岩木山に向かうまで
八甲田山を下山後、西にある岩木山へ向けて車を走らせた。明日は確実に天気が悪化する予報だったため、今日中に岩木山も制覇してしまいたい。八甲田山に続くダブルヘッダーの登山だ。

弘前市北部を通る道路から、広く裾野を引いて美しい姿の岩木山を真正面に捉えた。青森県のシンボルとも呼べる堂々たる山容が印象的だった。しかし、山頂付近には雲がかかっているようだ。雨が降ってくる前に登りたい。
岩木山神社での参拝
事前計画では、明日の朝から岩木山神社(いわきやまじんじゃ)の登山口から百沢コースで岩木山に登る予定だった。標準コースタイムで7時間ほどかかるため、現在の時刻(14時)から登るのはどう考えても無理だ。ここからの登山は諦めることにした。

そのかわりに、ふらいんぐうぃっちの聖地巡礼も兼ねて岩木山神社で参拝し、登山の安全を祈った。



岩木山の八合目まで車で上がれる津軽岩木スカイラインを利用すれば、往復2時間で岩木山に登ることができる。こちらのルートに変更することにした。
しかし、この後とても厳しい条件での登山になることを、この時点では全く想像していなかった。
実際に登ってみた
日程: 2018年9月29日(土) [日帰り] 天候: 曇り
アクセス
津軽岩木スカイラインで8合目ターミナルまで普通車1,800円のところ、モンベルカードの割引で1,600円。カーブが連続するワインディングロードを上がって8合目駐車場に到達する。
地図・標高グラフ
| ⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
|---|---|---|---|
| 01:03 | 2.7km | 376m | 378m |
コースタイム
ルート: 岩木山八合目駐車場-岩木山-岩木山八合目駐車場

15時ちょうど。津軽岩木スカイラインの麓にある料金所で、衝撃の事実を告げられた。
「上の終点である8合目駐車場が16時半に閉鎖されます。岩木山から下りるのがそれまでに間に合わなければ、駐車場で次の日の朝まで過ごしていただくことになります」
つづら折りの津軽岩木スカイラインを急いで上りながら、頭の中では駐車場での宿泊を覚悟し始めた。
終点8合目ターミナルに着くと、係員から宿泊用紙を渡された。連絡先などを記入する書類で、「ここに明日の朝まで閉じ込められることに同意する」という内容だ。スカイラインのゲートが閉まるため、物理的に出られなくなってしまう。
さて、16時半までのタイムリミットは1時間。標準コースタイムで往復2時間かかる岩木山を、1時間で往復する挑戦が始まった。
- 15:26
- 15:44
- 15:49
- 15:56長平登山道分岐
- 16:01
- 16:07長平登山道分岐
- 16:11鳳鳴ヒュッテ
- 16:24岩木山八合目駐車場
読み通り、16時半のタイムリミット前には駐車場へ戻ることができ、朝まで閉じ込められて宿泊することにはならずに済んだ。ミッションコンプリート。
下山後、係員に山頂まで行って戻ってこられたので宿泊はなくなったことと迷惑をかけたことを伝えると、「おめでとうございます」と登頂をまず祝ってくれた。いえいえ、こちらこそありがとうございました。

下山後、嶽きみ(だけきみ)の焼きとうもろこしをいただく。嶽きみとは、岩木山の南嶺にある嶽地区で栽培されている糖度の高いとうもろこしのこと。うまい。
下山後の岩木山周辺観光

ふらいんぐうぃっち聖地巡礼の続きとして、巌鬼山神社へ。岩木山の北嶺にあるため、車がないとなかなか行けない場所だ。


遮光器土偶の駅舎で有名な木造駅

巌鬼山神社からは五能線の木造駅が近かったので、せっかくなので立ち寄った。
木造駅は遮光器土偶をモチーフとした駅舎で、実際に行ってみると周りに大きな建物がないため、より強烈な迫力を感じる。ときどき土偶の目が光るようだが、その瞬間は確認できなくて残念だった。

稲垣村探訪

明日予定していた岩木山にも登ってしまって、急に時間ができたので津軽半島をドライブ。そういえば、この辺りに自分の名字「稲垣」という名前の村があったことを思い出し、その「稲垣村」を探す旅に。冷静に考えると夜に何やってるんだろう……

そして、稲垣村(2005年に周りの町村と合併してつがる市が発足したため廃止となった)の中心部、つがる市役所稲垣出張所を見つけた。周りは真っ暗闇だ。
2018年9月30日 雨の中、1日中観光の日
すっぽりスケジュールが空いたため、いつもの忙しい遠征旅行とは違って1日中観光することとなった。
金木にある太宰治記念館「斜陽館」

斜陽館は前にも来たことがあるが、その時は閉館時間を過ぎていて入れなかった。今回はたっぷり時間があるので、ゆっくり見学できる。

弘前市りんご公園
以前ふらいんぐうぃっちの聖地巡礼したときに弘前市りんご公園に立ち寄り、とても満足度の高い施設だったので再び訪れた。

前回は、りんごジュースの飲み比べをしたが、今回はりんごカツカレーを食べた。

カレーにりんごが入っているのを想像したが、カツにりんごが挟まれていて不思議な食感を味わえた。


この後は、大鰐温泉の「大鰐町地域交流センター 鰐come」へ。ここの温泉施設もお気に入りの場所だ。車がないときでも、奥羽本線の大鰐温泉駅から歩いて行けるところにあるので、とても便利。オススメだ。
下山後の感想
今回は全く誰も登っていない中での登山だったが、岩場は多くの人が登っているとしたら落石、踏み外しなど少し危険な感じを受ける。登りと下りで取り付き位置を変えてはいるようだが。
悪天候予報のため、急遽八甲田山に続き岩木山へのダブルヘッダー登山を決行。津軽岩木スカイラインを利用して8合目まで高度を稼ぎ、夕陽鑑賞と合わせて余裕のある山行を計画していた。
しかし、スカイライン料金所で、計画の甘さが露呈する。
- 夕陽鑑賞は8合目駐車場からであり、山頂からの観賞は時間的に不可能。
- 悪天候のため、ゲートの延長開門もない。
- 17時ゲート閉鎖、16時半までに下山しなければ、スカイライン内での宿泊を余儀なくされる。
サイト情報の見落としに反省しつつも、一夜を明かすことも辞さない覚悟で入山。結局、下山を急いだことでぎりぎり間に合ったものの、肝心な山行を楽しむという最も重要な点を見失っていたことを大いに反省した。
かかった費用と装備
費用は、今回の遠征の中で最初の日本百名山 八甲田山の記事でまとめています。
今になって思うこと
2021年に、津軽三味線を弾く女子高生がメイドカフェでアルバイトに奮闘する姿を描いた「いとみち」という映画が公開されたので劇場まで観に行った。その映画の中で、津軽地方の風景やアップルパイが登場して、また弘前に行きたいという気持ちが高まってきた。
あと、重要なシーンで岩木山も登場する。思わず泣いてしまう家族愛の物語なので、動画配信サイトなどで是非観てほしい。
八甲田山は良い山だったし、岩木山には悔いが残るし、また青森に来ないとな。
津軽岩木スカイラインを使った岩木山登山は、時間制限というスリリングな条件が加わったが、それはそれで忘れられない体験となった。本来であれば麓からじっくりと登山道を味わいたかったが、天候の都合上仕方ない。いつかリベンジで百沢コースから登りたいものだ。
岩木山の山頂からの展望は素晴らしく、津軽平野を一望できる。青森県のシンボルと呼ばれるだけあって、その美しい山容と眺望は一見の価値がある。次回は時間に余裕を持って、ゆっくりと岩木山を堪能したい。




























