標高わずか329mながら、圧倒的な存在感を誇る千葉県の鋸山。江戸時代から続いた石切り場の跡地が創り出す、まるで古代遺跡のような独特の景観と、東京湾を一望する「地獄のぞき」の絶景が楽しめる、低山ながら冒険心くすぐる山です。
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
山名 | 鋸山(のこぎりやま) |
標高 | 329m |
所在地 | 千葉県富津市・鋸南町 |
難易度 | ★★☆☆☆(初級者向け) |
推奨シーズン | 通年(夏は暑さ注意) |
コースタイム | 登り1時間30分 / 下り1時間 |
登山スタイル | 日帰り・観光登山 |
ヤマノススメでの描写
原作での登場シーン
【八十八合目】鋸山
- メンバー: ひなた、ここな
- アクセス: JR内房線 浜金谷駅
- コース: 浜金谷駅→車力道→石切場跡→鋸山展望台→鋸山(329m)
あらすじ
【八十八合目 海が見える山へ】千葉県で海の見える山を計画するひなた。浜金谷駅から石畳の車力道を登り、途中で石切場跡に立ち寄る。展望台から東京湾の絶景を楽しんだ。
ルート地図
ヤマノススメ単行本13巻に収録されています
また、山と高原地図特別版として「ヤマノススメ」とコラボレーションした地図が発売されています。
アニメでの登場シーン
【第4期/#09】(ED)鋸山
- メンバー:ひなた、ここな
- 備考:9話のエンディング
聖地巡礼のポイント
- 車力道: 石を運んだ歴史ある石畳の道
- 石切場跡: 垂直に切り立った岩壁の圧倒的スケール
- 地獄のぞき: 突き出た岩の先端から見下ろす絶景
登山・アクセス情報
アクセス方法
鋸山は東京から約2時間でアクセスできる、房総半島の人気観光地です。
電車でのアクセス JR内房線浜金谷駅から徒歩10分で車力道入口へ。東京駅から普通列車で約2時間。週末は混雑するため、早朝出発がおすすめです。
フェリーでのアクセス 神奈川県久里浜港から東京湾フェリーで金谷港へ約40分。港から登山口まで徒歩15分。海を渡る爽快な船旅も楽しめます。
ロープウェイ利用 鋸山ロープウェイで山頂駅まで約4分(往復1,200円)。体力に自信がない方や時間短縮したい方におすすめ。山頂駅から地獄のぞきまでは徒歩約20分。
おすすめコース
鋸山は複数のルートがあり、体力や時間に応じて選択できます。
車力道コース(標準) 浜金谷駅(9:00)→車力道入口(9:10)→石切場跡分岐(9:40)→石切場跡見学(10:00)→鋸山展望台(10:30)→地獄のぞき(11:00)→百尺観音(11:30)→日本寺大仏(12:00)昼食→保田駅(13:30)
関東ふれあいの道コース 浜金谷駅→観月台→石切場跡→地獄のぞき→日本寺→浜金谷駅 周回コースで、変化に富んだ景色が楽しめる。
ロープウェイ利用コース 鋸山ロープウェイ山麓駅→山頂駅→日本寺境内→地獄のぞき→百尺観音→大仏→ロープウェイで下山 最も楽に主要スポットを巡れる観光コース。
装備と準備
低山ですが、石切場跡は足場が悪い箇所もあるため注意が必要です。
必須装備
- 歩きやすい靴(スニーカー可、登山靴推奨)
- 飲み物(山頂に自販機あり)
- 日本寺拝観料(700円)※地獄のぞきは境内
- カメラ(絶景スポット多数)
- 帽子・日焼け止め(日陰が少ない)
あると便利なもの
- 双眼鏡(東京湾の船舶観察)
- レジャーシート(展望台での休憩)
- 懐中電灯(石切場跡の暗い箇所)
石切場跡の魅力
房州石の歴史
鋸山は、江戸時代から昭和60年まで、良質な凝灰岩「房州石」の産地として栄えました。江戸時代には横浜の港湾整備に、明治時代には靖国神社の石垣などに使われ、大正から昭和にかけては建築資材として全国へ出荷されました。1985年に採石が終了し、その後、観光地として整備されました。見どころは、まるで芸術作品のような岩壁の採石跡です。また、石切場跡の広場は、アニメの世界に入り込んだかのような不思議な空間が広がります。時間帯によって光と影が織りなす表情豊かな岩肌を楽しめます。
地獄のぞきの絶景
鋸山最大のハイライトは、断崖絶壁から突き出た岩の展望台「地獄のぞき」です。高さ約100mから、東京湾と房総の山々を一望でき、晴れた日には遠くに富士山も見えます。そのスリルと絶景を求めて、常に順番待ちの行列ができるほどの人気スポットです。写真撮影におすすめなのは、地獄のぞきの全景を横から撮るアングルや、先端から眼下を見下ろす大胆な構図です。また、近くにある百尺観音と組み合わせて撮ったり、夕日に染まる東京湾を背景に撮影するのも素晴らしいでしょう。
実際の巡礼記録
日程: 2013年8月31日[日帰り]
コース: 浜金谷駅→車力道入口→展望台→鋸山→石切場跡→百尺観音→地獄のぞき→百躰観音→日本寺 大仏→仁王門→保田駅
巡礼レポート
浜金谷駅から車力道で鋸山へ
鋸山といえば「地獄のぞき」ですが、原作では訪れた様子が描かれていないですね。

今回は、浜金谷駅から車力道を登って鋸山を目指します。駅を出て少し歩くと、観光案内所があったので、そこでハイキングマップをもらいました。



鬱蒼とした木々の中に人工的に削られた石の採掘跡があり、まるで「ラピュタ」の世界のような雰囲気に心をくすぐられます。

絶景の展望台と石切場跡

しばらく歩くと、急な階段が現れました。これを一気に登ると鋸山山頂にたどり着くのですが、途中にあった展望台の方が眺望に優れていたので、山頂には寄らずに引き返しました。展望台からは、東京湾はもちろん、対岸の三浦半島まで一望できました。








地獄のぞきに向かう途中には、石切場跡があります。奥まで進むと、垂直に削られた絶壁に囲まれた広場が現れ、房州石の採掘で使われた遺構がそのまま残されていました。ちょっとした廃墟探索気分も味わえます。



地獄のぞきと百尺観音

日本寺の入口手前で上を見上げると、地獄のぞきが見えました。そして、そのすぐそばには大きな百尺観音の彫刻が迎えてくれます。



地獄のぞきの手前には、真横から撮影できるフォトスポットがあります。先端までのアプローチは、岩盤を登って少し下るような道です。頑丈な柵もあり、下が見えづらいので、思ったよりもスリルは薄く感じました。







日本寺から保田駅へ
鋸山ロープウェーを使えば簡単に地獄のぞきまで来られるため、登山道とは違い多くの人で賑わっていました。道は安全に整備されていますが、アップダウンもあるので、スニーカーなど動きやすい靴で来ることをおすすめします。








下山は、日本寺を通過して保田駅を目指します。日本寺の境内は、百躰観音がずらりと並んでいたり、通天閣をくぐったりと、見どころが多くて飽きません。



道中、尻尾が青く光ったニホントカゲを見つけました。スタイリッシュで綺麗でしたね。


大きな大仏さんを眺めながら休憩し、日本寺を抜けた後は、畑沿いののどかな道を通って保田駅まで歩きました。





周辺情報・関連記事
房総半島の低山
伊予ヶ岳~富山 房総のマッターホルンと呼ばれる岩峰。富山三山の縦走も可能。
鹿野山 マザー牧場で有名。家族連れにも人気の観光登山。歴史的な一等三角点あり。
海の見える山
三浦半島・鷹取山 磨崖仏と岩登りで有名。東京湾を望む。
鎌倉アルプス 相模湾を望む、歴史ある低山縦走路。
観光と組み合わせ
金谷港周辺
金谷港の周辺には、観光を楽しめるスポットが集まっています。ザ・フィッシュでは、新鮮な海鮮料理を味わえるレストランや、地元のお土産を扱うショップが併設されています。金谷美術館では、地元アーティストの作品が展示されており、芸術に触れることができます。また、東京湾を一望できる「恋人の聖地」もあり、絶景を背景に写真撮影を楽しむカップルや家族連れで賑わっています。
保田漁港周辺
鋸山の反対側、保田漁港の周辺にも魅力的な施設があります。ばんやは、新鮮な魚介類をリーズナブルな価格で楽しめる人気の海鮮レストランです。
さらにユニークなのが、廃校になった小学校を再利用した道の駅「鋸南町観光拠点施設 保田小学校」です。ここでは、地元のお土産や新鮮な野菜が購入できるほか、教室を改装した宿泊施設や温浴施設もあり、多くの観光客が訪れます。
よくある質問
Q: ロープウェイと徒歩、どちらがおすすめ?
A: 初めての方は上りロープウェイ、下り徒歩がおすすめです。地獄のぞきや大仏を効率よく見学でき、下山時に車力道や石切場跡をゆっくり楽しめます。体力に自信がある方は、ぜひ車力道を歩いて登ってみてください。
Q: 日本寺の拝観料は必須ですか?
A: 地獄のぞき、百尺観音、大仏は全て日本寺境内にあるため、拝観料(大人700円)が必要です。石切場跡の一部は無料エリアから見学できますが、主要スポットを巡るなら拝観料を払う価値は十分あります。
Q: 所要時間はどのくらい?
A: 徒歩で登って主要スポットを巡り、徒歩で下山する場合は4~5時間程度。ロープウェイ利用なら2~3時間で回れます。写真撮影や休憩時間を考慮して、余裕を持った計画を立てましょう。
Q: 混雑を避けるには?
A: 週末の10時~14時は地獄のぞきで30分以上待つことも。早朝(8時台)か夕方(15時以降)が比較的空いています。平日はかなり空いているので、ゆっくり楽しめます。