十勝岳に向かうまで
2021年も7月に入り、本格的な登山シーズンを迎えた。北海道遠征の計画は何ヶ月も前から立てており、いよいよ実行の時がやってきた。
残り12座となった百名山のうち、北海道には4座が残っている。大雪山系の大雪山・トムラウシ山・十勝岳、そして日高山系の幌尻岳。特に幌尻岳は最難関とも呼ばれる山で、何度も計画を立てては天候やスケジュールの都合で延期してきた。
2020年10月から2021年7月まで、残り12座への着実な歩み
大山を88座目として登った後も、着実に百名山へのアプローチを続けていた。
2020年10月20日 三徳山三佛寺の投入堂のリベンジとして乾徳山へ登山
大山のついでに島根の三徳山三佛寺投入堂に挑戦する予定だったが、コロナ禍の影響で叶わず。その悔しさを乾徳山での岩場登山に向けることにした。
2020年12月5日 佐賀観光のついでに英彦山に登る
Go To トラベルキャンペーンを活用した佐賀3日間の旅行。ゾンビランドサガの聖地巡礼がメインだったが、駅メモの新駅訪問も兼ねて九州北部を横断する大がかりな移動を計画していた。
佐賀から長崎、福岡と移動する途中で英彦山を通ったので、これも何かの縁だと思って立ち寄った。
2021年4月3日 青森のみちのく潮風トレイル八戸市ルートへ
ヤマノススメ聖地巡礼として青森のみちのく潮風トレイル八戸市ルートを歩いた。蕪島から種差海岸までの海岸線は、山とは違った自然の魅力を感じさせてくれる場所だった。
みちのく潮風トレイルは八戸市の蕪島が端となっているが、もう一方の端は福島県の相馬まで。ものすごく長いルートだけど、踏破した人が結構いる(全線踏破挑戦者リスト)のが凄い。
2021年4月24日 相模湖駅からの高尾山登山
恒例の高尾山登山。今回は相模湖駅から城山経由のコースで、旧野猿峠ハイキングコースも歩いた。春の体力復活にはちょうどいいコースだった。
2021年5月15日 比良の丘、奥武蔵 丸山、飯能市 神久山のヤマノススメ聖地巡礼
ヤマノススメ聖地巡礼の3箇所セット。西武鉄道の特別乗車券を使って、狭山丘陵の比良の丘、奥武蔵の丸山、飯能市の神久山を効率よく回った。
2021年6月26日 三浦アルプス(京急田浦駅~乳頭山~仙元山~逗子・葉山駅)に登山
「山と食欲と私」の聖地巡礼として三浦アルプスを縦走。京急田浦駅から逗子・葉山駅まで、海に近い低山ながら変化に富んだ面白いコースだった。
装備のアップデート
この北海道遠征に向けて、装備の見直しも行った。
長らく愛用していたドイターの日帰り用ザックがヘタってきたため、同じメーカーのトランスアルパイン24を新調。Amazonプライムデーの恩恵で実質1万円以下で購入できた。
登山靴も3年使ったモンベルのツオロミーブーツ ワイドがそろそろ限界。ソール交換も考えたが、全体的にヘタっていたので新しいモデルに買い替えた。
幌尻岳への前哨戦
2021年7月10日 奥多摩から秩父へ(東日原バス停~天目山~仙元峠~浦山口駅)トレーニング
7月10日には再来週の幌尻岳登山に向けたトレーニング。奥多摩から秩父への約25キロのコースを設定した。
幌尻岳の日帰り登山は歩行距離が25キロにもなると聞いていたので、同じ距離を歩くことで体力的な準備を整えた。
北海道遠征の綿密な計画
これまで北海道には、
- 2017年に利尻山
- 2018年に斜里岳・羅臼岳・阿寒岳・羊蹄山
と登ってきており、残りは北海道の中央に位置する大雪山系、日高山系である大雪山・トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳の4座。
最後の北海道遠征として、次のような計画を立てた。
1日目(7月21日):東京から空路で旭川空港へ。レンタカーで南下して十勝岳に登る。下山後は幌尻岳の登山口へ移動。
2日目(7月22日):計画では12時間を予定している幌尻岳への登山。下山後は帯広方面へ。
3日目(7月23日):前日の幌尻岳の予備日。もしくは、休息日として観光。
4日目(7月24日):トムラウシ山への登山。下山後は北上しながら、旧国鉄士幌線の遺構散策。
5日目(7月25日):最後に大雪山に登る。旭川の観光。
6日目(7月26日):予備日。旭川空港から東京へ帰る。
幌尻岳という大きなボスを控えているため、過去の遠征では考えられないほど余裕を持った計画を立てた。予備日を2日も設けたのは初めてのことだった。
旭川空港へはANAを利用する。ANAの株主なので、株主優待割引で正規価格の半額で乗ることができる(遠征計画は何ヶ月の前から計画しており、その時点での早期割引などがあるので、お得度は薄かったりする)。
飛行機の予約自体は5月末に行っていたのだが、その後にコロナの流行の影響で予約していた便が減便され、予約し直した。減便はしょうがないんだが、機材変更で機内Wi-Fiがなくなったのがちょっと残念。
レンタカーの予約はいつもと違い、楽天トラベルのキャンペーンでホンダレンタリースで予約。まぁ、車はいつもと同じくフィットだけど。
2021年7月21日 羽田から旭川空港へ。十勝岳に登る

旭川空港行きの便は6:45出発。羽田空港の早朝便は東京住まいの特権だと改めて思う。成田なら前泊必須だが、羽田なら何とか始発でも間に合う距離感がありがたい。

搭乗口55番は羽田空港でも特に遠い場所にある。早朝便特有の静寂な雰囲気の中で出発を待つ。

北海道に向けて離陸、さよなら東京。

約2時間のフライトで旭川空港に到着。あいにく空は重い雲に覆われていた。
レンタカーを借りて望岳台へ向かう道中、白金の青い池を通った。以前に来たことのある道で、なんとなく懐かしい気持ちになる。

十勝岳望岳台防災シェルター。駐車場も50台ほどあって広い。
実際に登ってみた
日程: 2021年7月21日(水) 日帰り 天候: 曇り
アクセス
十勝岳望岳台駐車場に駐車。
地図・標高グラフ
⏱タイム | 🏃距離 | ↗登り | ↘下り |
---|---|---|---|
04:16 | 10.4km | 1,132m | 1,128m |
コースタイム
ルート: 望岳台-十勝岳-望岳台
- 10:00
- 10:20吹上温泉分岐
- 10:34
- 10:43
- 11:20
- 12:20
- 13:21昭和火口
- 13:44十勝岳避難小屋
- 13:49雲ノ平分岐
- 13:58吹上温泉分岐
- 14:12望岳台
ファーム富田での束の間の観光

下山後は富良野を経由して占冠村方面へ南下。その途中でファーム富田に立ち寄った。
これまで北海道に来るのは8月や9月が多く、ラベンダーの見頃は過ぎていることが多かった。今回は7月のベストシーズン、ようやく満開のラベンダー畑を見ることができた。
朝は曇っていた空も次第に晴れ間が見えてきた。青空とカラフルなラベンダー畑のコントラストが実に美しい。

ラベンダー畑を眺めながら、名物のラベンダーソフトクリームで糖分補給。登山後の疲れた体に甘さが染みる。
道の駅樹海ロード日高

占冠村を通り過ぎ、日高町の中心にある道の駅樹海ロード日高に到着。明日の幌尻岳に向けて食料と水を調達。ここから先は携帯電波も届かない秘境になるため、登山届もコンパスで提出しておいた。
併設の日高山脈博物館は既に閉館時間。明日の幌尻岳の予習をしたかったが、それは次の機会に。

駐車場には自衛隊の車両が続々と集まってきていた。本州では見慣れない光景だが、北海道らしい風景の一つなのかもしれない。
幌尻岳登山口のあるチロロ林道へ

完全に暗くなる前にチロロ林道の奥へ進み、幌尻岳登山口駐車場に到着。明日は3時起床の予定なので、早めに車中泊の準備を整えて就寝した。
4連休と有給を利用した北海道4座遠征の初日、まずは1座目を無事に終えることができた。早朝便で旭川空港に到着してから、レンタカーで40分程度の望岳台へスムーズにアクセスできたのは良かった。
あいにくの曇り空で山頂からの大展望は期待できなかったが、北海道の猛暑を考えると直射日光を遮ってくれたのはむしろ幸いだったかもしれない。火山の山では影に隠れる場所がほとんどないため、曇り空のおかげで快適に歩けた。
十勝岳は火山礫の道をゆるやかに登るだけなので、技術的には初心者向けの山といえる。ただし、活火山であることと、濃霧時の道迷いリスクは十分に考慮すべきだろう。
下山後のファーム富田では、ようやく満開のラベンダー畑を見ることができたのも大きな収穫だった。これまで何度も時期を逃していただけに、青空とラベンダーのコラボレーションは感動的だった。
明日はこの遠征最大の難関、幌尻岳が待っている。12時間の長丁場を予定しているため、電波の届かない登山口で前夜泊。不安と期待が入り混じった気持ちで眠りについた。
かかった費用と装備
遠征中にかかった費用は、遠征最初の百名山にまとめて書くことにします。
交通費用
- 飛行機 東京⇔旭川: 47,280円(株主優待割引適用)
- 電車: 1,234円
- レンタカー 5日+9時間: 27,900円
- ガソリン: 9,310円
- 駐車場: 500円
- JAF: 28,500円
- ロープウェイ: 2,000円
交通費合計: 116,724円
装備費用
- ドイター トランスアルパイン24: 16,500円(Amazonプライムデーで実質1万円以下)
- モンベル ツオロミーブーツ ワイド: 20,460円
装備費合計: 36,960円
食費・その他
- 食費(朝昼晩 6日分): 11,500円
- 行動食(4日分): 1,200円
- 風呂: 1,000円
- 入場券: 1,620円
食費・その他合計: 15,320円
総費用
合計: 169,004円
新しいザックと登山靴という大きな装備投資があったとはいえ、5泊6日で4座という内容を考えると妥当な費用だった。特に株主優待を使った航空券は大きな節約効果があった。
今になって思うこと
2021年の登山シーズンがいよいよ本格化した。十勝岳を含めて残り12座、年内の日本百名山全山踏破を目指す最終段階に入った。
この北海道遠征の計画段階では、特に幌尻岳への不安が大きかった。そのため、これまでの遠征では考えられないほど余裕を持ったスケジュールを組んだ。予備日を2日も設けたのは初めてのことで、それだけ慎重に臨んだ遠征だった。
装備面では、この遠征に向けて新調したザックと登山靴が活躍した。特に足幅の広い自分にとって、モンベルのツオロミーブーツ ワイドは長時間歩いても疲れにくく、この後の幌尻岳やトムラウシ山でも重宝することになった。
ファーム富田でのラベンダー畑など、登山だけでなく北海道の観光も満喫できるのが遠征の楽しい所。