日本百名山全山踏破 74座目 大峰山 | 奈良県最高峰と霊場への挑戦

八経ヶ岳の頂上 日本百名山
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大峰山に向かうまで

2019年10月19日 大雨の洗礼を受けた八経ヶ岳への挑戦

前日の大台ヶ原を下山後、大峰山の登山口がある行者還トンネル西口の途中、国道169号線沿いで車中泊をした。台風19号の影響で奈良県内も激しい雨に見舞われ、翌日の登山が実行できるか不安な夜だった。

国道309号全面通行止めの看板
全面通行止め

朝になって国道309号を進むと、予想通り「全線通行止」の看板が立っていた。前夜の激しい雨で土砂崩れや路面状況の悪化が心配されたが、慎重に様子を見ながら先に進むことにした。

しかし、実際にはゲートは開放されており、対向車も普通に走行している。どうやら朝の時点では通行止めは解除されていたようで、無事に行者還トンネル西口にたどり着くことができた。

実際に登ってみた

日程: 2019年10月19日(土) [日帰り] 天候: くもりのち大雨

アクセス

行者還トンネル西口の有料駐車場から徒歩約5分、西側に300mほど下った場所にある無料駐車場を利用した。トンネル付近は多少混雑するが、この無料スペースなら問題なく駐車できる。

地図・標高グラフ

⏱タイム🏃距離↗登り↘下り
03:539.3km1,103m1,097m

コースタイム

ルート: 行者還トンネル西口-奥駈道出合-弥山小屋-弥山-弥山小屋-大峰山-弥山小屋-奥駈道出合-行者還トンネル西口

山行タイムライン
  • 07:35
    行者還トンネル西口
    行者還トンネル西口の登山者向け駐車場
    行者還トンネル西口の駐車場

    行者還トンネル西口の駐車場。ここは有料だが、5分ほど下に歩けば無料で駐車できるスペースがある。周辺は既に標高1,050m程度あり、麓とは気温差を感じる。

     大峰山八経ヶ岳方面への登山口
    登山口

    行者還トンネル西口の登山口。大峰山は山上ヶ岳(女人禁制)と八経ヶ岳に分かれるが、一般に「大峰山」として親しまれているのは八経ヶ岳の方だ。

    大峰山登山道入口付近の沢にかかる木橋

    小雨予報に反して、出発時には雨はすっかり止んでいた。だが、この時の安堵が後に完全に裏切られる。

     大峰山登山道の急登区間

    奥駈道に出るまではひたすら急登が続く。ただし、大峰山は修験道として古くから整備されているため、石段やロープが適切に配置されており、登りにくさはそれほど感じない。

  • 08:12
    奥駈道出合
    大峰山奥駈道出合の分岐点
    奥駈道出合

    奥駈道出合で主尾根に到達。ここから先は修験者が歩いた歴史ある道を辿ることになる。

    大峰山奥駈道の10月紅葉
    紅葉

    空は相変わらず雲に覆われているものの、木々の紅葉が美しく映える。10月中旬という時期は、大峰山の紅葉としては絶好のタイミングだ。

  • 08:28
    弁天ノ森
    大峰山弁天ノ森
    弁天ノ森
  • 08:46
    聖宝ノ宿跡
    大峰山聖宝ノ宿跡の理源大師像
    聖宝ノ宿跡

    聖宝ノ宿跡に到着。理源大師(聖宝)の像が静かに佇んでいる。平安時代初期の高僧で、大峰山の修験道中興の祖として知られる人物。

    大峰山奥駈道の弥山へ向かう登り

    弥山までの2段階目の登りに差し掛かる。このあたりで霧雨が降り始めた。天気予報通りではあるが、やはり雨が降ると気分は少し沈む。

  • 09:23
    弥山小屋
    弥山小屋
    弥山小屋

    弥山小屋に到着。皇太子殿下(現在の天皇陛下)もかつて宿泊された由緒ある山小屋。

    皇太子殿下の大峰山登山については、以下の山行記録が大変興味深く参考になる。

    大峰山弥山小屋周辺
  • 09:25
    弥山
    大峰山弥山山頂
    弥山

    弥山山頂(1,895m)に到達。

    大峰山弥山頂上付近の苔むした登山道

    弥山の頂上付近は、モコモコとした苔類が登山道の両脇を美しく縁取っている。

    大峰山弥山から八経ヶ岳への稜線

    弥山から八経ヶ岳への稜線歩き。霧が立ち込めており、神秘的というよりも若干不安な雰囲気だ。

    大峰山八経ヶ岳手前
    大峰山八経ヶ岳への最終登り
  • 09:46
    大峰山
    大峰山八経ヶ岳山頂1915m
    八経ヶ岳の頂上

    八経ヶ岳の山頂(1,915m)に到着。奈良県の最高峰であり、日本百名山74座目の達成。当然ながら霧で何も見えない。天気が良ければ大台ヶ原や熊野灘まで見渡せるというのだが、今日は諦めるしかない。

    八経ヶ岳の頂上
    八経ヶ岳の頂上
    大峰山八経ヶ岳山頂
    大峰山八経ヶ岳山頂
  • 10:03
    国見八方覗
  • 10:27
    聖宝ノ宿跡
  • 10:45
    弁天ノ森

  • 10:59
    奥駈道出合
    大峰山下山時の奥駈道、大雨で水浸しになった登山道

    ピストンで往路を引き返したが、下山途中に激しい大雨が降り始めた。登山道は水がジャブジャブ流れる状況になり、雷鳴も聞こえてきたため足早に下山を続けた。

  • 11:27
    行者還トンネル西口
    行者還トンネル西口への下山
    行者還トンネル

予定通り大台ヶ原と大峰山の2座を登り終えて、あとは愛知の実家に帰るだけ。前日は名阪国道を使って奈良の北側から来たが、帰りは南側へ和歌山県を経由して帰ることにした。

下山後の立ち寄りスポット

熊野三山の熊野本宮大社へ

熊野本宮大社
熊野本宮大社

これまで熊野三山の中で熊野速玉大社、熊野那智大社を訪れたことがあったが、残りの熊野本宮大社は中々行く機会に恵まれずにいた。今回、せっかく和歌山県側を通るのでタイミングとしては絶好だろう。

山道の運転に予想以上に時間がかかり、約2時間半で到着。やはり本宮大社は熊野三山の中でも大ボスといった趣きで、町の雰囲気からして荘厳な空気が漂っていた。

  • 熊野本宮大社
  • 熊野本宮大社
  • 八咫烏の郵便ポスト
  • 熊野本宮大社
  • 熊野本宮大社
  • 巫女募集

熊野本宮大社の境内には八咫烏の郵便ポストがある。真っ黒で、いかにも八咫烏らしいデザインだ。

伊勢市円座町にあるミニ姫路城へ

伊勢市円座町の個人宅に建つミニチュア姫路城
ミニチュア姫路城

以前からマークしていた伊勢市のミニチュア姫路城(個人が庭に制作した精巧な姫路城の再現。一般に公開している)にも立ち寄った。日が暮れそうな時間だったので良い写真は撮れていないが、ミニチュアとは思えないほどの完成度の高さに驚かされた。

下山後の感想

コース状況・危険箇所等

落葉で登山道が覆われ、ぬかるみかどうかわかりにくい箇所が多かった。ただし、スリップするような危険な場所はなかった。また、少し広くなっているところでは踏み跡が見えづらく、一瞬方向を迷う場面もあった。

感想・記録

大雨の洗礼を受けた大台ヶ原から一夜明け、雨は止んでいたのでびしょ濡れになることのない登山ができると安心しきっていた。しかし、下山途中に激しい大雨に見舞われ、結局びしょ濡れで敗北して奈良を後にすることになった。

大台ヶ原のハイキングコースと違って、登山口からの高低差が大きいので紅葉の移り変わりを楽しめた。奥駈道に入ると脇の苔が趣深く、日本庭園を散歩しているような気分も味わえた(それなりにアップダウンはあるけれど)。修験の道を歩くという特別な体験は、他の山では得られない貴重なものだった。

かかった費用と装備

費用は、今回の遠征の中で最初の日本百名山 大台ヶ原の記事でまとめています。

今になって思うこと

同じ大峰山系で最近話題になっていたのが、以下の遭難体験記事だ。

今回登った行者還トンネル西口からのピストンでは、道迷いになりそうな箇所はなかったように思う。しかし、他の山で迷ったことは何度も経験しているので、このような遭難は我が身にいつ起こってもおかしくない。自分への戒めとなる貴重な体験談だ。

そして、自らが批判されることを顧みずに登山の怖さを伝えてくれるこのようなレポートには本当に感謝している。

登山を本格的に始める人に何よりも先に読んでほしいのは、”羽根田本”と呼ばれる羽根田治さんが山岳事故を取材したノンフィクションレポートだ。

最新作の本書では奥秩父のブドウ沢4重遭難、ニコ生富士山、梨平のクマや雷鳥沢テント盗難事件など比較的最近話題となった事件事故が取り上げられているので、ぜひとも読んでいただきたい。


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