山までは見晴らしが良く、気持ちの良い稜線歩きとなった。

  • 12:04
    中ノ沢乗越
  • 12:09
    鬼ヶ岩
  • 12:13
    鬼ヶ岩ノ頭
  • 12:22
    棚沢ノ頭
  • 12:30
    不動ノ峰
  • 12:34
    不動ノ峰休憩所
    不動ノ峰休憩所付近
  • 12:43
    早戸川乗越
    シロヤシオ
    シロヤシオ
  • 12:59
    丹沢山
    丹沢山
    丹沢山

    丹沢山(1,567m)へ到着。丹沢山は山塊の名前にもなっている山だけに、やはり特別な存在感がある。

    丹沢山
    丹沢山

    日本百名山の看板が設置されており、前年のバカ尾根登山時にはなかった記憶があるので、最近設置されたものかもしれない。

  • 13:06
    みやま山荘
  • 13:06
    丹沢山
  • 13:21
    竜ヶ馬場
  • 13:32
    日高
    丹沢山から塔ノ岳への区間

    丹沢山から塔ノ岳への区間では、シロヤシオの美しい花も楽しめた。途中で塔ノ岳の山小屋が見えた。

    シロヤシオの美しい花
  • 13:52
    尊仏山荘
  • 13:52
    塔ノ岳
    塔ノ岳山頂
    塔ノ岳山頂

    塔ノ岳(1,491m)に到着。塔ノ岳の山頂は十分に広いが、足の踏み場もないくらい人が多かった。大倉尾根方向の市街地と相模湾の眺望も素晴らしく、丹沢で最もポピュラーな山としての人気の高さを実感。

    大倉尾根方向の市街地と相模湾
    大倉尾根方向の市街地と相模湾

    大倉尾根方向の市街地と相模湾。

    ヤビツ峠方面に下りる予定だったが、大倉尾根の途中に分岐があると思い込み、大倉尾根を下りてしまうという痛恨のミス。

    ヤビツ峠への分岐
    ヤビツ峠への分岐

    実際の分岐は塔ノ岳山頂から出ており、気付いて登り直してヤビツ峠への分岐を確認。
    ちょっとわかりにくいですよね(言い訳)。

  • 14:24
    木ノ又大日
  • 14:32
    新大日茶屋
    新大日
    新大日

    表尾根を下っていき「新大日」という山。
    新大日○○という名前じゃないことに、山の名前として違和感がある。

    新大日付近の展望
  • 14:40
    書策新道分岐
  • 14:45
    政次郎ノ頭
    行者ヶ岳付近のクサリ場
    行者ヶ岳付近のクサリ場

    行者ヶ岳付近では小さな岩のピークでクサリ場もあり、今シーズン初の手を使う岩登りを楽しめた。

  • 14:57
    行者ヶ岳
  • 15:10
    烏尾山
    烏尾山山頂
    烏尾山山頂

    全方向の見晴らしがよい、烏尾山の山頂。

    全方向の見晴らしが良い山頂で、急いだら間に合うかもしれないヤビツ峠からの最終バスへの未練を捨て、仰向けに寝転がってポカポカした陽気を満喫。

  • 15:37
    烏尾山荘
  • 15:54
    三ノ塔地蔵菩薩
  • 16:01
    三ノ塔
  • 16:11
    二ノ塔
    三ノ塔への登山口
    三ノ塔への登山口

    長いなぁと思いつつ惰性で下っていたので、三ノ塔や二ノ塔の写真はない。
    ヤビツ峠までの車道はゆるく登る形となるが、前方からダウンヒルの自転車やオートバイが結構なスピードで迫ってくるので、車両には気をつけて。

  • 17:11
    ヤビツ峠
    ヤビツ峠のバス停
    ヤビツ峠のバス停

    ヤビツ峠のバス停。
    売店もちょうど閉めたところのようで、自動販売機すらありつけなかった(あそこもシャッター降りるんですね……)。

    ヤビツ峠から蓑毛へ

    ヤビツ峠から蓑毛への下山路は道標が少なく、下っているから間違いではないと思いながらも少し心配になりながら進んだ。

  • 17:53
    春岳沢 水場
    春嶽湧水
    春嶽湧水

    春嶽湧水。硬度が低いだけあって、無味。

  • 18:11
    蓑毛
    蓑毛のバス停
    蓑毛のバス停

    蓑毛のバス停に到着すると、18:10に出ていったバスの後ろ姿が見えた。
    30分後のバスで秦野駅に着くと、すっかり日が落ちていた。

下山後の感想

丹沢主脈縦走は、関東近郊でこれほど本格的な縦走登山ができることに改めて驚かされた山行だった。30kmという距離は決して短くないが、よく整備された登山道とアクセスの良さで、日帰り縦走が現実的に楽しめる。

特に印象的だったのは、各山頂からの富士山の眺望。角度や距離が微妙に異なることで、それぞれ違った表情の富士山を楽しめるのは丹沢ならではの魅力。蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳という主要三峰を一日で踏破できたのは、大きな達成感につながった。

新しい登山装備のテストとしても有意義な山行だった。ツオロミーブーツワイドは長距離歩行でも問題なく、足幅の広い自分の足にしっかりフィット。10時間を超える山行でも靴擦れは最小限で、今後の縦走登山でも信頼できる相棒になりそう。

今回も靴ずれしてしまったので、完治させてから次の山行に望みたい。

かかった費用と装備

交通費

  • 高井戸駅→橋本駅 : 400円
  • 秦野駅→高井戸駅: 760円
  • 路線バス 橋本→三ヶ木→焼山登山口: 759円
  • 路線バス 蓑毛→秦野: 168円

交通費合計: 2,087円

食費

  • 行動食: 300円
  • 昼食: 500円

食費合計: 800円

装備費

  • ツオロミーブーツ ワイド: 16,200円
  • ステラリッジテント1 + フライ(メルカリ): 23,000円
  • グラウンドシート: 2,376円
  • アルパインクッカー14: 1,512円
  • 中華製小型ガスバーナー: 980円
  • プリムスハイパワーガス 250g: 583円

装備費合計: 44,651円

総費用

合計: 47,538円

装備投資は大きかったが、すべて今後の北アルプス縦走で必須となるアイテム。特にテント装備一式が25,000円程度で揃ったのは大きな成果。ツオロミーブーツも長距離歩行での信頼性を確認でき、必要な投資だった。

今になって思うこと

この丹沢山行で、30kmという長距離縦走を日帰りで完走できたことが、その後の北アルプス縦走への自信につながったのは間違いない。

装備面での成長も大きい。この時期に揃えたステラリッジテント、ツオロミーブーツ、調理装備は、その後の百名山踏破において中核的な役割を果たしてくれた。特にステラリッジテント1は、北アルプスでの数々のテント泊で活躍し、最終的に百名山完登まで使い続けた相棒となった。

2017年のシーズンを経験したことで、1年を通じての登山計画の立て方がわかるようになってきた。
基本的に冬は登らないため、春から初夏にかけては、登山の感覚を取り戻すことと、体力をつけることが目的になる。そこで、高尾山や奥多摩などの低山を何座か登り、本格的な登山の直前に、時間も距離も長いロングコースを登るという計画を立てるのだ。

遠征で挑戦する未知なる百名山。そのルートに劣らないロングコースを登り切ることによって、体力がつくし、自信にも繋がる。東京近郊には丹沢、奥多摩、秩父などロングコースを設定できるようなルートが豊富にあって、エスケープルートも万全なので非常にありがたい。


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